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第4章 更なる戦い
第361話 ゲーム会場へようこそ
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小川明子、朝霧優菜、一ノ瀬美羽の背後に現れた銀色の扉ー
「まずい、あれに吸い込まれると・・・」
「もう、逃げられないわよ、朝霧優菜!」
銀色の扉を見て焦り出す優菜に対し、メイドさんは勝ち誇ったような笑みを浮かべながら、扉を指さしていた。その動作が合図なのか、突如として銀色の扉が開きー
「きゃああっ!!」
「いやああっ!!」
「うわああっ!!」
銀色の扉が開くと、そこにはまるで宇宙のような暗黒の空間が広がっている。ところどころに輝きがあるのは、まさしく宇宙に瞬いている無数の星々のそれを連想させるものだった。
そして、3人の少女はろくに抵抗することもできず、そのまま扉の中の空間へと吸い込まれていくーそれこそ、まるで宇宙船から外に放り出されたような感覚だった。
「私のゲーム会場へ3名様、ご案内~」
メイドさんが、なすすべもなく吸い込まれていく3人の姿を見て、なんとも愉快気に口角を釣り上げている。対して、その傍らに控えている2人のボロ着姿の少女たちは剣呑な輝きを放つ瞳を扉へと向け続けていた。
「うううう」
「るるるる」
まるで野犬のように唸り声を上げ続ける2人に対し、
「もういいわ、扉を閉めて頂戴」
よほど躾がなされているのか、2人の少女はすぐさま立ち上がると、先ほどと同じような恰好でそれぞれの腕を扉に向けて伸ばす。
ギギギ・・・という重々しい音とともに、銀色の扉は閉まり、そしてー
まるで最初から何もなかったかのように、姿を消したのだった。
その様子を満足げな表情で見つめるメイドさん。
「ふふふ・・・」
思わず笑みがこぼれた。
「これで、ゲーム参加可能人数が揃ったわね」
しばらくの間、ゲームは人数不足により開催していなかった。今回、幸いだったのは、朝霧優菜や一ノ瀬美羽のほかに参加者を確保できたということだった。ちょうどあと1人足りなかったのだ。それを補充できたのは幸運と言えよう。
「ご主人様」
「ご主人様」
双子が、先ほどまでとは打って変わってなんとも気弱そうな瞳をメイドさんの方に向けていた。見ようによっては、彼女たちは自らのご主人様に怯えているようにも見えた。ついでに、2人の呼びかける声が見事にハモッていたりする。
この場に、もし明子たちが残っていたなら、この双子が会話できることに多少驚いたかもしれない。
「お前たち、わかっているだろうけど、ゲーム会場へ戻るまではおとなしくしているのよ」
「はい」
「はい」
2人が同時に返事をする。なんとも従順な2人の頭を優しく撫でてやるメイドさん。2人の瞳からは、先ほどまで主人に抱いていた怯えの色は失せていた。
「あら、お前・・・包帯がとれかけているわね」
明子が、首の傷を見てしまった少女だ。どう見ても、首を切断されたとしか思えないような傷痕が生々しく残っているー尤も、首を切断されればどんな人間でも生きてはいないだろうが。
「後で包帯を巻きなおしてあげるわ・・・いいこと、絶対に傷を他人に見られてはだめよ」
無言でこくんと頷く少女。その首の傷に、いったいどんな意味があるのかー
「まずい、あれに吸い込まれると・・・」
「もう、逃げられないわよ、朝霧優菜!」
銀色の扉を見て焦り出す優菜に対し、メイドさんは勝ち誇ったような笑みを浮かべながら、扉を指さしていた。その動作が合図なのか、突如として銀色の扉が開きー
「きゃああっ!!」
「いやああっ!!」
「うわああっ!!」
銀色の扉が開くと、そこにはまるで宇宙のような暗黒の空間が広がっている。ところどころに輝きがあるのは、まさしく宇宙に瞬いている無数の星々のそれを連想させるものだった。
そして、3人の少女はろくに抵抗することもできず、そのまま扉の中の空間へと吸い込まれていくーそれこそ、まるで宇宙船から外に放り出されたような感覚だった。
「私のゲーム会場へ3名様、ご案内~」
メイドさんが、なすすべもなく吸い込まれていく3人の姿を見て、なんとも愉快気に口角を釣り上げている。対して、その傍らに控えている2人のボロ着姿の少女たちは剣呑な輝きを放つ瞳を扉へと向け続けていた。
「うううう」
「るるるる」
まるで野犬のように唸り声を上げ続ける2人に対し、
「もういいわ、扉を閉めて頂戴」
よほど躾がなされているのか、2人の少女はすぐさま立ち上がると、先ほどと同じような恰好でそれぞれの腕を扉に向けて伸ばす。
ギギギ・・・という重々しい音とともに、銀色の扉は閉まり、そしてー
まるで最初から何もなかったかのように、姿を消したのだった。
その様子を満足げな表情で見つめるメイドさん。
「ふふふ・・・」
思わず笑みがこぼれた。
「これで、ゲーム参加可能人数が揃ったわね」
しばらくの間、ゲームは人数不足により開催していなかった。今回、幸いだったのは、朝霧優菜や一ノ瀬美羽のほかに参加者を確保できたということだった。ちょうどあと1人足りなかったのだ。それを補充できたのは幸運と言えよう。
「ご主人様」
「ご主人様」
双子が、先ほどまでとは打って変わってなんとも気弱そうな瞳をメイドさんの方に向けていた。見ようによっては、彼女たちは自らのご主人様に怯えているようにも見えた。ついでに、2人の呼びかける声が見事にハモッていたりする。
この場に、もし明子たちが残っていたなら、この双子が会話できることに多少驚いたかもしれない。
「お前たち、わかっているだろうけど、ゲーム会場へ戻るまではおとなしくしているのよ」
「はい」
「はい」
2人が同時に返事をする。なんとも従順な2人の頭を優しく撫でてやるメイドさん。2人の瞳からは、先ほどまで主人に抱いていた怯えの色は失せていた。
「あら、お前・・・包帯がとれかけているわね」
明子が、首の傷を見てしまった少女だ。どう見ても、首を切断されたとしか思えないような傷痕が生々しく残っているー尤も、首を切断されればどんな人間でも生きてはいないだろうが。
「後で包帯を巻きなおしてあげるわ・・・いいこと、絶対に傷を他人に見られてはだめよ」
無言でこくんと頷く少女。その首の傷に、いったいどんな意味があるのかー
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