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第4章 更なる戦い
第337話 小川明子17
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「逃げるべきかもしれないけど・・・今日はもう、体が動かないや・・・」
202室ー部屋の明かりを消してベッドに横たわっている明子に、もはや外へ出る気力もなかった。
「まあ、ドアはきちんとロックしてあるし、誰かがいたとしても勝手に入ってくることはないと思うけど」
今日のところは大丈夫だろう。そう思うと、激しい睡魔が襲ってきた。
「今日は・・・もう寝るか」
さしもの彼女も睡魔には勝てず、その日はそのまま眠りについたー
夢の中で、彼女は校庭のグラウンドで準備運動をしていた。
ーあ、これ、明晰夢ってやつだー
自分が夢を見ているという認識がある。明らかに明晰夢と呼ばれるものだった。
明子の名前を呼ぶ、同じ部活の少女たちの声がする。そちらに顔を向け、返事をしようとするーが。
ーあれ・・・?ー
相手の名前がなぜか出てこない。同じ部活の同級生なのだから、名前を忘れるわけがないのだが、不思議なことに、どうしても彼女たちの名前が出てこないのだ。
ーまあ、夢の中だから、そういうこともあるのかもしれないしー
とりあえず、相手の名前のことは置いといて、少女たちに駆け寄っていく明子。短距離走なら彼女の右に出る者はいないー多分。
ーそれにしても、部活か・・・このアルカディア島にも学校はあるようだけど、誰もいないしなあー
いるとしても、それは潜伏中の参加者だったりする。当然、命を狙われる羽目になる。そのおかげで何度も逃げ回ることになった。
ー日本が懐かしいけど・・・帰れないよね、あたしー
帰るにしても、穂乃果と一緒に帰りたいーが、それはできないということもわかっている。
ー部活のみんな、どうしてるかな?ー
夢の中の彼女たちはみないつもの通りだった。たまに男子が絡んでくることもあるが、それもまあありふれたことだ。
部活の顧問の声がする。呼ばれるままに、顧問の元へと駆け寄ってー
ーあれ?ー
今度は、部活の顧問の名前が出てこない。
ーなんで、身近な人の名前が思い出せないんだろうー
不思議なことに、容姿についてはわかる。夢ゆえか、多少ぼやけて見えるのだが、あれは先輩、こっちは後輩、そしてあそこには顧問の先生、と。
だが、名前だけはどうしても出てこない。夢だからーと言って片付けてしまえば楽なのかもしれないが、何か消化不良気味な気分の悪さを感じる。
「どうして、あたしは相手の名前だけ思い出せないんだ?」
夢の中で独り言ちる明子。そして、その自分の声で目を覚ましてしまった。
ー・・・?ー
なんともおかしな夢である。明晰夢であり、さらには起きた後でもその内容はよく覚えていた。
頭を振って、もう一度寝ようとする。二度寝しようとしてーふと、気が付いた。
「あ、れ・・・?」
寝ぼけているのだろうか・・・なんと、起きた後でも、夢の中に出てきた者達の名前を思い出すことができなかったのだ。
202室ー部屋の明かりを消してベッドに横たわっている明子に、もはや外へ出る気力もなかった。
「まあ、ドアはきちんとロックしてあるし、誰かがいたとしても勝手に入ってくることはないと思うけど」
今日のところは大丈夫だろう。そう思うと、激しい睡魔が襲ってきた。
「今日は・・・もう寝るか」
さしもの彼女も睡魔には勝てず、その日はそのまま眠りについたー
夢の中で、彼女は校庭のグラウンドで準備運動をしていた。
ーあ、これ、明晰夢ってやつだー
自分が夢を見ているという認識がある。明らかに明晰夢と呼ばれるものだった。
明子の名前を呼ぶ、同じ部活の少女たちの声がする。そちらに顔を向け、返事をしようとするーが。
ーあれ・・・?ー
相手の名前がなぜか出てこない。同じ部活の同級生なのだから、名前を忘れるわけがないのだが、不思議なことに、どうしても彼女たちの名前が出てこないのだ。
ーまあ、夢の中だから、そういうこともあるのかもしれないしー
とりあえず、相手の名前のことは置いといて、少女たちに駆け寄っていく明子。短距離走なら彼女の右に出る者はいないー多分。
ーそれにしても、部活か・・・このアルカディア島にも学校はあるようだけど、誰もいないしなあー
いるとしても、それは潜伏中の参加者だったりする。当然、命を狙われる羽目になる。そのおかげで何度も逃げ回ることになった。
ー日本が懐かしいけど・・・帰れないよね、あたしー
帰るにしても、穂乃果と一緒に帰りたいーが、それはできないということもわかっている。
ー部活のみんな、どうしてるかな?ー
夢の中の彼女たちはみないつもの通りだった。たまに男子が絡んでくることもあるが、それもまあありふれたことだ。
部活の顧問の声がする。呼ばれるままに、顧問の元へと駆け寄ってー
ーあれ?ー
今度は、部活の顧問の名前が出てこない。
ーなんで、身近な人の名前が思い出せないんだろうー
不思議なことに、容姿についてはわかる。夢ゆえか、多少ぼやけて見えるのだが、あれは先輩、こっちは後輩、そしてあそこには顧問の先生、と。
だが、名前だけはどうしても出てこない。夢だからーと言って片付けてしまえば楽なのかもしれないが、何か消化不良気味な気分の悪さを感じる。
「どうして、あたしは相手の名前だけ思い出せないんだ?」
夢の中で独り言ちる明子。そして、その自分の声で目を覚ましてしまった。
ー・・・?ー
なんともおかしな夢である。明晰夢であり、さらには起きた後でもその内容はよく覚えていた。
頭を振って、もう一度寝ようとする。二度寝しようとしてーふと、気が付いた。
「あ、れ・・・?」
寝ぼけているのだろうか・・・なんと、起きた後でも、夢の中に出てきた者達の名前を思い出すことができなかったのだ。
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