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第4章 更なる戦い
第377話 ゲーム会場へようこそ17
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「う、うわあああっ!?」
目もくらまんばかりの輝きが辺りを覆う。
明子だけでなく、全員が思わず目を閉じた。
そしてー
「・・・う、うう・・・んん」
気が付けば、明子たちは見知らぬ森の中にいた。
「・・・ここ、どこだ?」
明子は、頭を振りながら、周囲を見渡した。
見たところ、かなり薄暗い森の中だった。見上げてみると、厚い樹冠がまるで空を覆い隠さんばかりに視界を遮っている。それでも、わずかながらに見える空の状態から、まだそんなに遅い時間帯ではないということだけはよくわかった。
気温は特に高いということもない。湿度もそれなりーてっきり熱帯雨林にでも飛ばされたかと思ったが、どうやらそこまで高温多湿な場所でもなかったらしい。
とはいえ、いきなり右も左もわからぬ森に飛ばされて、しかもさっきまで一緒にいた優菜たちとはぐれてしまったので、明子は少し心細くなった。
するとー
「今度のフィールドは・・・森なのかしらね?」
優菜の声が聞こえたので、声のした方を振り返ってみる。
すると、優菜は美羽と一緒にこちらに向かって歩いてきていた。
「どうでしょう?森の中にいるのは確かですが・・・フィールドの広さにもよると思いますよ」
「あ、優菜さん、美羽さん」
明子はこちらに気が付かずに近寄ってくる優菜たちに手を振った。
「あ、ここにいたのね」
「さっき、はぐれてしまったので探していたんですよ」
謎の異空間を飛ばされていた時には近くにいた2人だったが、どうやらこのフィールドに放り出された時点で少し離れた場所に飛ばされてしまったのようだ。
「ここが、ゲームのフィールドってやつなのかな?」
薄暗い森の中をきょろきょろ落ち着きなく見回しながら、優菜たちにそれとなく尋ねてみる。
「そうね。あのメイドさんが何でこんな辛気臭い森をフィールドに選んだのかはよくわかんないけど」
昼間でも薄暗い森ー時折、どこかで聞いたことがあるようなないような鳥の鳴き声や何やら野犬のような唸り声も聞こえてくる。
「でも、こういう場所なら、確かに魔物はいそうですよね」
美羽が、油断なく辺りに視線を向けながら言った。さすがにゲーム経験者というだけあって、普段のゆるふわな印象とは違って気を引き締めるべき時はわかっているようだった。
「ああ・・・魔物はやっぱりいそうだよね・・・」
魔物と聞いて思わず顔を引きつらせる明子。
あのメイドさんの説明によれば、明子たちの擬体化能力はこのゲームに挑んだ時点で解放されているはずだ。つまりは、魔物と戦うことは前提なのだろう。
もちろん、魔物以外ーつまりは敵チームの連中とも戦うことになりそうだが。
「魔物だけでなく、トラップもあると聞いたけど」
森に仕掛けるトラップと言えば、例えば狩りの時に獲物がかかるように仕掛けるものを連想してしまう。トラばさみ的なものだろうか。
「まさかとは思うけど、檻の中に食べ物ぶら下げて中に入ると檻が閉まるようなやつとかもあるのかしらね」
冗談めかしてーというか、恐らく冗談なんだろうがー優菜が言った。
「私たちは森のクマさんと同じ扱いですか」
フフフ・・・と微笑しながら優菜にツッコミを入れる美羽だった。
こうやって、冗談を言い合えているということは、さすがに二人とも経験者としての余裕があるということなのだろう。
ー魔物にしろ、トラップにしろ、あたし大丈夫かなー
一人不安になる明子であった。
目もくらまんばかりの輝きが辺りを覆う。
明子だけでなく、全員が思わず目を閉じた。
そしてー
「・・・う、うう・・・んん」
気が付けば、明子たちは見知らぬ森の中にいた。
「・・・ここ、どこだ?」
明子は、頭を振りながら、周囲を見渡した。
見たところ、かなり薄暗い森の中だった。見上げてみると、厚い樹冠がまるで空を覆い隠さんばかりに視界を遮っている。それでも、わずかながらに見える空の状態から、まだそんなに遅い時間帯ではないということだけはよくわかった。
気温は特に高いということもない。湿度もそれなりーてっきり熱帯雨林にでも飛ばされたかと思ったが、どうやらそこまで高温多湿な場所でもなかったらしい。
とはいえ、いきなり右も左もわからぬ森に飛ばされて、しかもさっきまで一緒にいた優菜たちとはぐれてしまったので、明子は少し心細くなった。
するとー
「今度のフィールドは・・・森なのかしらね?」
優菜の声が聞こえたので、声のした方を振り返ってみる。
すると、優菜は美羽と一緒にこちらに向かって歩いてきていた。
「どうでしょう?森の中にいるのは確かですが・・・フィールドの広さにもよると思いますよ」
「あ、優菜さん、美羽さん」
明子はこちらに気が付かずに近寄ってくる優菜たちに手を振った。
「あ、ここにいたのね」
「さっき、はぐれてしまったので探していたんですよ」
謎の異空間を飛ばされていた時には近くにいた2人だったが、どうやらこのフィールドに放り出された時点で少し離れた場所に飛ばされてしまったのようだ。
「ここが、ゲームのフィールドってやつなのかな?」
薄暗い森の中をきょろきょろ落ち着きなく見回しながら、優菜たちにそれとなく尋ねてみる。
「そうね。あのメイドさんが何でこんな辛気臭い森をフィールドに選んだのかはよくわかんないけど」
昼間でも薄暗い森ー時折、どこかで聞いたことがあるようなないような鳥の鳴き声や何やら野犬のような唸り声も聞こえてくる。
「でも、こういう場所なら、確かに魔物はいそうですよね」
美羽が、油断なく辺りに視線を向けながら言った。さすがにゲーム経験者というだけあって、普段のゆるふわな印象とは違って気を引き締めるべき時はわかっているようだった。
「ああ・・・魔物はやっぱりいそうだよね・・・」
魔物と聞いて思わず顔を引きつらせる明子。
あのメイドさんの説明によれば、明子たちの擬体化能力はこのゲームに挑んだ時点で解放されているはずだ。つまりは、魔物と戦うことは前提なのだろう。
もちろん、魔物以外ーつまりは敵チームの連中とも戦うことになりそうだが。
「魔物だけでなく、トラップもあると聞いたけど」
森に仕掛けるトラップと言えば、例えば狩りの時に獲物がかかるように仕掛けるものを連想してしまう。トラばさみ的なものだろうか。
「まさかとは思うけど、檻の中に食べ物ぶら下げて中に入ると檻が閉まるようなやつとかもあるのかしらね」
冗談めかしてーというか、恐らく冗談なんだろうがー優菜が言った。
「私たちは森のクマさんと同じ扱いですか」
フフフ・・・と微笑しながら優菜にツッコミを入れる美羽だった。
こうやって、冗談を言い合えているということは、さすがに二人とも経験者としての余裕があるということなのだろう。
ー魔物にしろ、トラップにしろ、あたし大丈夫かなー
一人不安になる明子であった。
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