76 / 499
第3章 虚ろなる人形
第75話 更なるいけにえを求めて
しおりを挟む
勅使河原の凶行は、この後も続くことになるー
渡辺真理の友人に小坂明菜という少女がいる。やはり美人というほどでもないのだが、それでも真理よりも可愛らしいと言える少女であった。
髪型はポニーテール、やはり小柄で、しかしボディラインはしっかりと女性のそれを強調してやまないという、どちらかと言えば異性から注目を浴びやすいタイプだった。勅使河原の通う高校は、男女共学の普通高校出るため、しばしば男子生徒が彼女に声をかけている場面を目にしたことがあるが、いずれの男子も見事に玉砕しているようだ。
小坂明菜自身は、今のところ異性には興味がないらしい。彼女もまた、勅使河原の崇拝者(というべきなのだろうか)の一人で、ここ最近は頻繁に真理と一緒に、勅使河原に絡んできた記憶がある。
勅使河原にとっての次のターゲットは彼女だった。
「どうしたんだろ?真理。水曜日から突然いなくなったって・・・」
渡辺真理の「失踪」については、既にクラスだけでなくこの学校中の噂となっていた。
同じ学校の生徒が突然失踪したわけだから、この話題で持ちきりになるのは当然のことだった。学校側も、自分たちの学校から行方不明者が出たということでいろいろと対応に追われているらしく、教職員たちも慌ただしかった。
もちろん、彼女の「失踪」の真相を知っているのは、この場では勅使河原マヤただ一人だけである。
勅使河原は、いつもと変わらない涼しい顔をしながら、教室で噂話に耳を傾けていた。
ー高々、人間一人がいなくなったくらいで、なんでこんなに騒ぐのかしらね、現代人ってー
自分自身も含めてのことだが、勅使河原自身は「人の命の価値」等というものには全く意味を見いだせていない。だからこそ、いずれは自分の身に破滅が訪れようとも(そして、その破滅が限りなく近い未来に訪れることになろうとも)真理を殺害した。
口を開けば誰もが、「命の尊さ」だの「大切さ」だのと主張するが、それを本当にわかっている者がどれだけいるというのかーむしろ、時としては、命よりも重要視しなければならないものもあるのではないか。ただ生きることだけが尊いなどと言うなら、なぜ人はこれほどまでに死に魅入られるのかー
だが、その問いかけを口にした途端、周りから白眼視されるーまったくもって忌々しい。
ホームルームで、30過ぎの頼りない担任教師が、真理のことを見かけたらすぐに知らせるように、と生徒達に訴えていたのを聞き流しながら、勅使河原は改めて真理の座席を見る。
まるで、人懐っこい小動物のように、自分に纏わりついてきた少女ー今やその首は、冷凍保存のためにクーラーボックスの中、そして、胴体の方は蔵の地下にある地面に埋めてある。
もちろん、いずれは発覚するだろうが、殺人という最高の芸術を表現せずしてのただ生き続けるだけの人生など、何の意味もなかっただろうから、後悔はしていない。
だが、捕まる前に、あと2,3人は殺しておきたい。どうせなら、破滅の極致に至るまでの芸術を自らの手で生み出してみたい。そのためなら、自分自身の命など、全く惜しくもなかった。
「次は、誰にしようかしら・・・?」
ホームルーム後、勅使河原はクラスの少女たちを見回す。
そこで、小坂明菜に目をつけたのだったー
渡辺真理の友人に小坂明菜という少女がいる。やはり美人というほどでもないのだが、それでも真理よりも可愛らしいと言える少女であった。
髪型はポニーテール、やはり小柄で、しかしボディラインはしっかりと女性のそれを強調してやまないという、どちらかと言えば異性から注目を浴びやすいタイプだった。勅使河原の通う高校は、男女共学の普通高校出るため、しばしば男子生徒が彼女に声をかけている場面を目にしたことがあるが、いずれの男子も見事に玉砕しているようだ。
小坂明菜自身は、今のところ異性には興味がないらしい。彼女もまた、勅使河原の崇拝者(というべきなのだろうか)の一人で、ここ最近は頻繁に真理と一緒に、勅使河原に絡んできた記憶がある。
勅使河原にとっての次のターゲットは彼女だった。
「どうしたんだろ?真理。水曜日から突然いなくなったって・・・」
渡辺真理の「失踪」については、既にクラスだけでなくこの学校中の噂となっていた。
同じ学校の生徒が突然失踪したわけだから、この話題で持ちきりになるのは当然のことだった。学校側も、自分たちの学校から行方不明者が出たということでいろいろと対応に追われているらしく、教職員たちも慌ただしかった。
もちろん、彼女の「失踪」の真相を知っているのは、この場では勅使河原マヤただ一人だけである。
勅使河原は、いつもと変わらない涼しい顔をしながら、教室で噂話に耳を傾けていた。
ー高々、人間一人がいなくなったくらいで、なんでこんなに騒ぐのかしらね、現代人ってー
自分自身も含めてのことだが、勅使河原自身は「人の命の価値」等というものには全く意味を見いだせていない。だからこそ、いずれは自分の身に破滅が訪れようとも(そして、その破滅が限りなく近い未来に訪れることになろうとも)真理を殺害した。
口を開けば誰もが、「命の尊さ」だの「大切さ」だのと主張するが、それを本当にわかっている者がどれだけいるというのかーむしろ、時としては、命よりも重要視しなければならないものもあるのではないか。ただ生きることだけが尊いなどと言うなら、なぜ人はこれほどまでに死に魅入られるのかー
だが、その問いかけを口にした途端、周りから白眼視されるーまったくもって忌々しい。
ホームルームで、30過ぎの頼りない担任教師が、真理のことを見かけたらすぐに知らせるように、と生徒達に訴えていたのを聞き流しながら、勅使河原は改めて真理の座席を見る。
まるで、人懐っこい小動物のように、自分に纏わりついてきた少女ー今やその首は、冷凍保存のためにクーラーボックスの中、そして、胴体の方は蔵の地下にある地面に埋めてある。
もちろん、いずれは発覚するだろうが、殺人という最高の芸術を表現せずしてのただ生き続けるだけの人生など、何の意味もなかっただろうから、後悔はしていない。
だが、捕まる前に、あと2,3人は殺しておきたい。どうせなら、破滅の極致に至るまでの芸術を自らの手で生み出してみたい。そのためなら、自分自身の命など、全く惜しくもなかった。
「次は、誰にしようかしら・・・?」
ホームルーム後、勅使河原はクラスの少女たちを見回す。
そこで、小坂明菜に目をつけたのだったー
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる