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第4章 更なる戦い
第391話 ゲーム会場へようこそ31
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顔が女、胴体が獅子、そして猛禽類の翼をもつキメラモンスターが、4人の少女たちに襲い掛かってくる。頭部だけを見れば、人語を理解しそうに見えるものの、ほぼ獣と同じような雄叫びを上げてわき目も降らずに突っ込んでくる辺り、実際にはさほど知能が高い存在ではないのかもしれない。
それ故に、女の頭が付いているのは余計に不気味に感じられた。
「くそう、まっすぐこっちに向かってくるぞ!!」
こちらを威嚇するかのように、毒々しい色彩の翼を広げながら、4人に飛び掛る魔物を前に、初陣の少女たちは一瞬立ちすくんで身動きが取れなくなった。
だが、その一瞬こそが、実戦では命取りにもなりえるのだった。
「がああぁぁっ!!」
魔物が前足の鋭い爪を振り下ろし、まずは児玉を切り裂こうとする。
「危ないっ!!」
それを御堂愛が、自らの擬体化武器を振り回すことで何とか阻止した。
御堂の擬体化武器は、片手ではとても扱えない両手剣だった。その両手剣を魔物の前右脚めがけて振り下ろし、魔物の突進攻撃を防いだのだ。
「あ、あ、ああ・・・」
いきなり魔物に襲い掛かられたこともあり、児玉は腰が抜けてその場でへたり込んでしまった。とてもではないが、この様子では擬体化武器を取り出すどころの騒ぎではないだろう。
「大丈夫?」
御堂が児玉に呼び掛けるが、児玉からまともな返事は来なかった。
また、児玉だけでなく、他の2人ー大谷や神田も完全に立ちすくんだ状態で、身動きが取れないでいる。
ーこれでは、まともに戦えるのは私だけじゃないかー
両手剣を油断なく構えながら、前方の魔物を見据える御堂。他の3人が戦力として期待できない以上は、自分が戦うしかなかった。
「ぐるるるるる・・・」
魔物が唸り声を上げている。頭部だけ見れば大変美しい女性だというのに、その唸り声は禍々しい魔獣のそれだった。どうやら、獲物を仕留めるのを邪魔されて怒り狂っているらしい。
「があああっ!!」
攻撃目標を児玉から御堂に変更した魔物は、再び翼を広げながら御堂に飛び掛ってくる。
「うわっと!!」
正面からまともに相手の攻撃を受けるのは危険だと判断した御堂が、とっさに危なげなく回避した。背後を振り返ると、魔物がそのまま樹にぶつかったようだが逆に樹の方が大きな音を立てて折れてしまった。魔物の方には一切ダメージはなかったようだ。
魔物の尻尾が、御堂の方に向けられている。よく見ると、尻尾は蛇で、先端の割れた舌をチロチロと覗かせていた。
「おいおいおい・・・」
さっきまで狙われていた児玉が、冷や汗を頬から垂らしながら、その有様を見つめる。さっきの一撃をまともに食らっていたらどうなっていたことかー考えただけでも怖気がした。
魔物が振り返る。樹にぶつかったというのに、実にケロリとした表情をしていた。
ー・・・どうやって倒すんだよ、こんなのー
御堂が舌打ちしながら、魔物を鋭く見据えた。
それ故に、女の頭が付いているのは余計に不気味に感じられた。
「くそう、まっすぐこっちに向かってくるぞ!!」
こちらを威嚇するかのように、毒々しい色彩の翼を広げながら、4人に飛び掛る魔物を前に、初陣の少女たちは一瞬立ちすくんで身動きが取れなくなった。
だが、その一瞬こそが、実戦では命取りにもなりえるのだった。
「がああぁぁっ!!」
魔物が前足の鋭い爪を振り下ろし、まずは児玉を切り裂こうとする。
「危ないっ!!」
それを御堂愛が、自らの擬体化武器を振り回すことで何とか阻止した。
御堂の擬体化武器は、片手ではとても扱えない両手剣だった。その両手剣を魔物の前右脚めがけて振り下ろし、魔物の突進攻撃を防いだのだ。
「あ、あ、ああ・・・」
いきなり魔物に襲い掛かられたこともあり、児玉は腰が抜けてその場でへたり込んでしまった。とてもではないが、この様子では擬体化武器を取り出すどころの騒ぎではないだろう。
「大丈夫?」
御堂が児玉に呼び掛けるが、児玉からまともな返事は来なかった。
また、児玉だけでなく、他の2人ー大谷や神田も完全に立ちすくんだ状態で、身動きが取れないでいる。
ーこれでは、まともに戦えるのは私だけじゃないかー
両手剣を油断なく構えながら、前方の魔物を見据える御堂。他の3人が戦力として期待できない以上は、自分が戦うしかなかった。
「ぐるるるるる・・・」
魔物が唸り声を上げている。頭部だけ見れば大変美しい女性だというのに、その唸り声は禍々しい魔獣のそれだった。どうやら、獲物を仕留めるのを邪魔されて怒り狂っているらしい。
「があああっ!!」
攻撃目標を児玉から御堂に変更した魔物は、再び翼を広げながら御堂に飛び掛ってくる。
「うわっと!!」
正面からまともに相手の攻撃を受けるのは危険だと判断した御堂が、とっさに危なげなく回避した。背後を振り返ると、魔物がそのまま樹にぶつかったようだが逆に樹の方が大きな音を立てて折れてしまった。魔物の方には一切ダメージはなかったようだ。
魔物の尻尾が、御堂の方に向けられている。よく見ると、尻尾は蛇で、先端の割れた舌をチロチロと覗かせていた。
「おいおいおい・・・」
さっきまで狙われていた児玉が、冷や汗を頬から垂らしながら、その有様を見つめる。さっきの一撃をまともに食らっていたらどうなっていたことかー考えただけでも怖気がした。
魔物が振り返る。樹にぶつかったというのに、実にケロリとした表情をしていた。
ー・・・どうやって倒すんだよ、こんなのー
御堂が舌打ちしながら、魔物を鋭く見据えた。
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