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第4章 更なる戦い
第195話 後輩との情事
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見た目ー中身とも、築100年くらいに見える古民家ー
2人の少女たちは古民家の中を確認していた。
「至る所に蜘蛛の巣なんかがあって、雰囲気はかなりあるんですけどね・・・」
蜘蛛の巣もなんのそのといった様子で、唯が古民家の奥へとどんどん進んでいく。
「そう言えば、お前さん、虫とか大丈夫だったな」
「そうですね・・・って、あれ、先輩って虫苦手でしたっけ?」
「苦手ってほどじゃないが・・・得意ってわけでもないな。まあ、蜘蛛はあまり好きじゃないが」
金髪の少女が、髪に纏わりついてきた蜘蛛の巣を顔をしかめながら振り払った。
「あたしは別段嫌いな虫っていないですけどね。まあ、確かに蜘蛛の巣に引っかかると面倒なので、そう言った点ではあたしもあまり好きじゃないですが」
古い畳の上を歩いていくと、囲炉裏を見つけた。
「この家の元になったのって、明治とか大正時代辺りなんですかねぇ。囲炉裏なんて、今時さすがに過疎地でもそうそうは見ないでしょ」
「あたしは・・・歴史とかに詳しくはないからな・・・まあ、機会があったら運営にでも聞いてくれ」
ーその機会があるかは知らんけどなー
囲炉裏や古びた箪笥など、確かによく時代劇や歴史ドラマで目にするようなものばかりである。そのどれもが年季が入っているように見えるが、それすらも運営側が大会のために作らせたのだとしたら、なんとも手の込んだことだと感心してしまう金髪の少女だった。
ーまあ、時代劇のセットなんかも、その当時により近づけるために映画制作サイドで色々と細工してるって話は聞いたことがあるけどなー
「なあんか、ここに入っていそうな金庫がありますねぇ。こういうのを見てると無性に開けたくなってしまいますね」
唯が、顔をニヤケさせながら、居間の方に置いてあった金庫を見て手をワキワキさせている。それを見て、金髪の少女は呆れたように、
「お前さんがたとえ何百年かかったとしても開けられない金庫だよ、それは」
「ピッキングとかじゃ無理かな?」
「お前さん、空き巣でもやるつもりなのか・・・ピッキングなんてレベルのものじゃねえだろ、それ」
これから始まる戦いの予感ーそれを紛らわせるかのように、2人で馬鹿話をする。生前も、いつも唯とはこうしてくだらない話で盛り上がっていた記憶がある。ただし、唯だけでなく、その隣にはその様子をいつも微笑ましい表情で見つめていた薄紫の髪の少女の存在もあったのだが。
ーもう、あの頃には戻れないんだよなー
突如として失われてしまった日常ーもはや取り戻すことができないとわかっていても、そこに戻りたいと願ってしまう自分がいる。
大会運営側は、大会優勝者には元の生活に戻る権利を与えると約束しているがー
ーあいつと一緒に戻れないなら、それは「元の生活」じゃねえだろー
優勝者はただ一人ーなら、仮に最後まで勝ち残ったとしても、結局はお互いに最後戦うことになり、どちらかは殺されることになる。その先に、「元の生活」等あろうはずがなかった。
「先輩、どうしたんですか?」
傍らにいる唯が顔を覗き込んできた。
なんとも緊張感のない表情だが、それが却って唯らしいとも思えた。
そんな彼女に対して、金髪の少女は軽く笑みを浮かべながら、
「何でもないさ・・・ただの考え事だよ」
そう言って、天井を見上げたー
2人の少女たちは古民家の中を確認していた。
「至る所に蜘蛛の巣なんかがあって、雰囲気はかなりあるんですけどね・・・」
蜘蛛の巣もなんのそのといった様子で、唯が古民家の奥へとどんどん進んでいく。
「そう言えば、お前さん、虫とか大丈夫だったな」
「そうですね・・・って、あれ、先輩って虫苦手でしたっけ?」
「苦手ってほどじゃないが・・・得意ってわけでもないな。まあ、蜘蛛はあまり好きじゃないが」
金髪の少女が、髪に纏わりついてきた蜘蛛の巣を顔をしかめながら振り払った。
「あたしは別段嫌いな虫っていないですけどね。まあ、確かに蜘蛛の巣に引っかかると面倒なので、そう言った点ではあたしもあまり好きじゃないですが」
古い畳の上を歩いていくと、囲炉裏を見つけた。
「この家の元になったのって、明治とか大正時代辺りなんですかねぇ。囲炉裏なんて、今時さすがに過疎地でもそうそうは見ないでしょ」
「あたしは・・・歴史とかに詳しくはないからな・・・まあ、機会があったら運営にでも聞いてくれ」
ーその機会があるかは知らんけどなー
囲炉裏や古びた箪笥など、確かによく時代劇や歴史ドラマで目にするようなものばかりである。そのどれもが年季が入っているように見えるが、それすらも運営側が大会のために作らせたのだとしたら、なんとも手の込んだことだと感心してしまう金髪の少女だった。
ーまあ、時代劇のセットなんかも、その当時により近づけるために映画制作サイドで色々と細工してるって話は聞いたことがあるけどなー
「なあんか、ここに入っていそうな金庫がありますねぇ。こういうのを見てると無性に開けたくなってしまいますね」
唯が、顔をニヤケさせながら、居間の方に置いてあった金庫を見て手をワキワキさせている。それを見て、金髪の少女は呆れたように、
「お前さんがたとえ何百年かかったとしても開けられない金庫だよ、それは」
「ピッキングとかじゃ無理かな?」
「お前さん、空き巣でもやるつもりなのか・・・ピッキングなんてレベルのものじゃねえだろ、それ」
これから始まる戦いの予感ーそれを紛らわせるかのように、2人で馬鹿話をする。生前も、いつも唯とはこうしてくだらない話で盛り上がっていた記憶がある。ただし、唯だけでなく、その隣にはその様子をいつも微笑ましい表情で見つめていた薄紫の髪の少女の存在もあったのだが。
ーもう、あの頃には戻れないんだよなー
突如として失われてしまった日常ーもはや取り戻すことができないとわかっていても、そこに戻りたいと願ってしまう自分がいる。
大会運営側は、大会優勝者には元の生活に戻る権利を与えると約束しているがー
ーあいつと一緒に戻れないなら、それは「元の生活」じゃねえだろー
優勝者はただ一人ーなら、仮に最後まで勝ち残ったとしても、結局はお互いに最後戦うことになり、どちらかは殺されることになる。その先に、「元の生活」等あろうはずがなかった。
「先輩、どうしたんですか?」
傍らにいる唯が顔を覗き込んできた。
なんとも緊張感のない表情だが、それが却って唯らしいとも思えた。
そんな彼女に対して、金髪の少女は軽く笑みを浮かべながら、
「何でもないさ・・・ただの考え事だよ」
そう言って、天井を見上げたー
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