百合斬首~晒しな日記~

ミケとポン太

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第4章 更なる戦い

第236話 所長と副所長

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「果林・・・手ごたえのある相手なら、あなたの目の前にいるわよ」
「・・・へ?」
 亜里沙の突然の一言に、思わず間の抜けた返事をしてしまった果林。その隙をついて、亜里沙が果林に対して唇を重ねてきた。
「・・・んん」
 舌までは入れられていない。本当に軽く接触したという感じだった。
「おいおい・・・所長権限で、セクハラし放題ってか」
 確かに、無理やり接吻されたのならセクハラだが、当の果林自体は全く嫌がっておらず、むしろ楽し気ですらある。
「ねえ、果林・・・「本当の恋人同士」である私たちは、もう何日もセックスしていないわ・・・今は誰もここには来ないはずだし、少しくらいなら、いいでしょ?」
 亜里沙の艶やかな黒い瞳が、赤らめた顔をした果林の姿を映し出していた。
「・・・あたしも、そろそろお前とはしたいな・・・と思ってたんだ」
 今度は果林の方から、亜里沙に接吻をする。
 果林の方が、接吻は情熱的だった。どちらかと言えば、お淑やかな亜里沙よりも果林の方が何事においても積極的で、主導権を握っていることの方が多かったのだ。
「・・・わかってると思うが、擬体を纏わないように、ある程度は抑えるぞ」
「・・・それでいいわ、あなたとこうして肌を重ね合わせることができるというだけで、私は十分幸福なんだから」
 二人の少女がお互いの体を抱きしめ合う。これから、ひと時の甘い時間を過ごすことになるのだ。

「・・・はああん」
「亜里沙・・・いい、いいよ、やっぱりお前は最高だ」
 刑務所の所長室という、全く場違いな場所で、これまた場違いな鼻にかかった声が響き渡る。
 二人の少女は、生まれた時の姿を曝け出しながら、淫靡な世界の中に自らを溶け込ませていた。
「・・・本当は、お前とイクまでやりたいよ、亜里沙・・・でも」
 でも、それをしてしまったら、二人はお互いに首を懸けて戦わなくてはならなくなる。
 今は、まだその時ではない。
 その時はー最後に二人が結ばれる時だからだ。
「駄目よ、果林・・・今は、これで我慢して。その代わり、約束するわ・・・必ず最後にはあなたをイカせて見せるって」
 本当に最後の時ーその時までは、まだこのままの関係を続けなければならないのだ。
 時には、看守として他の女と寝なければならない場面もある。お互いそれはわかっているのだが、やはり愛しい人が他の女とイッてるのを見るのは、やはりつらいものがあった。
 ー本当は、生きてる間に結ばれたかったんだけどなー
 亜里沙も果林も、同じ学校の同級生同士だ。お互いに知り合ったのは高校2年の時だったが、それか程なくして、お互いを欲する間柄になっていった。
 二人とも、ほぼ同時期に死亡しているー少なくとも、お互いの生前の記憶を確認し合った結果、それだけはわかっている。ただ、どのようにして死んだのかは、やはりわからない。運営側の手によって、その時の記憶自体を曖昧化されているからだ。
 その後、運営の手により二人は蘇り、この大会の開会式で再会したーさらには、運のいいことに同じチームの所属となったのだ。
 それから、程なくして、亜里沙はこの刑務所運営を大会運営側に持ち掛けた。運営側としても、根が足り叶ったりだったらしく、二つ返事でOKだったのだ。
 それが、亜里沙たちがこの刑務所の「管理統括者」となる過程だった。
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