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第4章 更なる戦い
第406話 ゲーム会場へようこそ46
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「それにしても・・・この魔物を倒したやつはどこに行ったんだ?」
光るタイル群と魔物の死体の検分はあらかた終わって、次に気になるのは、当然ながらこの魔物を倒した人物についてだ。
周囲の様子から察するに、恐らく決着が着いてさほど時間は経過していないと見える。魔物の死体は新しいし、腐敗なども起こっていない。大会参加者には腐敗防止措置が取られているとは聞くが、まさか魔物相手にまでそれを施しているとは到底思えないからだ。
さらには、森の周囲の様子も気になるところだ。謎の攻撃により、森が消し飛んでいるのだが、抉られた地面から立ち昇る煙や熱気から察するに、やはりそんなに時間は経過していないだろう。
となればー
「まだこの周辺をうろついている可能性あるよね、この魔物を倒した人」
明子の指摘に、優菜と美羽が顔を強張らせる。
この魔物を倒したのが味方チームの人間であれば心強いが、敵チームとなるとかなり厄介だ。こいつを倒せるほどの腕前を持つ相手と競争しなくてはならないからだ。
もし鉢合わせた場合、戦うことも視野に入れねばならないだろう。
「多分、そう遠くには行っていないと思います」
美羽が、タイル群の近くの地面を指さす。
地面には、湿気を帯びた落ち葉が堆積しているのだが、わずかながらに地表が露出している部分もある。そこには真新しい足跡が刻まれていたのだ。
足跡は、タイル群に沿って続いているようだ。つまりは、この魔物を倒した者はこの森の深淵まで歩いて行ったということだろう。
しかも、歩幅や足跡の数から察するに、明らかに複数人であることもわかる。尤も、この魔物を一人で倒したというのも考えにくいので、当然と言えば当然なのかもしれないが。
「このまま、タイルの列に沿って奥まで歩いていけば、もしかしたら他の参加者と鉢合わせることになるかもしれませんが・・・」
「必ずしも、うちのチームの人間であるとは限らないって事よね」
優菜も、美羽が示す足跡を覗き込みながら呟いた。
「・・・一旦、この森の外に出るって手も、あるわよ」
優菜が森の外へと続く道ーおそらくは、この魔物が放った攻撃なのだろうがーを顎で示す。
抉れた地面となぎ倒され、消失した木々の残骸だけが残る大きな道ーこれをたどっていけば、確かに森の外に出は出られるだろう。
「個人的には、もうこの森からは出たいかなぁとは思ってる」
明子が、うんざりしたような顔で言った。薄暗く、ろくに陽の光も刺さず、さらには自分たちがどこにいるのかもわからない森の中を当てもなくさまよい続けるよりは、まだしも視界の開ける森の外の方がいいかもしれない。木々がなぎ倒され消失しているので、厚い樹冠もなくなり、空も露出している。心なしか、風も吹いているように思えた。
「そうね・・・それもいいかも」
優菜が明子に同意した。
光るタイル群と魔物の死体の検分はあらかた終わって、次に気になるのは、当然ながらこの魔物を倒した人物についてだ。
周囲の様子から察するに、恐らく決着が着いてさほど時間は経過していないと見える。魔物の死体は新しいし、腐敗なども起こっていない。大会参加者には腐敗防止措置が取られているとは聞くが、まさか魔物相手にまでそれを施しているとは到底思えないからだ。
さらには、森の周囲の様子も気になるところだ。謎の攻撃により、森が消し飛んでいるのだが、抉られた地面から立ち昇る煙や熱気から察するに、やはりそんなに時間は経過していないだろう。
となればー
「まだこの周辺をうろついている可能性あるよね、この魔物を倒した人」
明子の指摘に、優菜と美羽が顔を強張らせる。
この魔物を倒したのが味方チームの人間であれば心強いが、敵チームとなるとかなり厄介だ。こいつを倒せるほどの腕前を持つ相手と競争しなくてはならないからだ。
もし鉢合わせた場合、戦うことも視野に入れねばならないだろう。
「多分、そう遠くには行っていないと思います」
美羽が、タイル群の近くの地面を指さす。
地面には、湿気を帯びた落ち葉が堆積しているのだが、わずかながらに地表が露出している部分もある。そこには真新しい足跡が刻まれていたのだ。
足跡は、タイル群に沿って続いているようだ。つまりは、この魔物を倒した者はこの森の深淵まで歩いて行ったということだろう。
しかも、歩幅や足跡の数から察するに、明らかに複数人であることもわかる。尤も、この魔物を一人で倒したというのも考えにくいので、当然と言えば当然なのかもしれないが。
「このまま、タイルの列に沿って奥まで歩いていけば、もしかしたら他の参加者と鉢合わせることになるかもしれませんが・・・」
「必ずしも、うちのチームの人間であるとは限らないって事よね」
優菜も、美羽が示す足跡を覗き込みながら呟いた。
「・・・一旦、この森の外に出るって手も、あるわよ」
優菜が森の外へと続く道ーおそらくは、この魔物が放った攻撃なのだろうがーを顎で示す。
抉れた地面となぎ倒され、消失した木々の残骸だけが残る大きな道ーこれをたどっていけば、確かに森の外に出は出られるだろう。
「個人的には、もうこの森からは出たいかなぁとは思ってる」
明子が、うんざりしたような顔で言った。薄暗く、ろくに陽の光も刺さず、さらには自分たちがどこにいるのかもわからない森の中を当てもなくさまよい続けるよりは、まだしも視界の開ける森の外の方がいいかもしれない。木々がなぎ倒され消失しているので、厚い樹冠もなくなり、空も露出している。心なしか、風も吹いているように思えた。
「そうね・・・それもいいかも」
優菜が明子に同意した。
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