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第3章 虚ろなる人形
第74話 あなたの首を
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渡辺真理を手にかけてから、既に2時間が経過していた。
真理の遺体は既に死後硬直が始まっており、もはやその瞳を閉じることも叶わない。
だが、死の直前の表情を保存することを望む勅使河原にとって、むしろ好都合とも言えた。
「ようやく、あなたの首を切ることができるわ、渡辺さん・・・」
穏やかな、そして恍惚とした表情を浮かべたまま、勅使河原は真理の首筋に鋸の刃を押し当てた。そして、少しずつその刃を引いていくー
すでに、真理の血流自体は停止しているため、派手な血しぶきなどはない。首に刃が食い込む感触が、さらに勅使河原を性的に興奮させていく。
「はあ、はあ・・・あああ」
勅使河原が、たまらず自らの秘所から愛液を垂れ流す。鋸を動かす手の動きに合わせるかのように、体を揺らした。
ーこれだ、これこそが、私が求めていたものー
自分の将来を犠牲にしてでも手に入れたかった感触だった。
蔵の中に、真理の肉を切り裂く鋸の音だけがただただ響き渡るー聞く者によっては、吐き気と不快感を催すであろうその音も、勅使河原にとっては自らの工芸品を作り上げていく過程での美しい音色のように思われた。
真理の首が半ばまで切られ、生前は真理の体の中を脈々と流れていたであろう、赤い、紅い液体が地面を湿らせ、辺りには鉄分を含んだ異臭がまき散らされる。
血流が停まった後での切断なので、一般的な斬首のように切り口から間欠泉のように血液が迸るということはない。その点だけは不満だった。
一条紗耶香が二人の少女の首を刎ねた時、おそらくは生の最後の奔流ともいうべき血の雨をその体に浴びたはずーできれば、私も同じことをしてみたかった。だが、私にはそれはできない。
ならば、せめて今のこの光景だけでも、目に焼き付けておかなくてはー
真理の首の骨を、より力を入れて切断しにかかる。この骨さえ断ち切れば、完全に彼女の首は私だけのものとなるのだ。
今までに感じたことのない高揚感のまま、一息に鋸に力を入れ、ついに完全に真理の首と胴体を切り離すことに成功した。
ゴロンー
かすかな音と共に、真理の生首が転がる。その表情は、変わらないーもう、永遠に、変わることはないのだー
「ふふ、ふふふ・・・」
勅使河原は、言い知れぬ快感に全身を震わせた。彼女の傍では、もはや命の光を宿していない真理の瞳が、そんな勅使河原の姿を映し出しているだけだった。
そのまま、鋸を地面へと取り落とし、彼女は、今しがた切断したばかりの首に両手を伸ばした。
初めて殺し、そして切断した人間の首ー
決して美しい少女ではなかったものの、この、生の最期の瞬間を保存した首だけの姿は、他の何よりも美しく、そして愛おしかった。
勅使河原は、そのまま真理の首を高らかと掲げた。奇しくも、この動作が、後のアルカディア島の大会参加者に強制されることになろうとは、今の勅使河原には当然、知る由もないことである。
怪しげな、いや、妖しげな月光に照らされた真理の首は、勅使河原にとって最初の工芸品であり、彼女が唯一認めた作品でもあった。
まだ、首の切断箇所からは血が滴り落ちている。勅使河原は、首の切断面を自らの口元にもっていくと、血のように赤い舌を這わせて、その切断面をちろちろと舐め始めた。
ー最高だわ、渡辺さんー
勅使河原は、興奮のあまり、自らもまた知らぬうちに失禁していたことに、今更ながら気が付いたー
真理の遺体は既に死後硬直が始まっており、もはやその瞳を閉じることも叶わない。
だが、死の直前の表情を保存することを望む勅使河原にとって、むしろ好都合とも言えた。
「ようやく、あなたの首を切ることができるわ、渡辺さん・・・」
穏やかな、そして恍惚とした表情を浮かべたまま、勅使河原は真理の首筋に鋸の刃を押し当てた。そして、少しずつその刃を引いていくー
すでに、真理の血流自体は停止しているため、派手な血しぶきなどはない。首に刃が食い込む感触が、さらに勅使河原を性的に興奮させていく。
「はあ、はあ・・・あああ」
勅使河原が、たまらず自らの秘所から愛液を垂れ流す。鋸を動かす手の動きに合わせるかのように、体を揺らした。
ーこれだ、これこそが、私が求めていたものー
自分の将来を犠牲にしてでも手に入れたかった感触だった。
蔵の中に、真理の肉を切り裂く鋸の音だけがただただ響き渡るー聞く者によっては、吐き気と不快感を催すであろうその音も、勅使河原にとっては自らの工芸品を作り上げていく過程での美しい音色のように思われた。
真理の首が半ばまで切られ、生前は真理の体の中を脈々と流れていたであろう、赤い、紅い液体が地面を湿らせ、辺りには鉄分を含んだ異臭がまき散らされる。
血流が停まった後での切断なので、一般的な斬首のように切り口から間欠泉のように血液が迸るということはない。その点だけは不満だった。
一条紗耶香が二人の少女の首を刎ねた時、おそらくは生の最後の奔流ともいうべき血の雨をその体に浴びたはずーできれば、私も同じことをしてみたかった。だが、私にはそれはできない。
ならば、せめて今のこの光景だけでも、目に焼き付けておかなくてはー
真理の首の骨を、より力を入れて切断しにかかる。この骨さえ断ち切れば、完全に彼女の首は私だけのものとなるのだ。
今までに感じたことのない高揚感のまま、一息に鋸に力を入れ、ついに完全に真理の首と胴体を切り離すことに成功した。
ゴロンー
かすかな音と共に、真理の生首が転がる。その表情は、変わらないーもう、永遠に、変わることはないのだー
「ふふ、ふふふ・・・」
勅使河原は、言い知れぬ快感に全身を震わせた。彼女の傍では、もはや命の光を宿していない真理の瞳が、そんな勅使河原の姿を映し出しているだけだった。
そのまま、鋸を地面へと取り落とし、彼女は、今しがた切断したばかりの首に両手を伸ばした。
初めて殺し、そして切断した人間の首ー
決して美しい少女ではなかったものの、この、生の最期の瞬間を保存した首だけの姿は、他の何よりも美しく、そして愛おしかった。
勅使河原は、そのまま真理の首を高らかと掲げた。奇しくも、この動作が、後のアルカディア島の大会参加者に強制されることになろうとは、今の勅使河原には当然、知る由もないことである。
怪しげな、いや、妖しげな月光に照らされた真理の首は、勅使河原にとって最初の工芸品であり、彼女が唯一認めた作品でもあった。
まだ、首の切断箇所からは血が滴り落ちている。勅使河原は、首の切断面を自らの口元にもっていくと、血のように赤い舌を這わせて、その切断面をちろちろと舐め始めた。
ー最高だわ、渡辺さんー
勅使河原は、興奮のあまり、自らもまた知らぬうちに失禁していたことに、今更ながら気が付いたー
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