百合斬首~晒しな日記~

ミケとポン太

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第3章 虚ろなる人形

第75話 更なるいけにえを求めて

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 勅使河原の凶行は、この後も続くことになるー
 渡辺真理の友人に小坂明菜という少女がいる。やはり美人というほどでもないのだが、それでも真理よりも可愛らしいと言える少女であった。
 髪型はポニーテール、やはり小柄で、しかしボディラインはしっかりと女性のそれを強調してやまないという、どちらかと言えば異性から注目を浴びやすいタイプだった。勅使河原の通う高校は、男女共学の普通高校出るため、しばしば男子生徒が彼女に声をかけている場面を目にしたことがあるが、いずれの男子も見事に玉砕しているようだ。
 小坂明菜自身は、今のところ異性には興味がないらしい。彼女もまた、勅使河原の崇拝者(というべきなのだろうか)の一人で、ここ最近は頻繁に真理と一緒に、勅使河原に絡んできた記憶がある。
 勅使河原にとっての次のターゲットは彼女だった。

「どうしたんだろ?真理。水曜日から突然いなくなったって・・・」
 渡辺真理の「失踪」については、既にクラスだけでなくこの学校中の噂となっていた。
 同じ学校の生徒が突然失踪したわけだから、この話題で持ちきりになるのは当然のことだった。学校側も、自分たちの学校から行方不明者が出たということでいろいろと対応に追われているらしく、教職員たちも慌ただしかった。
 もちろん、彼女の「失踪」の真相を知っているのは、この場では勅使河原マヤただ一人だけである。
 勅使河原は、いつもと変わらない涼しい顔をしながら、教室で噂話に耳を傾けていた。
 ー高々、人間一人がいなくなったくらいで、なんでこんなに騒ぐのかしらね、現代人ってー
 自分自身も含めてのことだが、勅使河原自身は「人の命の価値」等というものには全く意味を見いだせていない。だからこそ、いずれは自分の身に破滅が訪れようとも(そして、その破滅が限りなく近い未来に訪れることになろうとも)真理を殺害した。
 口を開けば誰もが、「命の尊さ」だの「大切さ」だのと主張するが、それを本当にわかっている者がどれだけいるというのかーむしろ、時としては、命よりも重要視しなければならないものもあるのではないか。ただ生きることだけが尊いなどと言うなら、なぜ人はこれほどまでに
 だが、その問いかけを口にした途端、周りから白眼視されるーまったくもって忌々しい。
 ホームルームで、30過ぎの頼りない担任教師が、真理のことを見かけたらすぐに知らせるように、と生徒達に訴えていたのを聞き流しながら、勅使河原は改めて真理の座席を見る。
 まるで、人懐っこい小動物のように、自分に纏わりついてきた少女ー今やその首は、冷凍保存のためにクーラーボックスの中、そして、胴体の方は蔵の地下にある地面に埋めてある。
 もちろん、いずれは発覚するだろうが、殺人という最高の芸術を表現せずしてのただ生き続けるだけの人生など、何の意味もなかっただろうから、後悔はしていない。
 だが、捕まる前に、あと2,3人は殺しておきたい。どうせなら、破滅の極致に至るまでの芸術を自らの手で生み出してみたい。そのためなら、自分自身の命など、全く惜しくもなかった。
「次は、誰にしようかしら・・・?」
 ホームルーム後、勅使河原はクラスの少女たちを見回す。
 そこで、小坂明菜に目をつけたのだったー
 
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