百合斬首~晒しな日記~

ミケとポン太

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第4章 更なる戦い

第344話 小川明子24

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 小川明子、藤原優里が気づいてしまった記憶の問題ー
 当然のことながら、彩木穂乃果がそのことに気が付かないはずもなかった。
 穂乃果がそのことに気が付いたのは、やはり自らが見た夢でのことー
 アエローたちとのプチ女子会はお開きとなり、3人が部屋を出て行った後、しばらくして穂乃果にも睡魔が襲い掛かってきた。今までアエローたちにいじられていたこともあり、また、今日の戦いのこともあって、眠気はそう感じたことはなかったのだが、一人になって少し落ち着いてくると、日中の疲れがもろに出てきて、穂乃果を深い眠りへと誘っていった。
 やはり、穂乃果も明子と同様に、自分が夢を見ているのだという実感はあった。つまりは明晰夢である。夢の舞台は、かつて日本にいた時に通っていた学校でのことだった。この辺りも明子とよく似ていた。
 穂乃果は、明子とは異なり文化部に所属していた。元々、運動はあまり得意ではない。明子のように動き回るよりも、部屋でおとなしくしていた方が彼女の性分にはあっていたということもあり、ほぼ迷うこともなく文化部への入部を決めた。
 文化部ーといっても、実は人数の関係から正式に部活として認められたわけではない同好会であり、放課後に集まっては各自が持ち寄った本を読むというのが通例だった。
 要するに、読書同好会である。
 一応、女子の先輩が部長代理を務めているほか、他のクラスの男子が1名在籍していた。所詮は同好会クラスなので、他の部活のように予算を割り振ってもらえるというわけでもなく、彼女たちが持ち寄る本も、全て自腹か図書館で借りてきたものかのいずれかである。
 穂乃果にとって、放課後の部室で夕焼けに照らされながら静かに本を読むというのは、それだけで憩いのひと時でもあったのだ。おそらく、想い人の小川明子なら10分もせずに音を上げてしまうだろう。そもそも、明子は本を開いて2~3ページ目を通しただけで眠くなってしまうような子だった。自分とは対照的な存在ながら、なぜか気が合い、気が付けば相思相愛の仲になっていたのだから、世の中とはよくわからないものである。
 さすがに、小川明子の名前に関しては、例え夢の中であろうとも忘れることもなく出てくる。だが、穂乃果が異変に気が付いたのは、その後の事である。
「・・・あれ?」
 穂乃果も、今自分が眠っていて、これは夢を見ているのだということは認識している。いわゆる明晰夢なのもわかっている。今の自分が学校にいること自体あり得ないことだからだ。
 ただ、その中でもどうしても払しょくできない違和感があった。それはー
「・・・なぜ、先輩たちの名前を思い出せないのかしら?」
 明子や優里同様に、やはり穂乃果も自らにとって近しい人々の名前だけが思い出せなくなっていたのだったー
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