百合斬首~晒しな日記~

ミケとポン太

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第4章 更なる戦い

第309話 彩木穂乃果40

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 再び、彩木穂乃果と眼鏡の少女との戦いの場に戻るー
「がはっ!!」
 背後の店の壁に、したたかに背中を打ち付ける眼鏡の少女。そこに、すかさずジャッジの無機質な音声が割り込んできた。
「ーーー擬体破損率24%」
「・・・っ!?」
 幽鬼のような表情で、剣を構えながらこちらを見据える穂乃果に対し、眼鏡の少女はよろめきながら何とか立ち上がるくらいのことしかできなかった。
 さっきから、防戦一方の戦いを強いられている。こちらから攻撃を仕掛けようにも、およそ人間離れしているとしか思えない穂乃果の動きに翻弄され、結局は守るか避けるかしかできなくなっていた。
 その間にも、じわじわとダメージは蓄積してくる。眼鏡の少女の擬体破損率は、既におよそ1/4にまで達していた。
「私がここまで追いつめられるなんて・・・」
 苦々し気に呟く眼鏡の少女。手も足も出ないとは、まさにこのことだった。
 穂乃果の体を覆い尽くす青白い光の奔流は、未だ衰える気配すら見せていない。おそらく、この戦いが終わるまでは消えることも無いだろう。
 ーどうする?ー
 心中で自問する眼鏡の少女。かつてない戦いに、普段は冷静な彼女もさすがに焦りを隠すことができないでいた。
 額から汗が顎まで伝って流れ落ちてくる。背筋にもいやな汗が流れている。
「・・・っ!!」
 立ち上がった眼鏡の少女を待っていたかのようなタイミングで、穂乃果が斬りかかってくる。青白い光の粒子を帯びた擬体化剣が、眼鏡の少女の胴体を横なぎにしようとする。
「・・・くうぅぅっ!?」
 その一撃が、かすかではあるが眼鏡の少女の脇腹を掠めた。擬体破損率が、さらにジワリと上がっていく。
 ダメージ自体は小さかったものの、まともに食らっていたなら胴体が両断されていてもおかしくはない一撃ーつまりは、その時点で擬体破損率は100%になっていただろう。
 眼鏡の少女とは異なり、穂乃果には相手を嬲るという意識はない。眼鏡の少女の回避能力がそれだけ高いということだ。ゆえに、これまでにも何度か危うい瞬間があったものの、何とかかろうじて回避に成功し、致命傷だけは避け続けてきた。
 しかし、それができるのも限界に近づいてきているようだった。
「・・・はあはあ」
 眼鏡の少女の息が切れ始めている。擬体を纏うということは、実はそれだけでも体力を消耗する。なので、大会参加者の中には、例え勝利したとしても、戦いが終わった時点でその場にばててしまう者も少なからずいるのだった。
 眼鏡の少女の体力も、そろそろ限界が迫ってきていた。
 ーこうなれば、いちかばちかー
 乾坤一擲の大勝負にかけるーそれが、眼鏡の少女に残された唯一の道だったー
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