414 / 499
第4章 更なる戦い
第413話 ゲーム会場へようこそ53
しおりを挟む
ーとりあえず、一旦拠点まで戻るかー
先ほど殺害した少女の生首を小脇に抱え、湖のほとりにある丸太小屋を目指す戸隠美鈴。ゲーム開始直後に運よくこの丸太小屋を発見して以来、ここを活動の拠点にして周囲を探索しているのだった。
丸太を積み重ねて作られたその小屋は、海辺のログハウスのようにも見えるもので、中にはさほど物は置かれておらず、本当にただ一時的に滞在するためだけに利用しているようなものだった。
ー・・・誰もおらんなー
生前から、暗殺者として生きてきた戸隠の事である。常に周囲に気を配り、いつ何が起きてもすぐに戦えるように身構えながら、ログハウスに音もたてずに近寄る。誰かが潜んでいた場合は、その場で戦いになる恐れもあり、油断はできない。
また、人間ばかりではなく、このゲームでは魔物と呼ばれる存在も敵として襲い掛かってくる。そう言った胡乱な輩が周囲にいるかどうかだけでも気配で探っておくのは安全管理の上でも重要なことだ。
ー某は、まだ魔物とやらに出くわしたことはないな・・・妖怪や物の怪の類だろうかー
ちょうどこの時、明子たちが空を漂うかまいたちの姿を目撃していたが、まさしくそれこそが戸隠の言う妖怪や物の怪の類だった。
たとえ、どんな相手が現れようとも負けるつもりはなかったが、人間相手ならともかく未知の相手には用心してもしすぎることはないだろう。
「ふう・・・」
丸太小屋の中に何者の気配もないことを確認してから、ゆっくりと木の扉を開ける戸隠。前述の通り、この小屋には物らしい物はほとんど置かれていない。せいぜい、寝床とテーブルくらいしかなかった。だが、戸隠にとってはこれくらいがちょうどいい。ごちゃごちゃと余計な物が置かれた部屋よりも、必要最低限の物だけが揃った部屋の方が、活用しやすかったからだ。
「とりあえず、そなたの首級はここに置かせてもらおう」
戸隠は、小脇に抱えていた少女の生首を、部屋の隅に置くと、それに白い布を被せておいた。
「さて・・・」
これからの事に思いを馳せる戸隠。
まず、このゲームをクリアするためには、目的物を探さなければならないーが、一切のヒントもなく、この広大なゲームフィールドをどのように探せばよいのか、正直なところ見当もつかなかった。
戸隠は、生前から暗殺活動を生業としてきたのである。失せ物探しは彼女の専門外だ。そういったものはむしろ、探偵業を生業とする者達の領域と言えよう。
殺しも探索も生業とするのであればーある意味やくざがそれに該当するのかもしれないが、残念ながら闇の世界に生きる戸隠であっても、極道の世界に興味はなかった。
先ほど殺害した少女の生首を小脇に抱え、湖のほとりにある丸太小屋を目指す戸隠美鈴。ゲーム開始直後に運よくこの丸太小屋を発見して以来、ここを活動の拠点にして周囲を探索しているのだった。
丸太を積み重ねて作られたその小屋は、海辺のログハウスのようにも見えるもので、中にはさほど物は置かれておらず、本当にただ一時的に滞在するためだけに利用しているようなものだった。
ー・・・誰もおらんなー
生前から、暗殺者として生きてきた戸隠の事である。常に周囲に気を配り、いつ何が起きてもすぐに戦えるように身構えながら、ログハウスに音もたてずに近寄る。誰かが潜んでいた場合は、その場で戦いになる恐れもあり、油断はできない。
また、人間ばかりではなく、このゲームでは魔物と呼ばれる存在も敵として襲い掛かってくる。そう言った胡乱な輩が周囲にいるかどうかだけでも気配で探っておくのは安全管理の上でも重要なことだ。
ー某は、まだ魔物とやらに出くわしたことはないな・・・妖怪や物の怪の類だろうかー
ちょうどこの時、明子たちが空を漂うかまいたちの姿を目撃していたが、まさしくそれこそが戸隠の言う妖怪や物の怪の類だった。
たとえ、どんな相手が現れようとも負けるつもりはなかったが、人間相手ならともかく未知の相手には用心してもしすぎることはないだろう。
「ふう・・・」
丸太小屋の中に何者の気配もないことを確認してから、ゆっくりと木の扉を開ける戸隠。前述の通り、この小屋には物らしい物はほとんど置かれていない。せいぜい、寝床とテーブルくらいしかなかった。だが、戸隠にとってはこれくらいがちょうどいい。ごちゃごちゃと余計な物が置かれた部屋よりも、必要最低限の物だけが揃った部屋の方が、活用しやすかったからだ。
「とりあえず、そなたの首級はここに置かせてもらおう」
戸隠は、小脇に抱えていた少女の生首を、部屋の隅に置くと、それに白い布を被せておいた。
「さて・・・」
これからの事に思いを馳せる戸隠。
まず、このゲームをクリアするためには、目的物を探さなければならないーが、一切のヒントもなく、この広大なゲームフィールドをどのように探せばよいのか、正直なところ見当もつかなかった。
戸隠は、生前から暗殺活動を生業としてきたのである。失せ物探しは彼女の専門外だ。そういったものはむしろ、探偵業を生業とする者達の領域と言えよう。
殺しも探索も生業とするのであればーある意味やくざがそれに該当するのかもしれないが、残念ながら闇の世界に生きる戸隠であっても、極道の世界に興味はなかった。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる