百合斬首~晒しな日記~

ミケとポン太

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第4章 更なる戦い

第379話 ゲーム会場へようこそ19

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 右も左もわからぬ森の中で、偶然見つけた倒木に3人そろって腰掛ける明子たち。
「シチュエーションは、森の小人さん達、みたいなところでしょうか?」
 美羽が冗談めかしながら言った。美羽の言う通り、何かの童話にありそうなシチュエーションではある。明子は、まるでファンタジーの世界に迷い込んでしまったかのような気分になった。
「そんな呑気なこと言ってる場合じゃないわよ・・・まあ、アンタにとってはこの状況すら面白くて仕方がないんだろうけどさ」
 倒木の上に腰かけ、一息ついている間でも、優菜は周囲に対して警戒を怠ってはいない。さすがにゲームを過去に2度も経験しているだけのことはあった。
 今のところ、明子たちは魔物にもトラップにも遭遇していないが、それはたまたま運がよかったというだけの話なのかもしれない。
 いまだに明子たちと合流できない他のメンバーのことも気にかかる。
「森と言うからには、熊みたいな危ない魔物が出る可能性もあるでしょうか?」
 明子たちが、生前ーつまりは、日本で暮らしていた頃には、住宅街でも熊が出没してたびたび被害をもたらしていたのだった。最近の熊は、気候変動の影響もあってか、山に餌が少なくなってきていることもあり、人里近くーどころか人里そのものにさえ降りてくるようになっていたのだった。
 いわゆる「アーバンベア」である。
「まあ、熊も怖いと言っちゃあ怖いけどさ・・・多分、熊よりももっとやばいのが出てくると思う」
 優菜が頬を掻きながら言った。それから、明子の表情が暗くなるのを見て、
「ああ、怖がらせてごめん・・・でも、ゲーム経験者のあたしからすれば、魔物よりも普通の動物の方がまだ何とかしやすいところがあるってのが正直なところかな・・・こっちが擬体化装備を使うことができる分、魔物の方もかなり手ごわくなってるから」
「まあ、相手にもよりますけどね・・・青くて半透明でおめ目ぱっちりのアメーバ状の魔物さんは、簡単に倒せそうですが・・・」
 明子の脳裏を、某竜退治ゲームに出てくるあの雑魚キャラの姿が掠めていた。あまりテレビゲームをやらない明子だったが、さすがにその存在くらいは把握していた。
「・・・それ、テレビゲームの話でしょ・・・このゲームでやり合う連中は、そんなスライムみたいなやつらとは違うわよ」
 ーなんだ、違うのかー
 少しだけがっかりする明子だった。
 倒木に腰かけて、無駄話をしているうちに、疲労の方は少しずつ回復してきたようだった。今ならさらに歩き回ることも可能だろうが、この右も左もわからない森の中をただやみくもに歩き回っても埒が明かない。
「今のうちに、3人ともそれぞれの擬体化装備を確認しておかない?」
 優菜の提案で、明子を含む3人の擬体化装備の確認作業を行うことになった。
 
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