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第4章 更なる戦い
第239話 追跡の果てに
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ところ変わって、再び朝霞ー
相変わらず、優香、ヒナ、静の3人は朝霞の追跡には気が付いていないようだった。3人でだべりながら、とある旅館の前で立ち止まった。
「・・・ここが、あいつらのアジト・・・ね」
どうやら、この場所が3人の活動拠点のようだ。
見た目は老舗旅館といったところで、なかなかの外観をしているが、3人以外は誰も使っていないのか、人気はほとんど感じられない。
「刑務所からは少し離れているようだけど・・・」
距離的には、刑務所よりは離れているー日本の街並みを参考にして作られただけあって、それもよく考えれば当たり前のことだと言えた。さすがに、刑事犯が閉じ込められている場所の近くで風呂に浸かりたいと考える人間は多くは無いだろう。
ここまで来るまでの間、朝霞は、特にこれと言った戦闘の痕を目撃していない。少なくとも、この辺りでの戦闘は今のところなさそうである。当然ながら、晒し首も見かけることはなかった。
ー最近見つけた首は、あのショーウィンドウの中のものだけかー
先ほど、アエローたちが看守が3人と別れ際にそれとなく尋ねてはいたものの、うまくはぐらかされた感じだった。
朝霞自身は、あの朝比奈紫苑をやったのはこの3人のうちのいずれかではないかと思っているー尤も、誰が殺したとしても、この島ではさして重要な問題ではないだろうが・・・。
「・・・!?」
ふいに、鉄扇を口元に当てている女ーあのリーダー格の娘だーが、こちらの方を向いたような気がして、朝霞はさらに気配を殺し、物陰に身を潜めた。こうしてみると、本物のくのいちのような気分になる。
まだ、気付かれてはいないようだ。
ー危ない危ない・・・注意しないとー
自分の尾行に勘づかれることは無いとは思うが、少しの油断が隙を生むこともある。
3人に悟られないように、うまく障害物の影に隠れながら、近づいていくー3人の声が聞こえる位置まで何とか接近することに成功した。
「・・・優香お姉さん、どうかしたの?」
ヒナが、相変わらずの、見ているこちらが眠たくなりそうな半眼状態で優香を見上げてくる。
「・・・ああ、いや、何でもないんだ。多分、気のせいだろう」
優華は、ちらりと建物と建物の間の小道の方へと視線を向けたがー
当然、そこには誰もいなかった。
ーうーん。一瞬、匂った気がしたんだがなー
ほんの一瞬ではあったが、擬体の残り香を嗅いだ気がする。擬体を纏った経験のある者が近くにいる時に感じる者だったのだがー
ー少なくとも、ここまで来るまでにはなんともなかったし、やはり気のせいなのかー
口元に近づけた鉄扇を開いたり閉じたりしながら、問題の場所をしばらく見据えていたが、隣にいるヒナがさらに顔を覗き込んできたっこともあり、一旦は詮索をやめることにする。
ーまあ、仮に、ここに誰かいたとして、あたしら3人相手に無謀に突っ込んでくるとも思えないがー
あの看守3人や薄紫の髪の少女ならともかく、他の連中に後れを取ることも無いだろう。
万が一、自分たちに挑んで来るようであれば、返り討ちにしてやるまでだ。
「秋月さん、ヒナちゃん、そろそろ中に入りましょうか」
「そうだな・・・あの看守やら戦いやらで、今日も今日とて疲れたしな・・・さっさと風呂に入りたい」
「そうだね、お姉さん達。私も早くくつろぎたい」
3人は、まだ気が付いていないー追跡者の存在に。
相変わらず、優香、ヒナ、静の3人は朝霞の追跡には気が付いていないようだった。3人でだべりながら、とある旅館の前で立ち止まった。
「・・・ここが、あいつらのアジト・・・ね」
どうやら、この場所が3人の活動拠点のようだ。
見た目は老舗旅館といったところで、なかなかの外観をしているが、3人以外は誰も使っていないのか、人気はほとんど感じられない。
「刑務所からは少し離れているようだけど・・・」
距離的には、刑務所よりは離れているー日本の街並みを参考にして作られただけあって、それもよく考えれば当たり前のことだと言えた。さすがに、刑事犯が閉じ込められている場所の近くで風呂に浸かりたいと考える人間は多くは無いだろう。
ここまで来るまでの間、朝霞は、特にこれと言った戦闘の痕を目撃していない。少なくとも、この辺りでの戦闘は今のところなさそうである。当然ながら、晒し首も見かけることはなかった。
ー最近見つけた首は、あのショーウィンドウの中のものだけかー
先ほど、アエローたちが看守が3人と別れ際にそれとなく尋ねてはいたものの、うまくはぐらかされた感じだった。
朝霞自身は、あの朝比奈紫苑をやったのはこの3人のうちのいずれかではないかと思っているー尤も、誰が殺したとしても、この島ではさして重要な問題ではないだろうが・・・。
「・・・!?」
ふいに、鉄扇を口元に当てている女ーあのリーダー格の娘だーが、こちらの方を向いたような気がして、朝霞はさらに気配を殺し、物陰に身を潜めた。こうしてみると、本物のくのいちのような気分になる。
まだ、気付かれてはいないようだ。
ー危ない危ない・・・注意しないとー
自分の尾行に勘づかれることは無いとは思うが、少しの油断が隙を生むこともある。
3人に悟られないように、うまく障害物の影に隠れながら、近づいていくー3人の声が聞こえる位置まで何とか接近することに成功した。
「・・・優香お姉さん、どうかしたの?」
ヒナが、相変わらずの、見ているこちらが眠たくなりそうな半眼状態で優香を見上げてくる。
「・・・ああ、いや、何でもないんだ。多分、気のせいだろう」
優華は、ちらりと建物と建物の間の小道の方へと視線を向けたがー
当然、そこには誰もいなかった。
ーうーん。一瞬、匂った気がしたんだがなー
ほんの一瞬ではあったが、擬体の残り香を嗅いだ気がする。擬体を纏った経験のある者が近くにいる時に感じる者だったのだがー
ー少なくとも、ここまで来るまでにはなんともなかったし、やはり気のせいなのかー
口元に近づけた鉄扇を開いたり閉じたりしながら、問題の場所をしばらく見据えていたが、隣にいるヒナがさらに顔を覗き込んできたっこともあり、一旦は詮索をやめることにする。
ーまあ、仮に、ここに誰かいたとして、あたしら3人相手に無謀に突っ込んでくるとも思えないがー
あの看守3人や薄紫の髪の少女ならともかく、他の連中に後れを取ることも無いだろう。
万が一、自分たちに挑んで来るようであれば、返り討ちにしてやるまでだ。
「秋月さん、ヒナちゃん、そろそろ中に入りましょうか」
「そうだな・・・あの看守やら戦いやらで、今日も今日とて疲れたしな・・・さっさと風呂に入りたい」
「そうだね、お姉さん達。私も早くくつろぎたい」
3人は、まだ気が付いていないー追跡者の存在に。
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