百合斬首~晒しな日記~

ミケとポン太

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第4章 更なる戦い

第428話 ゲーム会場へようこそ68

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 ー北条にとっては、他の人間って単なる足手まといでしかないんだろうな・・・ー
 北条の自信に満ちた表情を見ていると、確かに自分が彼女の隣にいるのが場違いなように思えてきてしまう。
「さっき、私あなたのことを足手まといって、言ったけど」
 北条が荒谷の方を見向きもせずに、付け加えるように言った。
「私、なれ合うつもりは一切ないから、例えあなたが傍にいたとしても、私は平気で見捨てるわよ?」
「・・・ああ、そう」
 これ以上、北条の相手をするのも嫌になってきた。つまり、北条が言いたいのは、荒谷はもはや「足手まとい」ですらないということなのだろう。
 どこまでも傲岸不遜と言えばそうなのかもしれないが、一方で、それだけ裏打ちされた実力があるということだ。
「わかった、私はこれから一人で探索するから」
 協力関係を望めない以上、これ以上そばにいてもお互いに不愉快になるだけだろう。
 荒谷の言葉に、北条はやはりこちらを見向きもせずに、ひらひらと片手を振って、まるで犬でも追い払うかのような仕草を取った。

「ようやく行ったか・・・」
 荒谷が傍から離れて、北条は厄介者がいなくなったとばかりにため息をついた。
「このゲームのボスくらいなら、私一人でも何とかなるわ・・・」
 ボスと言っても、所詮は作り物のデータ物だ。このゲームの作成者であるメイドが生み出した魔物など、多少強いか弱いかの差でしかないー少なくとも、北条にとっては、だが。
「むしろ、厄介なのは・・・」
 北条にとって厄介なのは、自分と同程度の実力を誇るプレイヤー、参加者の方だ。所詮はプログラミングされた存在でしかない魔物などよりもはるかに手ごわいと言える。
 先ほど、北条は荒谷に対して、この大会で自分に勝てるものなどいないと豪語した。もちろん、その自信はあるし、誰にも負けるつもりなどないのだが、絶対ということはない。
 決まりきったプログラミング相手なら、万が一にも負けることはなくても、予測不可能性を秘めた人間相手であれば万が一ということはあり得る。
「・・・負けるわけにはいかないわ」
 北条には負けられない理由がある。この大会で必ず優勝し、元の生活へ戻る必要があるのだ。
「・・・私は、必ず生きて戻ってみせる」
 荒谷がいなくなり、もはや誰もおらず静寂に包まれた廊下のただなかで独り言ちる北条であった。
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