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第3章 虚ろなる人形
第88話 謎の地下室
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明菜殺害後、勅使河原は何食わぬ顔で学校に登校した。
「・・・やはり、小坂さんの話も出てたわね・・・」
朝のホームルームで、なんとも頼りなさげな担任教師から、小坂明菜が昨日から家に戻っていないことを告げられ、もし彼女を見かけたらすぐさま教えてほしいとの通達があった。クラス担任としては、自分が受け持っているクラスから2人も「失踪者」が出ていることもあり、それこそ気が気でないといった様子だった。
ー真理も明菜も、もう帰ってはこないー
彼女たちの首は、そのままクーラーボックスに保管してある。その隣に、今度は川澄真由美の首も入れるつもりだ。
ーあなたたち、もう寂しくはないわよー
勅使河原の口の端が緩みそうになるーが、誰が見ているかわからないので、何とかそれを抑えた。
ーもう、私自身にも残された時間は多くないわよねー
警察はすでに、真理の交友関係を当たっており、勅使河原自身もそれとなく事情は聞かれている。ついで、今度は明菜の「失踪」だ。多分、警察も勅使河原のことを怪しいと睨み始めているはずだ。
ー警察に捕まる前に、川澄さんを殺さないとー
勅使河原は、それとなく川澄真由美の方を窺った。
席で担任教師の話を聞いている真由美の顔が青ざめているのがわかる。確か、彼女は明菜とも親しかったはずだ。自分の友人が「失踪」したと担任から聞かされてショックを受けたのだろう。
真由美は、勅使河原が事件を起こす前から、元々勅使河原のことを警戒していた。他の女子たちが勅使河原の周りに集まる中、彼女だけは勅使河原のことを訝しみ、そして距離をとっていたように思う。
勅使河原は、再び担任の方へと目を向ける。あまり、真由美の方ばかり窺って感づかれでもしたらまずいと思ったからだーそれにしても・・・。
ーこの男、なんというか、本当に頼りないわねー
教壇で汗を拭きながら、真理や明菜のことに言及している30代の担任教師を内心嘲る勅使河原。勅使河原のクラス担任は、明らかに面倒ごとを嫌うタイプの人間だった。
ーあなたはこれから、日本中を震撼させる事件の当事者になるのよ、先生ー
思わず、そう言ってやりたくなる。
自分が警察に捕まるのは織り込み済みだ。どのみち、最初から自身の破滅ありきで凶行に及んでいるので、捕まったところで後悔はない。
尤も、その騒ぎを自分では確認できないだろうが、それは別に構わない。勅使河原が事件を起こしたのは、世間を騒がせるといった「自己顕示」によるものではない。かのエリザベート・バートリーのように、少女たちをこの手で殺し、その美しい血で自身を満たしたいからだ。
ーさあ、川澄さん・・・あなたの首を私に頂戴。私の破滅が訪れるまで、共にあり続けましょうー
勅使河原は、再び真由美の方をちらっと見る。唇をかみしめ、何やら耐えるかのように俯き続ける真由美ーその首をこの手で絞める時、どれほど自分を満たすことになるのかー
自然と、勅使河原の指が自らの股間にー触れようとして、ここは教室なのだと思い至り、自重する。快楽に浸るのは、その時が来てからだー
「・・・やはり、小坂さんの話も出てたわね・・・」
朝のホームルームで、なんとも頼りなさげな担任教師から、小坂明菜が昨日から家に戻っていないことを告げられ、もし彼女を見かけたらすぐさま教えてほしいとの通達があった。クラス担任としては、自分が受け持っているクラスから2人も「失踪者」が出ていることもあり、それこそ気が気でないといった様子だった。
ー真理も明菜も、もう帰ってはこないー
彼女たちの首は、そのままクーラーボックスに保管してある。その隣に、今度は川澄真由美の首も入れるつもりだ。
ーあなたたち、もう寂しくはないわよー
勅使河原の口の端が緩みそうになるーが、誰が見ているかわからないので、何とかそれを抑えた。
ーもう、私自身にも残された時間は多くないわよねー
警察はすでに、真理の交友関係を当たっており、勅使河原自身もそれとなく事情は聞かれている。ついで、今度は明菜の「失踪」だ。多分、警察も勅使河原のことを怪しいと睨み始めているはずだ。
ー警察に捕まる前に、川澄さんを殺さないとー
勅使河原は、それとなく川澄真由美の方を窺った。
席で担任教師の話を聞いている真由美の顔が青ざめているのがわかる。確か、彼女は明菜とも親しかったはずだ。自分の友人が「失踪」したと担任から聞かされてショックを受けたのだろう。
真由美は、勅使河原が事件を起こす前から、元々勅使河原のことを警戒していた。他の女子たちが勅使河原の周りに集まる中、彼女だけは勅使河原のことを訝しみ、そして距離をとっていたように思う。
勅使河原は、再び担任の方へと目を向ける。あまり、真由美の方ばかり窺って感づかれでもしたらまずいと思ったからだーそれにしても・・・。
ーこの男、なんというか、本当に頼りないわねー
教壇で汗を拭きながら、真理や明菜のことに言及している30代の担任教師を内心嘲る勅使河原。勅使河原のクラス担任は、明らかに面倒ごとを嫌うタイプの人間だった。
ーあなたはこれから、日本中を震撼させる事件の当事者になるのよ、先生ー
思わず、そう言ってやりたくなる。
自分が警察に捕まるのは織り込み済みだ。どのみち、最初から自身の破滅ありきで凶行に及んでいるので、捕まったところで後悔はない。
尤も、その騒ぎを自分では確認できないだろうが、それは別に構わない。勅使河原が事件を起こしたのは、世間を騒がせるといった「自己顕示」によるものではない。かのエリザベート・バートリーのように、少女たちをこの手で殺し、その美しい血で自身を満たしたいからだ。
ーさあ、川澄さん・・・あなたの首を私に頂戴。私の破滅が訪れるまで、共にあり続けましょうー
勅使河原は、再び真由美の方をちらっと見る。唇をかみしめ、何やら耐えるかのように俯き続ける真由美ーその首をこの手で絞める時、どれほど自分を満たすことになるのかー
自然と、勅使河原の指が自らの股間にー触れようとして、ここは教室なのだと思い至り、自重する。快楽に浸るのは、その時が来てからだー
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