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第4章 更なる戦い
第342話 小川明子22
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普段から、頭よりも体を使うことの方が得意な明子にとって、今目を通した本はまさに最高の睡眠薬であった。本を開いてから、わずか数ページー要するに、前書きの段階だーを読んだ時点で、既に明子の脳は睡眠を欲するようになっていた。
「さすが、あたしだあ・・・全然、わかんないや」
怒涛の如く襲い掛かってくる睡魔に勝てるはずもなく、小川明子はあっけなく眠りへと落ちていった。そして、今度は夢を見ることもなく普通に朝を迎えることができたのだ。
そんな明子とは対照的なのが、藤原優里だった。彼女は逆に、身体よりも頭を使う方を得意としていたこともあり、夜に難しい本など読もうものなら、却って目が覚めてしまうのだ。
本人もそれを自覚しているので、本は読まなかったが、しかし目が覚めてしまっても他にやることなどない。
どうせ寝付けないのなら、なにがしか読んでいた方が有意義だろう。
そう思い、なぜか部屋に備え付けてあった本を手に取る。
運営側がどういう意図のもとにこういった書籍を部屋の中に配置したのかは不明である。参加者に読ませるにしては、いずれもハードルが高すぎる内容のようにも思える本ばかりだった。
実際、今、優里が手にしている本を読みたいと思う者は、かなりの少数に留まるだろう。明らかに、高校生レベルのものではなかった。
「運営側も、いったい何をお考えなのか、よくわからないですね」
今、優里が手にしている本は、どうやら歴史の専門書のようである。古代ローマ時代を扱った内容のようだった。
優里自身は、歴史に対してさほど好きというわけでもない。だが、こうして難解な書籍に目を通すこと自体は結構好きだった。
こうしてみれば、自分は戦いには向かないのではないか、とさえ思えてくるが、今のところ優里は負け知らずであり(というより、負けた時点で死を意味するわけだが)、文武両道をまさに体現しているとも言えよう。
「こういう本について語り合える人が近くにいたら、面白いのだけれど・・・」
ため息交じりに呟く優里。わかってはいるが、そんな彼女のかすかな願いをかなえてくれそうな相手には遭遇しそうになかった。
「さすが、あたしだあ・・・全然、わかんないや」
怒涛の如く襲い掛かってくる睡魔に勝てるはずもなく、小川明子はあっけなく眠りへと落ちていった。そして、今度は夢を見ることもなく普通に朝を迎えることができたのだ。
そんな明子とは対照的なのが、藤原優里だった。彼女は逆に、身体よりも頭を使う方を得意としていたこともあり、夜に難しい本など読もうものなら、却って目が覚めてしまうのだ。
本人もそれを自覚しているので、本は読まなかったが、しかし目が覚めてしまっても他にやることなどない。
どうせ寝付けないのなら、なにがしか読んでいた方が有意義だろう。
そう思い、なぜか部屋に備え付けてあった本を手に取る。
運営側がどういう意図のもとにこういった書籍を部屋の中に配置したのかは不明である。参加者に読ませるにしては、いずれもハードルが高すぎる内容のようにも思える本ばかりだった。
実際、今、優里が手にしている本を読みたいと思う者は、かなりの少数に留まるだろう。明らかに、高校生レベルのものではなかった。
「運営側も、いったい何をお考えなのか、よくわからないですね」
今、優里が手にしている本は、どうやら歴史の専門書のようである。古代ローマ時代を扱った内容のようだった。
優里自身は、歴史に対してさほど好きというわけでもない。だが、こうして難解な書籍に目を通すこと自体は結構好きだった。
こうしてみれば、自分は戦いには向かないのではないか、とさえ思えてくるが、今のところ優里は負け知らずであり(というより、負けた時点で死を意味するわけだが)、文武両道をまさに体現しているとも言えよう。
「こういう本について語り合える人が近くにいたら、面白いのだけれど・・・」
ため息交じりに呟く優里。わかってはいるが、そんな彼女のかすかな願いをかなえてくれそうな相手には遭遇しそうになかった。
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