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第4章 更なる戦い
第232話 疑念
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一方、アエロー、オキュペテー、ケライノーの3人もまた、優香たちに対する疑念を解いてはいなかった。今は無駄な戦いを避けるために見逃したが、引き続き警戒は必要と判断した。
「逆に、こちらからつけてやるか?」
アエローが、獲物を見据えるような目つきで、優香たちが向かった通りの方を睨みつける。
「おいおい、今はやめておけ・・・どうせ、いつかは戦うことになる相手だ。接触は必ずするだろうさ。ただ・・・」
オキュペテーが、今にも動き出そうとするアエローを抑えながら、
「確かに、あいつらに対する警戒は必要だな。少なくとも、あいつらの塒の場所くらいは把握しておきたい」
「なら、あいつを使うかね・・・いるんだろ?」
ケライノーが、背後にいる何者かに声をかける。
ケライノーのすぐ後ろに、黒い影が降り立った。
「・・・模範囚を使うってわけか」
模範囚ー通常の場合、刑務所の中に置いて、極めて刑務作業に忠実で規則もきちんと守り、他の囚人たちに対して模範的とされる囚人たちのことを指すが、ここアルカディア島の刑務所内の模範囚は、看守たちに忠誠を誓う代わりに、刑務所の外での活動も一定の範囲においてなら許されている存在だった。
そして、刑務所の外での活動とは、主に諜報活動ー要するに、スパイ活動で、刑務所周辺の参加者の情報収集やアジトの発見なども任務に入っている。
ケライノーの背後に降り立った黒い影が、ゆっくりと顔を上げる。
まるで、時代劇に出てくるくのいちそのものの恰好ーやたらと豊満な体つきのためか、忍者衣装ですら煽情的にも見える。
看守たちは、自分たちの配下の模範囚には特に服装の制限をしていない。したがって、この恰好はこの少女自身の選択ということになる。
諜報活動は、確かに戦国時代や江戸時代なら忍者が行っていただろうが、それにしても時代錯誤と言わざるを得ないーが、ここは何でもありのアルカディア島ー唯一モラルだけがないこの島では、どんな格好をしようとも自由ではある。
何よりも、そのエロティックな恰好が、看守たちにも密かに人気だったりするのだ。
「おい、朝霞」
「・・・はい」
朝霞と呼ばれた模範囚ーくのいち少女が3人の前に傅く。
「あの3人のことは、お前に任せた。あいつらの動向を逐一探って報告しろ」
「了解しました」
朝霞と呼ばれた少女が姿を消す。その消え方も、まるで昔の忍びそのものだった。
「朝霞なら、あいつらのことは問題なく探れるだろう。しばらくは泳がせてみるか」
優香たちは、朝霞の存在にはまだ気が付いてないはずだ。探らせるのならうってつけだろう。
「逆に、こちらからつけてやるか?」
アエローが、獲物を見据えるような目つきで、優香たちが向かった通りの方を睨みつける。
「おいおい、今はやめておけ・・・どうせ、いつかは戦うことになる相手だ。接触は必ずするだろうさ。ただ・・・」
オキュペテーが、今にも動き出そうとするアエローを抑えながら、
「確かに、あいつらに対する警戒は必要だな。少なくとも、あいつらの塒の場所くらいは把握しておきたい」
「なら、あいつを使うかね・・・いるんだろ?」
ケライノーが、背後にいる何者かに声をかける。
ケライノーのすぐ後ろに、黒い影が降り立った。
「・・・模範囚を使うってわけか」
模範囚ー通常の場合、刑務所の中に置いて、極めて刑務作業に忠実で規則もきちんと守り、他の囚人たちに対して模範的とされる囚人たちのことを指すが、ここアルカディア島の刑務所内の模範囚は、看守たちに忠誠を誓う代わりに、刑務所の外での活動も一定の範囲においてなら許されている存在だった。
そして、刑務所の外での活動とは、主に諜報活動ー要するに、スパイ活動で、刑務所周辺の参加者の情報収集やアジトの発見なども任務に入っている。
ケライノーの背後に降り立った黒い影が、ゆっくりと顔を上げる。
まるで、時代劇に出てくるくのいちそのものの恰好ーやたらと豊満な体つきのためか、忍者衣装ですら煽情的にも見える。
看守たちは、自分たちの配下の模範囚には特に服装の制限をしていない。したがって、この恰好はこの少女自身の選択ということになる。
諜報活動は、確かに戦国時代や江戸時代なら忍者が行っていただろうが、それにしても時代錯誤と言わざるを得ないーが、ここは何でもありのアルカディア島ー唯一モラルだけがないこの島では、どんな格好をしようとも自由ではある。
何よりも、そのエロティックな恰好が、看守たちにも密かに人気だったりするのだ。
「おい、朝霞」
「・・・はい」
朝霞と呼ばれた模範囚ーくのいち少女が3人の前に傅く。
「あの3人のことは、お前に任せた。あいつらの動向を逐一探って報告しろ」
「了解しました」
朝霞と呼ばれた少女が姿を消す。その消え方も、まるで昔の忍びそのものだった。
「朝霞なら、あいつらのことは問題なく探れるだろう。しばらくは泳がせてみるか」
優香たちは、朝霞の存在にはまだ気が付いてないはずだ。探らせるのならうってつけだろう。
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