百合斬首~晒しな日記~

ミケとポン太

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第4章 更なる戦い

第292話 彩木穂乃果23

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「あいつら止まったぞ」
「ここに隠れるんだ」
 場所を少しだけ移動した穂乃果たちを追っていたアエローたちだったが、2人が思ったほど場所を移動しなかったので、慌てて近くの店に駆け込んだ。
「ここなら見つからないだろう」
 3人が隠れたのは、近くにある本屋。さすがに、大きな駅を模しているだけあって、中に入っている書店もなかなかの規模のものだった。窓ガラス越しに、穂乃果と眼鏡の少女の様子を確認できる位置の本棚付近に隠れることにした。
「なあなあ、どっちが勝つと思う?」
 アエローがニヤケ面を浮かべながらオキュペテーとケライノーに尋ねてくる。
「あたしは眼鏡が勝つと思う」
「あたしも・・・って、アエロー、これ、賭けじゃねえよな?」
「ああ、賭け事じゃない・・・っていうか、この島でいくら賭け事したって意味ねえだろ。なんたって、お金自体が必要ない場所なんだし」
 アエローの言う通り、この島で暮らす分には1円もいらない。生活にお金がかからない以上は賭け事も流行らないのは当然だ。尤も、お金以外の持ち物を賭けの対象にすることはある。ケライノーは、そのことを問題にしているのだろう。
「何だ、それじゃあ3人とも赤毛じゃなくて眼鏡の方ってことかよ・・・面白くねえなあ」
 言い出しっぺのアエローも、眼鏡の少女の方が勝つと思っているようだった。
「あの赤毛の方は、どっちかっていうと「やられキャラ」とか「マゾキャラ」だろう。まあ、戦う気になったのは評価するけど・・・それに対して、あの眼鏡の方は、なんつうか、結構慣れてる感じじゃん?こういうの」
「まさしくドSキャラだよな・・・笑顔のまま相手を嬲れるっていう、とことん危ないやつ。まあ、あんなのに目をつけられたあの赤毛もまた、不運な奴だとは思うよ」
 オキュペテーの言う通り、確かに眼鏡の少女の方には余裕がある。それに対して穂乃果の方には余裕はない。確かに、戦う気になったことは評価できるが、いかんせん腰が引けているようにも見える。立ち振る舞いからして全くの素人であることは明らかだった。
 これでは、3人が予想するように穂乃果には勝ち目はないだろう。
「あの2人の獲物は同じ片手剣・・・武器が同じである以上は、あとは純粋に力量差でけりが着くって話だな」
 武器が同じである以上、勝敗を分けるのは、結局は個人の力量差による。この状況で、もし穂乃果に勝ちが訪れる可能性があるとしたら、相手の不意をつくか油断した隙を狙うかーいずれにしても、正攻法では到底勝つことはできないだろう。
 そして、全くの素人である穂乃果に、正攻法以外の戦い方があるとは思えなかった。
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