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第4章 更なる戦い
第196話 後輩との情事2
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古びた古民家ーをまねたこの家は、全体的に土の香りがした。すべてが古めかしく作られており、先ほど、ゆいが 見つけた金庫でさえ、おそらく作られたのは明治や大正の頃ーと思わせるような代物であった。もちろん、実際には敢えて当時の物を再現するために作られた贋作なのだが。
「よくテレビとかでやってましたよねぇ。限界集落の一軒家で暮らすご老人を尋ねたりとか、開かずの金庫を開けてみたりとか」
唯が古民家の中を落ち着きなく歩き回りながら、生前彼女が好きだったテレビ番組を列挙していた。
「お前も相変わらずだな・・・」
金髪の少女が苦笑いしながら、生前の唯のことを思いだす。
ーこいつはしょっちゅテレビの話ばかりしてたなー
将来は絶対、昼間のワイドショーに釘付けになるおばさんだな、とからかってやった記憶がある。尤も、唯本人もその自覚があるのか、あははとごまかすように笑うだけで反論はしてこなかったのだが。
「逆に、このアルカディア島に爺さん婆さんがいたりしたら、それはそれで怖いだろ」
「あら、いるかもしれませんよぉ、先輩・・・っていうか、この大会の運営どもって、絶対スケベじじいとかじゃないかと思ってるんですよね、あたしは」
妙に自信ありげに自説を語る唯。金髪の少女も頭をぼりぼりとかきながら、
「まあ、こんな変態的な大会をやらせてる時点で、ろくでもないやつらなのはわかるけどな・・・スケベじじいどもが運営しているというのもあり得る話か」
「それに、こういった金庫には、そいつらのへそくりとかお宝とか、そういったものもありそうじゃないですかぁ。くうぅぅ、開けてみたいなぁ」
「・・・おいおい、唯。ここには家探しに来たわけじゃねえぞ・・・ったく」
唯の軽い言動に呆れながらも、どこか安堵する自分がいることに気が付く金髪の少女。
ーたとえどこにいたとしても、唯は唯・・・だなー
この後、お互いに首を懸けて戦うことになったとしても、それは変わらないだろう。
「まあ、金庫の中を見てみたいというのは、あたしも同じだけどな・・・でも、このダイヤル式の奴なんか、素人じゃ絶対開けられねえだろ」
古めかしく作られている金庫は、ダイヤル式の鍵になっていた。該当する4桁の数値を当てはめれば開く仕組みのようだが、開錠の専門家でもない限りは、永遠に開けることはできそうになかった。
「でも、開けたら開けたで、中には何もなかったってオチになりそうだけどな」
「番組でも、そんなオチのことが多かったですよね・・・立派な金庫があるのに、何で活用しないんだよと見てて毎回思いましたよ」
「そう都合よくお宝が入っているはずねえだろう。ま、現実はそんなに甘くはないってことだ」
「うーん、夢がないなあ、先輩は」
ーこの島に来たら、なおのこと夢なんて見てられねえけどなー
この島の名前はアルカディアー古代の理想郷を髣髴とさせる名前だが、ここにあるのは刹那的な快楽と、その後の殺し合いだけだ。悦楽と殺戮だけの、モラルすらない「楽園」ならぬ「失楽園」ー
唯も、それはわかっているはずーいや、わかっているからこそ、敢えて夢を語るのか。
「唯、まだ夜までには時間もあるし、もう少し中と付近を調べてみるか」
金髪の少女の提案に、とりあえずは唯も賛成する。
「そうですね。まあ、あまり見る物もなさそうな場所ですけどね」
「よくテレビとかでやってましたよねぇ。限界集落の一軒家で暮らすご老人を尋ねたりとか、開かずの金庫を開けてみたりとか」
唯が古民家の中を落ち着きなく歩き回りながら、生前彼女が好きだったテレビ番組を列挙していた。
「お前も相変わらずだな・・・」
金髪の少女が苦笑いしながら、生前の唯のことを思いだす。
ーこいつはしょっちゅテレビの話ばかりしてたなー
将来は絶対、昼間のワイドショーに釘付けになるおばさんだな、とからかってやった記憶がある。尤も、唯本人もその自覚があるのか、あははとごまかすように笑うだけで反論はしてこなかったのだが。
「逆に、このアルカディア島に爺さん婆さんがいたりしたら、それはそれで怖いだろ」
「あら、いるかもしれませんよぉ、先輩・・・っていうか、この大会の運営どもって、絶対スケベじじいとかじゃないかと思ってるんですよね、あたしは」
妙に自信ありげに自説を語る唯。金髪の少女も頭をぼりぼりとかきながら、
「まあ、こんな変態的な大会をやらせてる時点で、ろくでもないやつらなのはわかるけどな・・・スケベじじいどもが運営しているというのもあり得る話か」
「それに、こういった金庫には、そいつらのへそくりとかお宝とか、そういったものもありそうじゃないですかぁ。くうぅぅ、開けてみたいなぁ」
「・・・おいおい、唯。ここには家探しに来たわけじゃねえぞ・・・ったく」
唯の軽い言動に呆れながらも、どこか安堵する自分がいることに気が付く金髪の少女。
ーたとえどこにいたとしても、唯は唯・・・だなー
この後、お互いに首を懸けて戦うことになったとしても、それは変わらないだろう。
「まあ、金庫の中を見てみたいというのは、あたしも同じだけどな・・・でも、このダイヤル式の奴なんか、素人じゃ絶対開けられねえだろ」
古めかしく作られている金庫は、ダイヤル式の鍵になっていた。該当する4桁の数値を当てはめれば開く仕組みのようだが、開錠の専門家でもない限りは、永遠に開けることはできそうになかった。
「でも、開けたら開けたで、中には何もなかったってオチになりそうだけどな」
「番組でも、そんなオチのことが多かったですよね・・・立派な金庫があるのに、何で活用しないんだよと見てて毎回思いましたよ」
「そう都合よくお宝が入っているはずねえだろう。ま、現実はそんなに甘くはないってことだ」
「うーん、夢がないなあ、先輩は」
ーこの島に来たら、なおのこと夢なんて見てられねえけどなー
この島の名前はアルカディアー古代の理想郷を髣髴とさせる名前だが、ここにあるのは刹那的な快楽と、その後の殺し合いだけだ。悦楽と殺戮だけの、モラルすらない「楽園」ならぬ「失楽園」ー
唯も、それはわかっているはずーいや、わかっているからこそ、敢えて夢を語るのか。
「唯、まだ夜までには時間もあるし、もう少し中と付近を調べてみるか」
金髪の少女の提案に、とりあえずは唯も賛成する。
「そうですね。まあ、あまり見る物もなさそうな場所ですけどね」
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