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第3章 虚ろなる人形
第102話 破滅、そしてアルカディアへ・・・
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川澄真由美殺害後、程なくして勅使河原は警察に逮捕されたー
一条紗耶香による道場連続殺人事件とほぼ時を同じくして発生した今回の事件は、世間を震撼させるとともに、どちらも同年代の女子高生が引き起こした事件であることから、話題は「今どきの未成年」一色に染まることとなった。
勅使河原逮捕の一報を受けて、特に驚きの色を隠せなかったのが、勅使河原に近い周囲の者達である。まさかあの勅使河原さんがこんなことをするなんて、と口々に語った。近くにいる者達こそ、意外と本人のことを知らないものだということを改めて認識させられる形となった。
この後だが、勅使河原自身には、警察に逮捕され、連日取り調べを受けてからの先の記憶がない。どうしてもそこからが思い出せないのだ。
大会運営側が、本人の死に関わるような記憶は曖昧化していると説明していたのを思い出す。おそらく、取り調べを受ける中、スキを見て自ら自殺したのではないだろうかと思っている。よく、取り調べの最中に犯人が自分の衣服を破き、ひも状にしてから首をつって自殺したという話を聞いたことがあるが、もしかしたら、生前の勅使河原もそうだったのかもしれなかった。
どのみち、それ以上生きていたとしても、まともな人生などあり得ない。本当はもっと殺したかったという悔いはあるものの、当初の目標である一条紗耶香の域に到達しかけたのは間違いない。もうこれ以上、自分の人生にこだわる必要もなかった。
「そして、私はこの島に来た」
彼女が「死後」招かれたこの島ーアルカディア島は、まさに彼女の理想をそのまま体現したかのようなものだった。
自分の周りにいるのは、みな粒ぞろいの美少女ばかり。モラルなどなく、ただ勝ち続けることのみが求められ、敗者の首を刎ねて晒すことが推奨されるこの島は、勅使河原にとってはまさに「地上の楽園」と言っても過言ではない。
あのまま、普通の女子高生として、普通の人生を送っていたとしても、遅かれ早かれ自分は壊れてしまっていただろう。ここでは、自らが勝利者であり続ける限りにおいては、何をしても自由なのだ。どのような工芸品を作ろうが許されるのだ。
この島に、生前憧れの対象であり、目標でもあった一条紗耶香もいた。今なら、彼女がなぜ、二人の妹弟子の首を刎ねたのか、その理由もよくわかるつもりだ。
今、勅使河原の目の前には氷上亜美がいる。鋼線により全身を拘束し、身動きできなくしている。これから彼女をレイプし、擬体を纏わせたうえで勝負を挑むのだ。
「さあ、氷上さん・・・あなたはこの島で、最初の私の工芸品になるのよ・・・」
全身を拘束され、身動きの取れない氷上の顎を掴み、自分の方へと顔を向かせる。見れば見るほど美しい娘だ。生前は、川澄真由美こそが自分が作り上げた最高傑作かと思っていたが、あんなものですらせいぜいが2級品だ。これからはいくらでも1級品を生み出すことができるー自分が生きて、戦いに勝ち続ける限り。
初めて、勅使河原は自らの生に価値と目的を見出すことができたーそのことを実感したのだった。
一条紗耶香による道場連続殺人事件とほぼ時を同じくして発生した今回の事件は、世間を震撼させるとともに、どちらも同年代の女子高生が引き起こした事件であることから、話題は「今どきの未成年」一色に染まることとなった。
勅使河原逮捕の一報を受けて、特に驚きの色を隠せなかったのが、勅使河原に近い周囲の者達である。まさかあの勅使河原さんがこんなことをするなんて、と口々に語った。近くにいる者達こそ、意外と本人のことを知らないものだということを改めて認識させられる形となった。
この後だが、勅使河原自身には、警察に逮捕され、連日取り調べを受けてからの先の記憶がない。どうしてもそこからが思い出せないのだ。
大会運営側が、本人の死に関わるような記憶は曖昧化していると説明していたのを思い出す。おそらく、取り調べを受ける中、スキを見て自ら自殺したのではないだろうかと思っている。よく、取り調べの最中に犯人が自分の衣服を破き、ひも状にしてから首をつって自殺したという話を聞いたことがあるが、もしかしたら、生前の勅使河原もそうだったのかもしれなかった。
どのみち、それ以上生きていたとしても、まともな人生などあり得ない。本当はもっと殺したかったという悔いはあるものの、当初の目標である一条紗耶香の域に到達しかけたのは間違いない。もうこれ以上、自分の人生にこだわる必要もなかった。
「そして、私はこの島に来た」
彼女が「死後」招かれたこの島ーアルカディア島は、まさに彼女の理想をそのまま体現したかのようなものだった。
自分の周りにいるのは、みな粒ぞろいの美少女ばかり。モラルなどなく、ただ勝ち続けることのみが求められ、敗者の首を刎ねて晒すことが推奨されるこの島は、勅使河原にとってはまさに「地上の楽園」と言っても過言ではない。
あのまま、普通の女子高生として、普通の人生を送っていたとしても、遅かれ早かれ自分は壊れてしまっていただろう。ここでは、自らが勝利者であり続ける限りにおいては、何をしても自由なのだ。どのような工芸品を作ろうが許されるのだ。
この島に、生前憧れの対象であり、目標でもあった一条紗耶香もいた。今なら、彼女がなぜ、二人の妹弟子の首を刎ねたのか、その理由もよくわかるつもりだ。
今、勅使河原の目の前には氷上亜美がいる。鋼線により全身を拘束し、身動きできなくしている。これから彼女をレイプし、擬体を纏わせたうえで勝負を挑むのだ。
「さあ、氷上さん・・・あなたはこの島で、最初の私の工芸品になるのよ・・・」
全身を拘束され、身動きの取れない氷上の顎を掴み、自分の方へと顔を向かせる。見れば見るほど美しい娘だ。生前は、川澄真由美こそが自分が作り上げた最高傑作かと思っていたが、あんなものですらせいぜいが2級品だ。これからはいくらでも1級品を生み出すことができるー自分が生きて、戦いに勝ち続ける限り。
初めて、勅使河原は自らの生に価値と目的を見出すことができたーそのことを実感したのだった。
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