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第4章 更なる戦い
第382話 ゲーム会場へようこそ22
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胴体を上下に真っ二つにされ、地面に横たわる黒い生物ー
「こ、こいつが・・・魔物なのか・・・」
見た目は、黒いケダモノだった。頭部には触覚らしきものが生えており、全身は黒い毛玉ーというか、元々は何かの動物だったものをどす黒い瘴気のようなものが纏わりついていたーそのように思われた。尤も、この大きさで触覚が生えているというのも不思議なので、元は普通の動物ですらないのかもしれないのだが。
魔物は、しばらくの間ピクピクと痙攣していたが、やがて力尽きたのか、そのまま黒い瘴気を辺りに霧散させるようにして消滅していった。
ーキキィィィ・・・ー
この魔物の断末魔の叫び声なのだろうかー耳障りな甲高い悲鳴が聞こえなくなるとともに、魔物も完全に霧消してしまった。
「ふう・・・」
優菜が、斧の柄を再び自分の右肩に預けながら、一息をついた。
「さっそく、お出ましってところかしらね」
優菜は、楽し気に口角を釣り上げながら、先ほど魔物が出てきた茂みの辺りに視線をやった。
気配としては、まだ他の魔物が潜んでいるように思える。
「優菜さん」
美羽が好戦的な優菜に対して忠告しようとする。
「このゲームの目的は、あくまでもあの球体の入手と、それを持ち帰ることです。魔物退治はほどほどに」
美羽に釘を刺された優菜は、それでも茂みから視線を外さず、
「わかってるわよ。でも、この辺りに潜んでるやつらは片付けた方がいいんじゃない?」
まだ潜んでいる魔物は何匹かいる。このまま野放しにしておいたら、こちらのスキをついて不意打ちを仕掛けてくる可能性もあった。
かといって、あまり相手にしすぎると、今度は目的物を探す時間が削られてしまう。ただでさえ、右も左もわからないような薄暗い森の中だ。余計なタイムロスはなるべく避けたいところだ。
「な、なあ・・・」
明子が優菜と美羽に話しかける。声が裏返っているのは、それだけ明子の動揺が激しいということでもあった。
「あんたたち、前にあんな奴と戦ったことがあるのか・・・?」
「あるわよ」
何でもないかのように、優菜は答えた。。
「あたしたちは、あのメイドのゲームにこれまで2回参加してるわ・・・そして、今回で3回目。あんなのとはしょっちゅう戦うことになると思うわよ」
「ゲームの種目にもよりますが、大会参加者同士だけでなく、魔物との戦いは避けて通れない道ですね」
明子は、先ほどの魔物が消えてしまった場所に目を移した。
たった今、優菜が斬り捨てた魔物は、恐らくはさほど強くない個体だったのだろうが、それでも明子にとっては未知の存在であるのは違いなかった。
ーいざとなったら、戦うしかないのかー
明子はちらっと、自らの擬体化武器に目を移した。
優菜の斧や美羽のレイピアと異なり、明子の爪はリーチが短い。もし魔物が突然自分の目の前に現れた場合、果たして自分は戦うことができるのだろうか・・・?
「こ、こいつが・・・魔物なのか・・・」
見た目は、黒いケダモノだった。頭部には触覚らしきものが生えており、全身は黒い毛玉ーというか、元々は何かの動物だったものをどす黒い瘴気のようなものが纏わりついていたーそのように思われた。尤も、この大きさで触覚が生えているというのも不思議なので、元は普通の動物ですらないのかもしれないのだが。
魔物は、しばらくの間ピクピクと痙攣していたが、やがて力尽きたのか、そのまま黒い瘴気を辺りに霧散させるようにして消滅していった。
ーキキィィィ・・・ー
この魔物の断末魔の叫び声なのだろうかー耳障りな甲高い悲鳴が聞こえなくなるとともに、魔物も完全に霧消してしまった。
「ふう・・・」
優菜が、斧の柄を再び自分の右肩に預けながら、一息をついた。
「さっそく、お出ましってところかしらね」
優菜は、楽し気に口角を釣り上げながら、先ほど魔物が出てきた茂みの辺りに視線をやった。
気配としては、まだ他の魔物が潜んでいるように思える。
「優菜さん」
美羽が好戦的な優菜に対して忠告しようとする。
「このゲームの目的は、あくまでもあの球体の入手と、それを持ち帰ることです。魔物退治はほどほどに」
美羽に釘を刺された優菜は、それでも茂みから視線を外さず、
「わかってるわよ。でも、この辺りに潜んでるやつらは片付けた方がいいんじゃない?」
まだ潜んでいる魔物は何匹かいる。このまま野放しにしておいたら、こちらのスキをついて不意打ちを仕掛けてくる可能性もあった。
かといって、あまり相手にしすぎると、今度は目的物を探す時間が削られてしまう。ただでさえ、右も左もわからないような薄暗い森の中だ。余計なタイムロスはなるべく避けたいところだ。
「な、なあ・・・」
明子が優菜と美羽に話しかける。声が裏返っているのは、それだけ明子の動揺が激しいということでもあった。
「あんたたち、前にあんな奴と戦ったことがあるのか・・・?」
「あるわよ」
何でもないかのように、優菜は答えた。。
「あたしたちは、あのメイドのゲームにこれまで2回参加してるわ・・・そして、今回で3回目。あんなのとはしょっちゅう戦うことになると思うわよ」
「ゲームの種目にもよりますが、大会参加者同士だけでなく、魔物との戦いは避けて通れない道ですね」
明子は、先ほどの魔物が消えてしまった場所に目を移した。
たった今、優菜が斬り捨てた魔物は、恐らくはさほど強くない個体だったのだろうが、それでも明子にとっては未知の存在であるのは違いなかった。
ーいざとなったら、戦うしかないのかー
明子はちらっと、自らの擬体化武器に目を移した。
優菜の斧や美羽のレイピアと異なり、明子の爪はリーチが短い。もし魔物が突然自分の目の前に現れた場合、果たして自分は戦うことができるのだろうか・・・?
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