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第4章 更なる戦い
第419話 ゲーム会場へようこそ59
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補助アイテム「ステルスコート」ーかなり有用性の高いアイテムが、洞窟の浅い階層から発見できたのは僥倖である。
補助アイテムの解説が、荒谷の目の前に投影された。その内容を見て荒谷は驚きと戸惑いの表情を浮かべながら、
「なんでこんないいものが・・・」
しばらくの間、そこで茫然としていた。
実は、この洞窟では確率が低いものの、まれにレアランク、スーパーレアランクのお宝が階層を問わずに出現することがある。荒谷は強運の持ち主だったとも言えるだろう。
「・・・一度、試してみるか」
荒谷は、その場でさっそく「ステルスコート」を装着してみた。コートとは言いながら、まるで薄い衣を羽織ったような感触だった。当然重くはなく、動きやすい。そしてー
「おお、魔物たちがこっちのことに気が付いてない!!」
さっきまで、荒谷を見かけたらわき目も降らずに襲い掛かってきた魔物たちだったが、荒谷が「ステルスコート」を纏ったことで、見えていないのか全くこちらに頓着していない。
これなら、不意打ちも逃走も容易だ。
「これは・・・人にも使えそうだな」
実際に、参加者相手に試してみたくなった。気分はすっかり「透明人間」そのものである。
荒谷は、駆け足で洞窟の外に出ると、誰か近くにいないかと辺りをきょろきょろした。だが、そう都合よく人が見つかるわけもない。
「・・・仕方がない。とにかく、まずはこの付近のことを調べてみるか」
透明化した荒谷の姿を見とがめる者は誰もいないーたとえそれが魔物であったとしてもだ。途中、何匹かの野犬タイプの魔物がうろうろしていたが、荒谷は感づかれることもなくやり過ごすことができた。
「ふう・・・」
見たところ、あの洞窟に出る魔物よりもワンランク上のようだ。勝てない相手ではなかろうが、無理に戦って消耗する必要もないだろう。
今のところ、魔物の姿はちらほらと見受けられるが、参加者の姿は見られない。これだけ広大なフィールドゆえ、他の参加者にはまだ遭遇できないでいた。
そうこうしているうちに、荒谷は小麦畑と案山子を見つけた。木製の柵で畑は仕切られている。
「おお、村か!!」
荒谷の目が一段と輝きを増した。ようやく、この世界の最初の村を発見したのだ。
「何とか休める場所を確保できたな・・・これも、RPGの基本ってやつだ」
目の前には寒村ー本当に小さな村で、小麦畑の他には水車小屋や風車小屋があり、あとは数件の民家があるくらいだった。建物の作りは、よくファンタジーものに出てくるそれらに似ている物ばかりだった。
だが、肝心の村人の姿はないー人の気配は、全く感じられなかった。
補助アイテムの解説が、荒谷の目の前に投影された。その内容を見て荒谷は驚きと戸惑いの表情を浮かべながら、
「なんでこんないいものが・・・」
しばらくの間、そこで茫然としていた。
実は、この洞窟では確率が低いものの、まれにレアランク、スーパーレアランクのお宝が階層を問わずに出現することがある。荒谷は強運の持ち主だったとも言えるだろう。
「・・・一度、試してみるか」
荒谷は、その場でさっそく「ステルスコート」を装着してみた。コートとは言いながら、まるで薄い衣を羽織ったような感触だった。当然重くはなく、動きやすい。そしてー
「おお、魔物たちがこっちのことに気が付いてない!!」
さっきまで、荒谷を見かけたらわき目も降らずに襲い掛かってきた魔物たちだったが、荒谷が「ステルスコート」を纏ったことで、見えていないのか全くこちらに頓着していない。
これなら、不意打ちも逃走も容易だ。
「これは・・・人にも使えそうだな」
実際に、参加者相手に試してみたくなった。気分はすっかり「透明人間」そのものである。
荒谷は、駆け足で洞窟の外に出ると、誰か近くにいないかと辺りをきょろきょろした。だが、そう都合よく人が見つかるわけもない。
「・・・仕方がない。とにかく、まずはこの付近のことを調べてみるか」
透明化した荒谷の姿を見とがめる者は誰もいないーたとえそれが魔物であったとしてもだ。途中、何匹かの野犬タイプの魔物がうろうろしていたが、荒谷は感づかれることもなくやり過ごすことができた。
「ふう・・・」
見たところ、あの洞窟に出る魔物よりもワンランク上のようだ。勝てない相手ではなかろうが、無理に戦って消耗する必要もないだろう。
今のところ、魔物の姿はちらほらと見受けられるが、参加者の姿は見られない。これだけ広大なフィールドゆえ、他の参加者にはまだ遭遇できないでいた。
そうこうしているうちに、荒谷は小麦畑と案山子を見つけた。木製の柵で畑は仕切られている。
「おお、村か!!」
荒谷の目が一段と輝きを増した。ようやく、この世界の最初の村を発見したのだ。
「何とか休める場所を確保できたな・・・これも、RPGの基本ってやつだ」
目の前には寒村ー本当に小さな村で、小麦畑の他には水車小屋や風車小屋があり、あとは数件の民家があるくらいだった。建物の作りは、よくファンタジーものに出てくるそれらに似ている物ばかりだった。
だが、肝心の村人の姿はないー人の気配は、全く感じられなかった。
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