百合斬首~晒しな日記~

ミケとポン太

文字の大きさ
上 下
86 / 499
第3章 虚ろなる人形

第85話 次に狙うは・・・

しおりを挟む
 明菜の首の切断面ーそこに舌を這わせ、その瞳をうっとりとさせる勅使河原。蔵の窓から入り込む淡い月の光を浴び、少女の生首を抱えながら快楽に身をゆだねる姿は、何よりも恐ろしく、そして同時に美しくもあった。
「はあああ・・・明菜、あなたの血の味って、すごくおいしいわよ。あなたの体の中を、こんなに甘美なものが流れていただなんて・・・本当に素敵だわ」
 明菜の首の切断面を舐め続けることで、彼女の内面にも直に触れていられるような気がした。
 自分と同じくらいの年頃の娘の首を切りたい。そうすることで、真に彼女たちと繋がっていられることを実感できる。
 教室での、「親友」という言葉の裏に隠されたうわべだけの関係ーしかし、今の明菜は、その死の寸前にを曝け出し、その表情に残している。
 学校での「親友」や「仲間」なんてものは、所詮は学校生活を円滑にするための、ただの表面上のものに過ぎない。環境が変われば、あっさりと崩れてしまうほどの、脆い脆い砂上の楼閣のようなものだ。
 今までの「親友たち」がまるっきり他の誰かと変わってしまったとしても、そこには何の問題もなかったーいくらでも代替可能な関係に過ぎないのだ。
 勅使河原の舌が、切断面の骨の部分に触れ、異質な感触に一瞬その美麗な眉を細めるものの、そのまま舐め続ける。その音が、卑猥なものとなって夜の蔵の中に響いた。
 見る者が見れば、激しい嘔吐感を催すその光景は、だが、後にアルカディア島に招かれた彼女がしでかしたことに比べれば大したことはなかった。
「・・・んふぅ」
 やがて、勅使河原は舌を休めると、今度は明菜の首を真正面から見据えた。その表情は、苦悶を通り越して、どこか眠たげなものにも見えた。さらには半開きの口が、最期に何かの言葉を発しようとしてそのまま途切れた形のものだということを如実に物語っている。何を言わんとしたのかもはや誰にも分らない。ありふれた言葉なら、「苦しい」だとか「やめて」とか「助けて」だろうかーそんなつまらない言葉でないことを、勅使河原は願ったーとはいえ、その答えを知るすべはない。
「川澄さんなら、最期はなんて言おうとするのかしら」
 川澄真由美は、勅使河原のことを警戒している人物だ。それゆえに、うわべだけの「親友気取り」の連中よりもよっぽど興味がある。
 そして、だからこそ、今、一番この手にかけてみたい少女でもあった。
 もちろん、ただ殺すのではないーやはりこの手で首を絞めて、緩慢に殺す。その苦痛を直に観察したいのだ。真理や明菜とは違う反応を示すのか、それとも、同じ人間なのだから、結局は同じ反応になるのかー
「・・・川澄さんか。おそらく彼女は・・・」
 勅使河原の推測では、おそらく川澄真由美は、真理と明菜の「失踪」(明菜についてはこれからその「失踪」が明らかとなるだろう)について、誰よりも早くその真相に近づくはずだ。
 つまりは、二人の「失踪」に関与しているのは、ほかならぬ勅使河原であることに。
「眠らせる必要があるわね・・・」
 学校で、彼女が一人きりになった瞬間を狙って、スキを見て眠らせるー相手の皮膚に触れることで眠らせることができる薬があるので、それを使うか。抱きつく形になりそうね。
 これから数日後、川澄真由美の殺害は現実のものとなるー
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

処理中です...