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第4章 更なる戦い
第226話 思い留まる
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薄紫の髪の少女の自虐的な笑みを見て、ふと3人の動きが停まる。
「確かに、私のような人間が最期を迎えるには、最も相応しい場所なのかもしれませんね・・・」
その一言に、3人が顔を見合わせる。
「・・・どういう意味だ?」
ケライノーが、薄紫の髪の少女に詰め寄る・・・が、当の本人はただ儚げな笑みを浮かべているだけで、質問に答えようとしなかった。
「・・・いや、待て。質問を変えよう・・・お前、今まで何人とやった?」
今度はオキュペテーが質問内容を変えて薄紫の髪の少女に詰め寄る。薄紫の髪の少女は顔をわずかに上げると、蚊の鳴くようなか細い声で、
「・・・4人です」
その言葉に、3人の看守たちは驚きの色を隠せなかった。
「4人だと・・・?」
「そんなバカな・・・」
見た目だけなら、他の少女たちよりもお淑やかに見えて、とてもではないがこれまで4人とやり合ってきたとは思えなかった。
「お前、4人も殺したってのか・・・」
これが事実なら、この少女は相当の実力者ではないだろうかーもちろん、これまでの対戦相手が総じて弱かったという可能性もあるが、少なくとも刑務所が欲しているようなペナルティ対象者やその候補者には該当しない。
にわかには信じられないものの、この場で危険を冒してまでこの少女を連れて行ってもいいものかー
3人が、薄紫の髪の少女から少し距離を取り、ひそひそ声で相談し合った。
「あいつ、嘘を言ってんじゃないのか?」
「・・・いや、見た目に惑わされると大変なことになりかねないぞ・・・この間、それで失敗した奴がいただろう。相手に返り討ちにされちまったって話を聞いた」
「見た目だけなら、アリだと思ったんだけどな・・・仕方がない。今はなるべくリスクは侵したくないし、今は手を出さない方がよさそうだ」
相手の実力が計り知れない以上、安易に手を出すべきではない。以前、相手を侮って「失敗」した同僚がいることを思いだし、渋々諦めることにした3人。
「そうか・・・わかった、お前、もう行っていいよ」
アエローが、まるで野良犬でも追い払うかのように、手をシッシと揺らした。
「・・・私は、刑務所にすら入れられないんですね」
薄紫の髪の少女がポツリと零した一言に、
「刑務所に入りたがるなんて、おかしなやつだな・・・まあ、少なくともあたしらはお前に手を出すつもりはない。どこへでもさっさと消えな」
「・・・わかりました」
薄紫の髪の少女は、言葉少なにこの場をあとにする。
「しかし、いい女だったよな・・・」
薄紫の髪の少女が去った方角を見据えながら、アエローが名残惜しそうに呟く。
「ああいうお淑やかタイプも、うちの刑務所に一人くらいぶち込んでやりたいところだな」
「うちの所長も、お淑やかって言えばそうだけどな」
冗談めかしたケライノーの一言に、オキュペテーが苦笑しながら、
「おいおい、あたしらが所長とやり合ったら、10秒ももたずに擬体を破壊されちまうよ・・・あたしはまだこの島での生活を満喫したいんだ。死ぬのは、飽きるくらい楽しんでからにしたい」
湯島亜里沙の実力は、間違いなく本大会最強クラスーだからこそ、刑務所長なんてやっていられるのだ。
湯島亜里沙は、普段はお淑やかなお姉さんだが、本気にさせれば誰よりも恐ろしいーそのことは、3人以外の看守たちもよくわかっている。
以前に、彼女の瞋恚の炎に触れて、あっという間に晒し首になったやつがいたのを知っているからだ。
「確かに、私のような人間が最期を迎えるには、最も相応しい場所なのかもしれませんね・・・」
その一言に、3人が顔を見合わせる。
「・・・どういう意味だ?」
ケライノーが、薄紫の髪の少女に詰め寄る・・・が、当の本人はただ儚げな笑みを浮かべているだけで、質問に答えようとしなかった。
「・・・いや、待て。質問を変えよう・・・お前、今まで何人とやった?」
今度はオキュペテーが質問内容を変えて薄紫の髪の少女に詰め寄る。薄紫の髪の少女は顔をわずかに上げると、蚊の鳴くようなか細い声で、
「・・・4人です」
その言葉に、3人の看守たちは驚きの色を隠せなかった。
「4人だと・・・?」
「そんなバカな・・・」
見た目だけなら、他の少女たちよりもお淑やかに見えて、とてもではないがこれまで4人とやり合ってきたとは思えなかった。
「お前、4人も殺したってのか・・・」
これが事実なら、この少女は相当の実力者ではないだろうかーもちろん、これまでの対戦相手が総じて弱かったという可能性もあるが、少なくとも刑務所が欲しているようなペナルティ対象者やその候補者には該当しない。
にわかには信じられないものの、この場で危険を冒してまでこの少女を連れて行ってもいいものかー
3人が、薄紫の髪の少女から少し距離を取り、ひそひそ声で相談し合った。
「あいつ、嘘を言ってんじゃないのか?」
「・・・いや、見た目に惑わされると大変なことになりかねないぞ・・・この間、それで失敗した奴がいただろう。相手に返り討ちにされちまったって話を聞いた」
「見た目だけなら、アリだと思ったんだけどな・・・仕方がない。今はなるべくリスクは侵したくないし、今は手を出さない方がよさそうだ」
相手の実力が計り知れない以上、安易に手を出すべきではない。以前、相手を侮って「失敗」した同僚がいることを思いだし、渋々諦めることにした3人。
「そうか・・・わかった、お前、もう行っていいよ」
アエローが、まるで野良犬でも追い払うかのように、手をシッシと揺らした。
「・・・私は、刑務所にすら入れられないんですね」
薄紫の髪の少女がポツリと零した一言に、
「刑務所に入りたがるなんて、おかしなやつだな・・・まあ、少なくともあたしらはお前に手を出すつもりはない。どこへでもさっさと消えな」
「・・・わかりました」
薄紫の髪の少女は、言葉少なにこの場をあとにする。
「しかし、いい女だったよな・・・」
薄紫の髪の少女が去った方角を見据えながら、アエローが名残惜しそうに呟く。
「ああいうお淑やかタイプも、うちの刑務所に一人くらいぶち込んでやりたいところだな」
「うちの所長も、お淑やかって言えばそうだけどな」
冗談めかしたケライノーの一言に、オキュペテーが苦笑しながら、
「おいおい、あたしらが所長とやり合ったら、10秒ももたずに擬体を破壊されちまうよ・・・あたしはまだこの島での生活を満喫したいんだ。死ぬのは、飽きるくらい楽しんでからにしたい」
湯島亜里沙の実力は、間違いなく本大会最強クラスーだからこそ、刑務所長なんてやっていられるのだ。
湯島亜里沙は、普段はお淑やかなお姉さんだが、本気にさせれば誰よりも恐ろしいーそのことは、3人以外の看守たちもよくわかっている。
以前に、彼女の瞋恚の炎に触れて、あっという間に晒し首になったやつがいたのを知っているからだ。
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