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第4章 更なる戦い
第389話 ゲーム会場へようこそ29
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1メートル四方くらいの光るタイルの列をたどるように歩き続ける御堂愛と他3名。
「どこまで続いてんだよ、これ」
メンバーのうちの一人である児玉という少女がぼやいた。
「もうかれこれ1時間くらい歩かされてんよ」
距離にして、大体4キロくらいだろうかー人間の歩く速度の平均値は大体時速4キロとされているが、よく考えてみれば、ここは足元の悪い森の中ーただでさえ陽の光が樹冠によってほぼ遮られているうえ、足元には堆積した落ち葉が水分を含んで滑りやすくなっているほか、地面から太い木の根っこの一部が浮き出ている。思うように勧めるわけもなく、実際に進んだ距離はその半分くらいなのかもしれない。
児玉がぼやきたくなるのも、まあ無理もないことなのかもしれない。
「あたしらに訊かれてもわかるわけないじゃん・・・とにかく、手掛かりになりそうなのはこれしかないんだし、進むっきゃないっしょ」
児玉に対して答えたのが大谷という少女だった。
「まあ、今のところ、魔物とは遭遇していないし、この光る床を除けばトラップらしきものにも行きあたってないから、このまま進むしかないよね」
神田という少女が、辺りをきょろきょろしながら言う。何があってもいいように、警戒しているつもりだった。
「それにしても・・・他の連中に会わないけど、あいつらどうしたんだろ?」
他の6名にはまだ会うこともできないでいる。たまたま4人は近くにいたから、すぐに合流できたのだろうが・・・。
「まさかとは思うけど、もうやられちまったってことはないよな」
児玉の一言に、他の3人が思わず息を呑んだ。
考えてみれば、この森に放り出されてから、もう1時間が経過しようとしている。他のメンバーに、何かあったとしてもおかしくはないだろう。
「ちょっと、やめてよ・・・縁起でもない」
神田が怯えるようにして、さらに辺りを見回した。児玉の言葉を受けて、さらに警戒心が強まったようだった。
薄暗い森の中は、見渡す限りの樹木だらけー一言で表現するのなら「緑の砂漠」と言ったところか。
あらゆる植物が、己の生存のためだけに無秩序に生育しまくっている様子は、それだけでこの森の中の生態系の生存競争がいかに激しいかが窺える。植物の世界にだって、過酷な弱肉強食はあるのだ。
そして、その競争の激しさは、何も植物や普通の動物ばかりでもない。
おそらくは、この森に生息している魔物とやらも同様だろう。
時折ギャーギャーと聞こえてくる耳障りな鳴き声は、果たして鳥や動物のものなのか。
それともー
「・・・!?」
ふと、神田の表情が強張ったのを見て、御堂は神田と同じ方向へと視線を向ける。
「・・・あ、あれは・・・何だ!?」
思わず、悲鳴に近い声を上げてしまった。
大谷と児玉も気が付いたようだ。彼女たちも引きつった声で悲鳴を上げた。
見たこともないような巨大な生物が、こちらを睨みつけていたからだ。
「どこまで続いてんだよ、これ」
メンバーのうちの一人である児玉という少女がぼやいた。
「もうかれこれ1時間くらい歩かされてんよ」
距離にして、大体4キロくらいだろうかー人間の歩く速度の平均値は大体時速4キロとされているが、よく考えてみれば、ここは足元の悪い森の中ーただでさえ陽の光が樹冠によってほぼ遮られているうえ、足元には堆積した落ち葉が水分を含んで滑りやすくなっているほか、地面から太い木の根っこの一部が浮き出ている。思うように勧めるわけもなく、実際に進んだ距離はその半分くらいなのかもしれない。
児玉がぼやきたくなるのも、まあ無理もないことなのかもしれない。
「あたしらに訊かれてもわかるわけないじゃん・・・とにかく、手掛かりになりそうなのはこれしかないんだし、進むっきゃないっしょ」
児玉に対して答えたのが大谷という少女だった。
「まあ、今のところ、魔物とは遭遇していないし、この光る床を除けばトラップらしきものにも行きあたってないから、このまま進むしかないよね」
神田という少女が、辺りをきょろきょろしながら言う。何があってもいいように、警戒しているつもりだった。
「それにしても・・・他の連中に会わないけど、あいつらどうしたんだろ?」
他の6名にはまだ会うこともできないでいる。たまたま4人は近くにいたから、すぐに合流できたのだろうが・・・。
「まさかとは思うけど、もうやられちまったってことはないよな」
児玉の一言に、他の3人が思わず息を呑んだ。
考えてみれば、この森に放り出されてから、もう1時間が経過しようとしている。他のメンバーに、何かあったとしてもおかしくはないだろう。
「ちょっと、やめてよ・・・縁起でもない」
神田が怯えるようにして、さらに辺りを見回した。児玉の言葉を受けて、さらに警戒心が強まったようだった。
薄暗い森の中は、見渡す限りの樹木だらけー一言で表現するのなら「緑の砂漠」と言ったところか。
あらゆる植物が、己の生存のためだけに無秩序に生育しまくっている様子は、それだけでこの森の中の生態系の生存競争がいかに激しいかが窺える。植物の世界にだって、過酷な弱肉強食はあるのだ。
そして、その競争の激しさは、何も植物や普通の動物ばかりでもない。
おそらくは、この森に生息している魔物とやらも同様だろう。
時折ギャーギャーと聞こえてくる耳障りな鳴き声は、果たして鳥や動物のものなのか。
それともー
「・・・!?」
ふと、神田の表情が強張ったのを見て、御堂は神田と同じ方向へと視線を向ける。
「・・・あ、あれは・・・何だ!?」
思わず、悲鳴に近い声を上げてしまった。
大谷と児玉も気が付いたようだ。彼女たちも引きつった声で悲鳴を上げた。
見たこともないような巨大な生物が、こちらを睨みつけていたからだ。
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