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第4章 更なる戦い
第165話 回される
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薄紫の髪の少女が犯されたのは、大会が始まって直後のことである。
グループ分けも終わり、この街へと飛ばされた彼女だったが、あまりに急なことで何をすればいいのか、途方に暮れていた。
彼女もまた、自分が一度「死亡している」ことは理解している。大会運営側の施した記憶操作により、生前の最期の記憶については曖昧化されており、はっきりと思い出すことができないが、自分が最後、極めて親しい人物に「殺された」ということだけは理解していた。
その直後の記憶は、この島での覚醒の時のものー何やら特殊なリキッドの入ったカプセルのようなものから出され、そして告げられたのだーこの大会のことを。
もちろん、彼女に拒否権など与えられなかったー尤も、それは彼女ばかりではなく、この大会に強制的に参加させられた者達すべてがそうだったのだが。
大会の趣旨を聞かされて、戸惑う彼女だったが、それ以上に彼女を驚かせたのは、かつて生前は同門の剣術を学んでいた、彼女にとっては最も愛おしい人もまた、この大会に強制参加させられていたという事実だった。
ハーフで、豊かな金色の髪を結い上げた、男勝りの美しい少女。
同い年ではあるが、薄紫の少女の方が落ち着いて見える一方、この金髪の少女は、竹を割ったような性格で、大胆でもあった。同門として競い合う仲ではあったが、一方でお互いが想い合う恋人同士でもあったのだ。
大会参加者として、開会式に出席した時、彼女たちは何が何でも再会することを誓い合った。本来なら、同じグループに所属しているのが好ましかったのだが、残念なことに、彼女は他のグループへと配属されてしまったのだ。
だからこそ誓いを立てたのだ。お互いが再開できるまでは、何が何でも生き延びようとー
どれだけその手を血で染めることになったとしても、その時が来るまでは決して負けるわけにはいかないのだ、とー
「おい、お前」
突如として、見知らぬ街へと飛ばされて、途方に暮れながら一人で歩いていると、3人の少女に声をかけられた。
ーあの子たちは・・・確かー
見覚えがある面々であった。なぜなら、開会式の時、同じグループにいたメンツだったからだ。特に親しそうには見えなかったが、ここに飛ばされて、さっそくチームでも作ったのだろうかー
この大会では、誰もが最終的には敵となる。だが、一時的に手を結んで共に行動すること自体は、別にルール違反でもない。戦闘行為や性行為を長期間にわたり避け続けることは、大会ルールに抵触するが、それ以外のことは、細かな点を除けば大会参加者の自由と言ってもいい状態だった。
ーそれこそ、目の前の相手をどれだけ凌辱しようとも、とがめられることはないー
「あなたたちは・・・」
薄紫の髪の少女が問いかけようとするが、3人ともにやにやしてこちらを見返している。
「あたしらとさっそく遊ばない?あんた」
その3人の中で、サイドテールの少女が手を伸ばしてきた。他の2人は、薄紫の髪の少女が逃げないように、周囲を取り囲い始めた。
3人の表情を見て、薄紫の少女は嫌な予感がしたー
グループ分けも終わり、この街へと飛ばされた彼女だったが、あまりに急なことで何をすればいいのか、途方に暮れていた。
彼女もまた、自分が一度「死亡している」ことは理解している。大会運営側の施した記憶操作により、生前の最期の記憶については曖昧化されており、はっきりと思い出すことができないが、自分が最後、極めて親しい人物に「殺された」ということだけは理解していた。
その直後の記憶は、この島での覚醒の時のものー何やら特殊なリキッドの入ったカプセルのようなものから出され、そして告げられたのだーこの大会のことを。
もちろん、彼女に拒否権など与えられなかったー尤も、それは彼女ばかりではなく、この大会に強制的に参加させられた者達すべてがそうだったのだが。
大会の趣旨を聞かされて、戸惑う彼女だったが、それ以上に彼女を驚かせたのは、かつて生前は同門の剣術を学んでいた、彼女にとっては最も愛おしい人もまた、この大会に強制参加させられていたという事実だった。
ハーフで、豊かな金色の髪を結い上げた、男勝りの美しい少女。
同い年ではあるが、薄紫の少女の方が落ち着いて見える一方、この金髪の少女は、竹を割ったような性格で、大胆でもあった。同門として競い合う仲ではあったが、一方でお互いが想い合う恋人同士でもあったのだ。
大会参加者として、開会式に出席した時、彼女たちは何が何でも再会することを誓い合った。本来なら、同じグループに所属しているのが好ましかったのだが、残念なことに、彼女は他のグループへと配属されてしまったのだ。
だからこそ誓いを立てたのだ。お互いが再開できるまでは、何が何でも生き延びようとー
どれだけその手を血で染めることになったとしても、その時が来るまでは決して負けるわけにはいかないのだ、とー
「おい、お前」
突如として、見知らぬ街へと飛ばされて、途方に暮れながら一人で歩いていると、3人の少女に声をかけられた。
ーあの子たちは・・・確かー
見覚えがある面々であった。なぜなら、開会式の時、同じグループにいたメンツだったからだ。特に親しそうには見えなかったが、ここに飛ばされて、さっそくチームでも作ったのだろうかー
この大会では、誰もが最終的には敵となる。だが、一時的に手を結んで共に行動すること自体は、別にルール違反でもない。戦闘行為や性行為を長期間にわたり避け続けることは、大会ルールに抵触するが、それ以外のことは、細かな点を除けば大会参加者の自由と言ってもいい状態だった。
ーそれこそ、目の前の相手をどれだけ凌辱しようとも、とがめられることはないー
「あなたたちは・・・」
薄紫の髪の少女が問いかけようとするが、3人ともにやにやしてこちらを見返している。
「あたしらとさっそく遊ばない?あんた」
その3人の中で、サイドテールの少女が手を伸ばしてきた。他の2人は、薄紫の髪の少女が逃げないように、周囲を取り囲い始めた。
3人の表情を見て、薄紫の少女は嫌な予感がしたー
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