百合斬首～晒しな日記～

第4章 更なる戦い

第181話 鎧袖一触の強さ

　3人の少女たちが、自らの獲物をめがけて飛び掛る。
　相手は、先ほどまでレイプされてただ泣き崩れるしかなかった脆弱な女ーたとえ擬体を纏ったところで、自分たちに適うはずもないー
　だが、それが町がいであったということに気が付くのは、戦いが始まって程なくのことであった。
　薄紫の髪の少女が操るのは大剣ーしかも、それを片腕だけで扱っている。およそ、華奢で脆弱な彼女には似つかわしくない武器であった。
　尤も、擬体によって構成された武器は、そのほとんどが重量を感じさせないので、確かに振り回すだけなら誰にでもできるだろう。
　そして、そのことも、3人の少女たちを油断させる要因となった。
「ずいぶんとでけえ獲物取り出してんじゃねえか、クソ女」
　サイドテールの少女がせせら笑いながら、
「でも、ただ振り回すだけじゃあ、あたしらには決して勝てないぜ」
　他の3人の少女たちは、全員が日本刀を装備している。どうやら、同じ武器同士で仲間を組んだらしい。近い特性の武器を持つ者同士なら、連携を取りやすいと考えたのだろうか。
「そんじゃあ、首をもらうとするか・・・行くぞ！！」
　サイドテールの少女の号令の下、3方向から斬りかかる少女たち。確かに、息はぴったり合っており、連携はよくとれている。
　だがー
「・・・！！」
　薄紫の髪の少女は、まず側面から斬りかかってきたおかっぱ頭の少女に狙いを定めた。
「・・・やああああ！！」
　薄紫の髪の少女が腰を落とし、姿勢を低くしながら、大剣を横なぎに振り払う。
「・・・何っ！！」
　おかっぱ頭の少女の表情が驚愕に染まる。
　動きが全く段違いだった。とてもではないが、先ほどまでいいようにやられていただけのひ弱な奴とは思えないくらいに。
　おかっぱ頭の少女が、自らの日本刀を振り下ろす前に、既に薄紫の髪の少女の大剣は、彼女の腰部分を捉えていた。
「・・・えっ！？」
　信じられないといった表情のまま、おかっぱ頭の少女は、胴体を腰から真っ二つに両断ーとはいっても、実際にダメージを受けるのは、肉体ではなく擬体だけなのだがーされた。
「ーーー・・・擬体破損率100％」
　ジャッジの無情な判定が下される。おかっぱ頭の少女は、自らの名前と擬体の破損状況を告げられても、自分の身に何が起こったのか、にわかには理解できなかった。
　そして、それは残りの2人も同じことだった。
「・・・！！」
「まさかっ！！」
　薄紫の髪の少女に斬りかかろうとして、すんでのところで立ち止まる。
　ただ一人、おかっぱ頭の少女だけが、その場に力なく座り込んだ。
「・・・何が・・・起きたってんだ！？」
　力なく呟く彼女を、冷然とした表情で見下ろす薄紫の髪の少女。
　戦いが始まり、ようやく立場が逆転しようとしていた・・・。