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第4章 更なる戦い

第227話 もしかして・・・?

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「まあ、所長のことはいいとして、だ」
 ケライノーは、今まで歩いてきた方向へと向き直った。
「どうした?ケライノー」
 アエローとオキュペテーも、彼女につられるようにそちらへ向き直る。
 ー誰もいない、はずだがー
「何となく・・・なんだが、さっきから、誰かの目線を感じるんだよな・・・あたしの気のせいか?」
 ケライノーの言葉に、二人は首をかしげる。
「そうかぁ?あたしは何も感じなかったけど・・・」
 アエローが右手を水平に額に当てて、わざとらしく何かを探すような仕草をするが、当然のことながら、それで改めて何かを発見できるわけもない。
「だが、待て・・・勘の鋭いケライノーのことだ。もしかすると、あたしらは本当に、誰かにつけられているかもしれないぞ」
 オキュペテーの言葉通り、ケライノーの勘は3人の中で最も優れている。彼女がそうだと感じたのなら、実際に誰かに見られている可能性は高い。
「あたしらをつけるだなんて、身の程知らずな奴もいたもんだな・・・どうする、あたしらから出向いて一気に叩くか?」
 アエローが残忍な笑みを浮かべながら、ケライノーが見据えている通りの方を睨みつける。
 アエローは、体が小柄な分、小回りが利き、動きは大変素早い。そして、3人の中で最も好戦的な性格でもあった。けんかっ早さが玉に瑕である。
「まあ、待て・・・いきなりこっちから殴り込みというのもリスクが大きい」
 ケライノーが、先ほど視線を感じた辺りに注意深く意識を向けながら、
「相手の実力までははっきりとはわからないが・・・そうだな、人数はおそらくこっちと同じく3人ってところか」
「3対3じゃん!面白そうじゃね?」
 既に臨戦態勢のアエローに対し、オキュペテーが宥めにかかる。
「待て待て・・・あたしらの目的は、あくまでも囚人の確保と新入りできそうなやつのスカウトだ・・・ケライノーの話じゃあ、相手の実力もわからないんだろう?そんな奴らに迂闊に手を出して全滅・・・なんてのは、ごめんだぜ、あたしゃ」
 今まで囚人として確保してきた連中は、ほとんどが自分たちを見るとすぐに逃げに徹していた臆病者どもだ。尤も、こちら側もそんな奴らを逃がすわけもなく、結局最後には捕まえて刑務所送りにしているわけだが、今回の場合は「尾行されている」ので、明らかに今までとはタイプが異なる。
「いずれにしても、つけられる、というのは、確かに面白くはないな・・・接触するのにしろ、こちらが主導権を握る形にしたい」
「この辺りなら、結構隠れられそうな建物もあるし、そいつらを誘き出して、こちらのペースに乗せるのがいいか」
 オキュペテーが、間近にあるテナントビルを見上げる。本来なら、ここにはいろいろな企業が間借りしているはずだが、ここアルカディア島では中身はもぬけの殻である。

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