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第4章 更なる戦い

第310話 彩木穂乃果41

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 のるかそるかの大勝負ー
 眼鏡の少女にとっては、まさに、乾坤一擲の勝負となる。
「このまま、かわし続けるのももう限界よね・・・ならば」
 眼鏡の少女が、よろめきながらも何とか剣を構え直した。正面には青白い光の奔流に包まれた全裸の穂乃果。煽情的ながらもどこか神々しささえ感じられるその姿に、思わず圧倒されかけたがー
「これが最後の勝負よ・・・」
 眼鏡の少女が、穂乃果に斬りかかっていく。
 それを迎え撃とうと、穂乃果も接近してくる。
 もう回避も防御も不要ーならば、持てる力すべてをもって穂乃果に叩き込むのみー
 ほとんど賭けだ。しかも、かなり勝率は低い。
 しかし、賭けるしかない。だからこそ、乾坤一擲の勝負だった。
 眼鏡の少女、穂乃果の擬体化剣が切り結ばれる。
 穂乃果の体から迸る青白い光は、その敵対者である眼鏡の少女の体にも纏わりつき、包み込んで来る。
 その光景は、まるで2人の少女を未来永劫分かつことのできない光の帯が包み込んでいるかのようだった。
 実際には、この後すぐに永遠の別れが訪れる。
 どちらが膝をつくのかー
 ーーーーー
 擬体化剣が、折れたー
「・・・っ!?」
「・・・」
 そして、もう一方の擬体化剣が、対戦者に対して未来永劫の別れを告げる一撃を放っていた。
 相手の体に、袈裟懸け状に光の軌跡が走った。 

「・・・勝負、あったな・・・」
 それまで固唾を呑んで見守っていたアエローが呟いた。
 他の2人は、そんなアエローに応えることもなく、ただただ目の前の戦いの決着に見入っていた。

「・・・かなわなかった」
 ジャッジの音声を聞くまでもなくー
 膝をついたのは眼鏡の少女の方だった。
「全力だった・・・でも」
 まるで歯が立たなかった。すべての力を振り絞り、全てをこの一撃に賭けたというのにー
「・・・ははは」
 乾いた笑い声が喉から漏れるー尤も、もうすぐに声を発することさえできなくなってしまうのだがー
 ーでも、これはこれで一興かもしれないわねー
 今までの戦いは、自分が確実に勝てる相手ばかりを狙い撃ちにしてきた。相手を嬲るだけ嬲り、そして殺すーそれを何度か繰り返しているうちに、次第に感性が麻痺していく自分がいた。
 いつ終わるとも知れぬ虚しい勝利と殺戮ーそれにたった今、終止符が打たれたのだ。
 敗北による喪失感や目前に迫っている死の恐怖よりも、ようやく自分はこの虚無の連鎖から解放されたのだという安堵感の方が勝っていた。
 ーもう、あとはどうでもいいー
 最後の最後で、全力を振り絞ることができた。全力を乗せた一撃は、眼鏡の少女にとって人生最大にして最後の賭けとなった。
 そして、その賭けに敗れたーその先に待つのは、解放だ。
 穂乃果の青白い光が収まっていく。戦いが終わるとともに、穂乃果の体から闘気や闘争心が失われていったのだ。
「あなたの勝ちよ、彩木穂乃果さん」
 眼鏡の少女ーその名を荒木頼子というーは、初めて穂乃果のことを名前で呼んだ。
 自分を打ち負かし、この虚無の連鎖から解放してくれた最高にして、最後の敵の名前をー
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