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第4章 更なる戦い
第308話 彩木穂乃果39
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相変わらずの怖いもの知らずだー
葉月が半ば呆れながら、紗耶香に対して相槌を打つ。
紗耶香はふふんと得意げに笑うと、教室の窓から外へ視線を移した。
「あたしが殺したあいつもそういう奴だったんだよ」
何かを思い出すかのように目を細めながら、眼下の街並みを見据えている。ここは廃校舎の3階だ。周囲の街並みが一望できる。開け放たれた窓から吹き込んで来る穏やかな風に吹かれているうちに、生前の懐かしい記憶が蘇ってきた。
紗耶香は、かつて、同じ道場に通っていたあの少女のことを思い出していた。
2人の妹弟子と語らった教室も、そういえば3階にあったー正確に言えば、教室ではなくとある部室だった。
ちなみに、紗耶香もその2人の妹弟子も部活には入っていなかった。天元一刀流の道場に通うので忙しかったからだ。
紗耶香の妹弟子たちの親友が部長をやっている文化部の部室で、たまに紗耶香も誘われては一緒に語り合っていたのだった。
今にして思えば、実に他愛もない話で盛り上がっていたものだと自嘲する。
その後、まさかその2人を殺めることになるとは、紗耶香本人にも思っていなかったのだ。
未成年犯罪史上類を見ない事件だけに、世間を震撼させたーとはいえ、その犯人の紗耶香自身もその日に殺されているので、その様子を知ることはできなかったのだが。
もう、あの頃は戻っては来ないー敢えて戻りたいとも思わないが。
「あいつは・・・いや、あいつらか。今どこで戦ってるんだろうな・・・」
金色の髪を高く結い上げた薬師寺咲那と少し癖のある薄紫の髪をした和泉鏡香ー
この2人のうち、彩木穂乃果と似たタイプなのは和泉鏡香の方だ。
普段はおとなしいがゆえに、体の内に激しい奔流を秘めた少女ーあのように、内に秘めたものが強い者ほど怖い相手はいない。
「さて・・・思い出に浸るのもこれくらいにするか」
窓辺から離れて、葉月のもとへ向かう紗耶香。
「お前、もう大丈夫だろ?」
紗耶香が大丈夫かと尋ねたのは、勅使河原マヤの一件についてだ。
「・・・正直言うと、あたし1人だとまだきついっすね・・・」
葉月はまだ自信なさげな様子で応えた。もし、これから先、あの勅使河原と再会することがあればーと考えると、やはり気が重い。彼女に1人で立ち向かえる自身はなかった。
紗耶香も葉月も、この時はまだ知らなかったが、勅使河原マヤはこの島の刑務所の独房に入れられている。そこの刑務所長に戦いを挑んで負けたのだ。擬体を纏っての戦いではなかったので、命までは取られなかったものの、幽閉の身となっている。
「でも、先輩と一緒なら、大丈夫っすよ」
そう言って、紗耶香に自らの右手を差し出す。
「何だよ、手を繋げってのか?葉月」
「・・・そうしてもらえるとありがたいっすね」
葉月が悪戯っぽい仕草で舌先を見せてほくそ笑んだ。この小悪魔的な笑みも、彼女の魅力の一つだった。
「まったく、どこまで甘ったれなんだよ、お前は」
軽くため息をついて、紗耶香は苦笑しつつ葉月の手を取った。
「それじゃあ、そろそろ次の獲物でも探しに行くか」
「いいっすね!どこまでもお供するっすよ、先輩」
葉月が半ば呆れながら、紗耶香に対して相槌を打つ。
紗耶香はふふんと得意げに笑うと、教室の窓から外へ視線を移した。
「あたしが殺したあいつもそういう奴だったんだよ」
何かを思い出すかのように目を細めながら、眼下の街並みを見据えている。ここは廃校舎の3階だ。周囲の街並みが一望できる。開け放たれた窓から吹き込んで来る穏やかな風に吹かれているうちに、生前の懐かしい記憶が蘇ってきた。
紗耶香は、かつて、同じ道場に通っていたあの少女のことを思い出していた。
2人の妹弟子と語らった教室も、そういえば3階にあったー正確に言えば、教室ではなくとある部室だった。
ちなみに、紗耶香もその2人の妹弟子も部活には入っていなかった。天元一刀流の道場に通うので忙しかったからだ。
紗耶香の妹弟子たちの親友が部長をやっている文化部の部室で、たまに紗耶香も誘われては一緒に語り合っていたのだった。
今にして思えば、実に他愛もない話で盛り上がっていたものだと自嘲する。
その後、まさかその2人を殺めることになるとは、紗耶香本人にも思っていなかったのだ。
未成年犯罪史上類を見ない事件だけに、世間を震撼させたーとはいえ、その犯人の紗耶香自身もその日に殺されているので、その様子を知ることはできなかったのだが。
もう、あの頃は戻っては来ないー敢えて戻りたいとも思わないが。
「あいつは・・・いや、あいつらか。今どこで戦ってるんだろうな・・・」
金色の髪を高く結い上げた薬師寺咲那と少し癖のある薄紫の髪をした和泉鏡香ー
この2人のうち、彩木穂乃果と似たタイプなのは和泉鏡香の方だ。
普段はおとなしいがゆえに、体の内に激しい奔流を秘めた少女ーあのように、内に秘めたものが強い者ほど怖い相手はいない。
「さて・・・思い出に浸るのもこれくらいにするか」
窓辺から離れて、葉月のもとへ向かう紗耶香。
「お前、もう大丈夫だろ?」
紗耶香が大丈夫かと尋ねたのは、勅使河原マヤの一件についてだ。
「・・・正直言うと、あたし1人だとまだきついっすね・・・」
葉月はまだ自信なさげな様子で応えた。もし、これから先、あの勅使河原と再会することがあればーと考えると、やはり気が重い。彼女に1人で立ち向かえる自身はなかった。
紗耶香も葉月も、この時はまだ知らなかったが、勅使河原マヤはこの島の刑務所の独房に入れられている。そこの刑務所長に戦いを挑んで負けたのだ。擬体を纏っての戦いではなかったので、命までは取られなかったものの、幽閉の身となっている。
「でも、先輩と一緒なら、大丈夫っすよ」
そう言って、紗耶香に自らの右手を差し出す。
「何だよ、手を繋げってのか?葉月」
「・・・そうしてもらえるとありがたいっすね」
葉月が悪戯っぽい仕草で舌先を見せてほくそ笑んだ。この小悪魔的な笑みも、彼女の魅力の一つだった。
「まったく、どこまで甘ったれなんだよ、お前は」
軽くため息をついて、紗耶香は苦笑しつつ葉月の手を取った。
「それじゃあ、そろそろ次の獲物でも探しに行くか」
「いいっすね!どこまでもお供するっすよ、先輩」
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