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第4章 更なる戦い
第223話 見分ける
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3人の看守たちが見つけたのは、あの薄紫の髪の少女だったー
「あいつら、まさかあの女に声をかけるつもりか?」
3人がまるで尋問するかの如く、彼女を取り囲んでいる。
「あの人、普段は弱っちいけど、擬体を纏えばかなり強いんでしょ?お姉さん」
「ああ、そうだ。少なくとも、今のあたしらじゃあ、歯が立たないよ」
優香たちは注意深く、薄紫の髪の少女と3人の看守たちのやり取りを見据える。
優華は擬体の残り香を嗅ぎ取る能力がある。そこから判断する限りでは、あの3人すら、薄紫の髪の少女には全く歯が立たないと思っている。
「彼女のお話は伺ってますが・・・こうしてみている限りでは、あの朝比奈さんとさほど変わらないように見えるのですが・・・」
優香たちが薄紫の髪の少女を発見した時、静だけは朝比奈紫苑との戦いの真っ最中であった。その戦いが終わった後に、薄紫の髪の少女について、優香から説明を受けたのだ。
ー絶対に、こちらから手出ししてはいけない・・・少なくとも、今の時点ではー
「見た目はな・・・むしろ、あの朝比奈ってやつよりもおとなしそうに見える。でも・・・」
優華が目を細めて口元に閉じた鉄扇をあてがいながら、
「実力は・・・間違いなく最強クラスだよ、あの女は。もし、あの3人が手を出したら、どっちがやられるかは明らかさ」
おそらく、3人の看守たちは瞬く間に敗北を喫することだろう。
「あれ・・・?」
ずっと4人に様子を見守っていたヒナが、彼女たちの異変に気が付いた。
「あの看守さんたち、そのまますぐに解放したようだよ」
「ほほう・・・」
ヒナの言葉に、優香と静もそちらの方へと視線を向ける。確かにヒナに言う通り、3人の看守たちは薄紫の髪の少女をそれ以上は拘束するわけでもなく、その場をあとにしている。
「・・・あいつらも、あの女が本当はやばいってことに気が付いたのかな」
解放された薄紫の髪の少女が、こちらに向かって歩いてくる。このままだと彼女に見つかってしまうので、優香たちも一旦そこから離れることにした。
「あたしの他に、相手の実力を見分ける能力を持ってるやつらが、あの中にいるのかもしれんね・・・」
先ほどの場所からある程度離れて、もう彼女に見つかる可能性が低いことを確認してから落ち着く3人。
「秋月さんは、嗅覚でそれを判断していますが・・・」
「おそらく、何らかの感覚が鋭敏な奴がいるってことだろうな・・・もしかしたら、あたしと同じく鼻が利くってだけなのかもしれないが」
考えてみれば、看守たちだって自分たちよりも能力の高いやつを見分けられなければ、刑務所を運営することはできないだろう。尤も、全ての看守たちがそのような能力を持っているかどうかはまた別問題だろうがー
「でも、これであの3人の看守さん達を追うことができなくなっちゃったね・・・」
残念そうに呟くヒナ。尾行自体は気が付かれていなかったはずだが、一方でこれ以上は彼女たちの追跡もできなくなってしまったのは確かだった。
「まあ、それは仕方がないよ・・・あたしらだって、命あっての物種だからね。危険を冒してまでつける必要はないさ。ただ・・・」
優華は口元を広げた鉄扇で覆い隠しながら、
「あの方向からすると、やっぱり駅の方に向かったのは間違いないね。さすがにどの電車に乗ったかまでは知らんけどさ」
あの看守たちは、おそらく自分たちの行動エリアを拡大している最中なのだろう。いよいよ他の町へも手を伸ばし始めたというところか。
「これから先、どれだけのやつらが刑務所にぶち込まれることになるのかねえ?」
くっくっく・・・と不敵に笑う優香だった。
「あいつら、まさかあの女に声をかけるつもりか?」
3人がまるで尋問するかの如く、彼女を取り囲んでいる。
「あの人、普段は弱っちいけど、擬体を纏えばかなり強いんでしょ?お姉さん」
「ああ、そうだ。少なくとも、今のあたしらじゃあ、歯が立たないよ」
優香たちは注意深く、薄紫の髪の少女と3人の看守たちのやり取りを見据える。
優華は擬体の残り香を嗅ぎ取る能力がある。そこから判断する限りでは、あの3人すら、薄紫の髪の少女には全く歯が立たないと思っている。
「彼女のお話は伺ってますが・・・こうしてみている限りでは、あの朝比奈さんとさほど変わらないように見えるのですが・・・」
優香たちが薄紫の髪の少女を発見した時、静だけは朝比奈紫苑との戦いの真っ最中であった。その戦いが終わった後に、薄紫の髪の少女について、優香から説明を受けたのだ。
ー絶対に、こちらから手出ししてはいけない・・・少なくとも、今の時点ではー
「見た目はな・・・むしろ、あの朝比奈ってやつよりもおとなしそうに見える。でも・・・」
優華が目を細めて口元に閉じた鉄扇をあてがいながら、
「実力は・・・間違いなく最強クラスだよ、あの女は。もし、あの3人が手を出したら、どっちがやられるかは明らかさ」
おそらく、3人の看守たちは瞬く間に敗北を喫することだろう。
「あれ・・・?」
ずっと4人に様子を見守っていたヒナが、彼女たちの異変に気が付いた。
「あの看守さんたち、そのまますぐに解放したようだよ」
「ほほう・・・」
ヒナの言葉に、優香と静もそちらの方へと視線を向ける。確かにヒナに言う通り、3人の看守たちは薄紫の髪の少女をそれ以上は拘束するわけでもなく、その場をあとにしている。
「・・・あいつらも、あの女が本当はやばいってことに気が付いたのかな」
解放された薄紫の髪の少女が、こちらに向かって歩いてくる。このままだと彼女に見つかってしまうので、優香たちも一旦そこから離れることにした。
「あたしの他に、相手の実力を見分ける能力を持ってるやつらが、あの中にいるのかもしれんね・・・」
先ほどの場所からある程度離れて、もう彼女に見つかる可能性が低いことを確認してから落ち着く3人。
「秋月さんは、嗅覚でそれを判断していますが・・・」
「おそらく、何らかの感覚が鋭敏な奴がいるってことだろうな・・・もしかしたら、あたしと同じく鼻が利くってだけなのかもしれないが」
考えてみれば、看守たちだって自分たちよりも能力の高いやつを見分けられなければ、刑務所を運営することはできないだろう。尤も、全ての看守たちがそのような能力を持っているかどうかはまた別問題だろうがー
「でも、これであの3人の看守さん達を追うことができなくなっちゃったね・・・」
残念そうに呟くヒナ。尾行自体は気が付かれていなかったはずだが、一方でこれ以上は彼女たちの追跡もできなくなってしまったのは確かだった。
「まあ、それは仕方がないよ・・・あたしらだって、命あっての物種だからね。危険を冒してまでつける必要はないさ。ただ・・・」
優華は口元を広げた鉄扇で覆い隠しながら、
「あの方向からすると、やっぱり駅の方に向かったのは間違いないね。さすがにどの電車に乗ったかまでは知らんけどさ」
あの看守たちは、おそらく自分たちの行動エリアを拡大している最中なのだろう。いよいよ他の町へも手を伸ばし始めたというところか。
「これから先、どれだけのやつらが刑務所にぶち込まれることになるのかねえ?」
くっくっく・・・と不敵に笑う優香だった。
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