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第2章 確かなもの

第41話 保健室にて

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 このアルカディア島には、監視されていない場所など存在しないー
 つまりは、この大会の関係者にはこちらの情事など筒抜けというわけだが、頭ではそうわかっていたとしても、しかし、欲求は抑えることができずー
「んん・・・」
「あ・・・ふ・・・」
 保健室。カーテンを引かれた寝台の上で、二人の少女がその唇を重ね合わせていた。
 紗耶香と葉月である。二人とも衣類は纏っていない。生まれた時の姿のままで、お互いの唇を求め、その舌を重ね合わせていた。
 舌の動きに合わせ、卑猥な音が保健室の中に響く。元々、二人以外は誰もいない空間なだけに、その音はより一層鳴り響いた。
「ん・・・はぁ」
 ひとしきり接吻をした後に、ゆっくりと唇を離す二人。その二人の舌にはお互いの唾液が混ざり合ったブリッジがかかったままで、その様子もまた彼女たちの卑猥さを浮き立たせていた。
「先輩、やっぱり先輩とこうしているのが一番いいっすね」
 目がトロンとした表情の葉月に対し、紗耶香はその頭を掻きまわしてやり、
「わわ、先輩・・・髪が乱れちゃいます!!」
「くくく・・・髪ぼさぼさのお前さんも悪くないだろ?」
「・・・悪いっす!」
 髪を掻きまわしてから、そのままの勢いで葉月を押し倒す紗耶香。
「ひゃっ!」
 葉月が上げる声がおかしくて、つい笑みを浮かべる紗耶香。普段の様子とは異なり、こいつは押しに弱い。今あげた悲鳴などは、年相応の少女のそれだろう。
「お前、やっぱり、マゾなんじゃないの?」
「だから、あたしはサドっすよ!!昨日相手にしたお嬢様だって、うんといじめてから仕留めてやったんすから」
 こいつが相手を嬲るのは、逆に自分が嬲られるのを恐れているからだ。嬲られることで、「本当の自分の姿」を認識せざるを得なくなるからだろう。
 紗耶香はそう考えている。
 とはいえ、紗耶香にとっては葉月がSであろうとMであろうと大して関係はなかった。
 葉月のいじり方を知っているのは自分だけであり、その時の状況に応じていじり方を変えてやるだけだからだ。
「先輩、ここまで来て、キスだけってことはないっすよね?もっとエッチしたいっす」
 葉月が押し倒された格好のまま、まるで猫のような目つきで紗耶香を見つめ返してくる。
 紗耶香は、今度は自分の髪をいじりながら、
「あのなあ、葉月。あまりやりすぎれば擬体を纏っちまうだろう?そのまま首チョンパコース確定だぞ、お前・・・」
 葉月の頬を優しく撫でてやりながら、
「だから、今はこれで我慢しろ・・・一緒に寝るくらいのことならしてやるから」
「うう・・・わかったっす」
 紗耶香は、葉月の頬からその顎に手を当てがった。そして、葉月の顔を上向かせて、
「んん・・・!?」
 葉月の首ー正確に言えば喉の辺りに舌を這わせる。葉月が戸惑いの声をあげた。
「せ、先輩、何を・・・」
 紗耶香は葉月の問いかけには応じず、ただひたすらにその舌を這わせ、葉月の喉を舐めあげる。
「あ、あん・・・先輩」
 葉月自身は、くすぐったくもあったが、心地のよい舌の動きに身を委ねていた。
 紗耶香は、葉月の首をひとしきり舐め終わった後、今度は両手で葉月の豊満な乳房を揉み下す。
「・・・ああ、ああん。先輩、あたし・・・」
「おおっと、イクなよ、葉月・・・さっきも言った通り、イッちまったらそれでもうおしまいだからな・・・」
「・・・わ、わかってるっす」
 葉月の乳首を指でつまみ、片方の乳房を吸う。葉月の甘い声だけが一方的に響く中、紗耶香自身が体の内部からの高まりを感じ、慌てて葉月から体を引き離す。
「あ・・・危ない危ない・・・こっちがイクところだった」
「せ、先輩~」
「悪い悪い」
 葉月にあれだけ注意しておきながら、自分の方がやらかしてはお話にならない。
 今しばらくは、紗耶香と葉月の関係は継続しなければならないのだからー。

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