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第4章 更なる戦い

第268話 3人の看守たち3

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「・・・ん?」
「どうした、アエロー」
 何かの異変に気が付いたのか、アエローは辺りをきょろきょろと見回し始めた。
「この電車・・・他に誰か潜んでいるような気がする」
「・・・?」
 3人の中でも最も感覚の鋭いアエローが言うことだ。他の2人も辺りを警戒し始める。
「この車両じゃないな・・・もっと前の車両の方か」
 アエローが立ち上がり、車両の扉の方へと向かっていった。
「おい、アエロー」
 オキュペテーも座席から立ち上がり、アエローの後を追う。
「一人で迂闊に動くな・・・もし、今の話が本当なら、あたしら以外にもこの電車に誰か乗り込んでるってことになるだろ」
 少なくとも、前にアエローたちがこの電車に乗った駅のホームでは、乗客の乗降は確認できなかった。それならば、もしアエローの言う通り他の車両に誰かいるのなら、それは先客ということになるがー
「あたしら以外に電車に乗ってる参加者がいるってことか」
 前に、朝霞が報告してきた勅使河原という女みたいに、やばい先客だった場合、今の状況では逃げる方法もない。逃げ場がない中では迂闊な接触は控えるべきだろう。
「どうする?次の駅で一旦降りるか、2人とも」
 ケライノーが尋ねてくる。
 もともと、あてのない小旅行のつもりだった。特に行き先もない以上、無理にその先客とやらに付き合う必要もない。接触を避けるため。途中の駅で降りて引き返すというのも選択肢としてはありだった。
「次で一旦降りようか・・・この電車の中じゃさすがに逃げ場はないしな・・・万が一のことも考えよう」
 オキュペテーの言葉にうなずくケライノー。アエローだけは少し納得がいかないといった表情を浮かべていたものの、やはり得体の知れない相手は怖い。ここは素直に、2人に従うことにした。
「そうだな・・・危険は避けたいよな」
 このまましばらくはあてのない電車の旅を満喫しようかと思っていた矢先だというのに、残念だという気がしてならないが、でもよく考えてみれば、このアルカディア島ではどれだけ遠くに行こうが、何回電車を乗り継ごうが、一切お金はかからず、いつでも気楽に利用できるわけで、今無理をして乗り続ける必要もないだろう。
「そうと決まれば、いつでも降りれるように準備だけはしておけ」
 アエローは、ちらっと隣の車両に続く扉に視線を送ったものの、渋々2人に従った。

 アエローが察知した気配の主もまた、アエローたちの存在に気が付いていた。
「何人かいるわね・・・」
 相手は3人。もし戦いとなった場合は、数の上でもこちらの方が不利。ならばー
「ここは、手出ししない方がよさそうね」
 電車の窓を見やる赤毛の少女。彼女もまた、あてのない旅をしていたのだった。
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