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第1章 開幕
第13話 勝負の行方は
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洋子の首と腹部を狙って放たれた美奈のチャクラム。そして、それらを迎え撃とうとする洋子。
亜麻色の髪を闘気が巻き起こす風に靡かせ、洋子は自らの首筋を狙ったチャクラムを弾き返す。食らえば確実に致命傷ー擬体破損率100%に迫るのは必至だった。
「・・・!」
だが、もう一つのチャクラムに関してはさすがに回避しきれない。一方のチャクラムを弾き返した後、わずかに後方に跳び退って何とか致命傷は避けられたもののー。
「荒垣洋子、擬体破損率12%」
ジャッジの音声が無情に響き渡る。もう一方のチャクラムが洋子の腹部を掠め、ダメージを与えていた。
「・・・なるほど、これが擬体を斬られるってことだね・・・」
洋子は斬られた箇所を抑えながら、
「確かに美奈の言うとおりだな・・・痛くはないけど、なんか気持ち悪い」
腹から何か激しい波のようなものが体の内部まで浸透していくような感じだろうか・・・確かに何度も味わいたくはない感触である。
「二つ同時をかわすのは、さすがに難しいでしょ?」
自分の手元に戻ってきたチャクラムを構えながら、余裕綽々と言った感じで、美奈が次の攻撃のタイミングを窺っている。
「まあね・・・でも」
洋子も負けじと刀を構え直し、少しずつ美奈との距離を詰め始めた。
「だからこそやりがいもあるってことさ!」
言い終わるか否かというタイミングで、再び駆け出す洋子。それを見て、
「・・・また同じパターンかしら?言っとくけど、最初の一撃で、大体アンタの動きやスピードは把握してるわよ」
美奈は後方へと跳躍し、可能な限り洋子との距離を保とうとする。もちろん、その間にも、攻撃のタイミングを計るのを忘れてはいなかった。
・・・が。
「同じパターンじゃ面白くないだろ?だから、こうするんだよ!!」
洋子の刀が振るわれるーその斬撃は、美奈には全く届かない距離のはずだったが、
「・・・え!?」
まるで、刀から衝撃波でも発せられたかのように、距離を保っていたはずの美奈の体ー正確には擬体ーを切り裂いていた。
「な?」
驚愕を隠し切れない美奈ー確かに距離は十分とっていたはずなのに、相手の斬撃はこちらに届いていたのだ。
まるで、洋子の刀から、かまいたちのようなものが放たれたーそんな感じであった。
「川村美奈、擬体破損率26%」
何とか、直感的に回避して致命的なダメージは避けたものの、さすがに擬体破損率が25%以上に達すると、美奈自身にも焦りが出てきた。
「・・・どうやら、アンタの刀って、遠距離攻撃も可能のようね」
今回斬られたのは、右腕の部分ーもし、これが擬体ではなく、生身だったら、まず間違いなく右腕が飛んでいただろう一撃だった。また、右腕だけではなく、一部右わき腹にもその一撃は到達していたようだ。痛みは感じぬとはいえ、斬られた箇所の衝撃自体は伝播するので、自分がどれくらいのダメージを受けたのか、ジャッジの音声を聞くまでもなくわかっていた。
「・・・それとも、それもとっさの一撃なのかしら?」
単純に距離さえ取っていれば勝てるというわけではないことがわかってきたので、美奈も今まで以上に慎重に洋子に対峙する。
「うーん、半分自覚あって、半分は無意識、みたいな感じ?」
洋子自身も、まだよくわかっていないのか、少し首をかしげながら、なんとも中途半端な返事をする。
「・・・何それ、まるでシュレディンガーの猫みたいなもんじゃない?半死半生の猫、みたいな」
「・・・あれって、箱の中の猫を覗いたら生きてるか死んでるかって話だろ?それとは違うんじゃないかなぁ、この場合」
「まあ、それはどうでもいいのよ・・・つまり、洋子自身もよくわかってないってことなんでしょ?自分でもよくわかってないのによくここまで粘れるわよね、全く」
呆れ顔の美奈に対し、洋子は
「まあ、いいんじゃない?そんなのどっちでもさ・・・」
もともと楽天的な性格の洋子である。あまり深く物事を考えるタチでもなかった。
「それよりも、そろそろ決着をつけようよ・・・美奈、アンタの首、あたしがもらい受けるよ!!」
洋子の闘気の高まりがさらに激しくなる。どうやら、洋子は次の一撃で一気にけりをつけるつもりらしい。
「あたしは全力でアンタと戦った。勝っても負けても後悔はない」
そんな洋子の姿を見て、美奈も自身に気合を入れ直す。
「それはあたしも同じよ・・・洋子、アンタの首はあたしがもらう・・・他の誰にも渡すつもりはないから!!」
そして、二人の少女は同時に叫んだー。
「いざ、勝負!!」
二人の少女の喊声は、神のおわす社に響き渡った。
ついに、二人の戦いに終止符が打たれるー。
亜麻色の髪を闘気が巻き起こす風に靡かせ、洋子は自らの首筋を狙ったチャクラムを弾き返す。食らえば確実に致命傷ー擬体破損率100%に迫るのは必至だった。
「・・・!」
だが、もう一つのチャクラムに関してはさすがに回避しきれない。一方のチャクラムを弾き返した後、わずかに後方に跳び退って何とか致命傷は避けられたもののー。
「荒垣洋子、擬体破損率12%」
ジャッジの音声が無情に響き渡る。もう一方のチャクラムが洋子の腹部を掠め、ダメージを与えていた。
「・・・なるほど、これが擬体を斬られるってことだね・・・」
洋子は斬られた箇所を抑えながら、
「確かに美奈の言うとおりだな・・・痛くはないけど、なんか気持ち悪い」
腹から何か激しい波のようなものが体の内部まで浸透していくような感じだろうか・・・確かに何度も味わいたくはない感触である。
「二つ同時をかわすのは、さすがに難しいでしょ?」
自分の手元に戻ってきたチャクラムを構えながら、余裕綽々と言った感じで、美奈が次の攻撃のタイミングを窺っている。
「まあね・・・でも」
洋子も負けじと刀を構え直し、少しずつ美奈との距離を詰め始めた。
「だからこそやりがいもあるってことさ!」
言い終わるか否かというタイミングで、再び駆け出す洋子。それを見て、
「・・・また同じパターンかしら?言っとくけど、最初の一撃で、大体アンタの動きやスピードは把握してるわよ」
美奈は後方へと跳躍し、可能な限り洋子との距離を保とうとする。もちろん、その間にも、攻撃のタイミングを計るのを忘れてはいなかった。
・・・が。
「同じパターンじゃ面白くないだろ?だから、こうするんだよ!!」
洋子の刀が振るわれるーその斬撃は、美奈には全く届かない距離のはずだったが、
「・・・え!?」
まるで、刀から衝撃波でも発せられたかのように、距離を保っていたはずの美奈の体ー正確には擬体ーを切り裂いていた。
「な?」
驚愕を隠し切れない美奈ー確かに距離は十分とっていたはずなのに、相手の斬撃はこちらに届いていたのだ。
まるで、洋子の刀から、かまいたちのようなものが放たれたーそんな感じであった。
「川村美奈、擬体破損率26%」
何とか、直感的に回避して致命的なダメージは避けたものの、さすがに擬体破損率が25%以上に達すると、美奈自身にも焦りが出てきた。
「・・・どうやら、アンタの刀って、遠距離攻撃も可能のようね」
今回斬られたのは、右腕の部分ーもし、これが擬体ではなく、生身だったら、まず間違いなく右腕が飛んでいただろう一撃だった。また、右腕だけではなく、一部右わき腹にもその一撃は到達していたようだ。痛みは感じぬとはいえ、斬られた箇所の衝撃自体は伝播するので、自分がどれくらいのダメージを受けたのか、ジャッジの音声を聞くまでもなくわかっていた。
「・・・それとも、それもとっさの一撃なのかしら?」
単純に距離さえ取っていれば勝てるというわけではないことがわかってきたので、美奈も今まで以上に慎重に洋子に対峙する。
「うーん、半分自覚あって、半分は無意識、みたいな感じ?」
洋子自身も、まだよくわかっていないのか、少し首をかしげながら、なんとも中途半端な返事をする。
「・・・何それ、まるでシュレディンガーの猫みたいなもんじゃない?半死半生の猫、みたいな」
「・・・あれって、箱の中の猫を覗いたら生きてるか死んでるかって話だろ?それとは違うんじゃないかなぁ、この場合」
「まあ、それはどうでもいいのよ・・・つまり、洋子自身もよくわかってないってことなんでしょ?自分でもよくわかってないのによくここまで粘れるわよね、全く」
呆れ顔の美奈に対し、洋子は
「まあ、いいんじゃない?そんなのどっちでもさ・・・」
もともと楽天的な性格の洋子である。あまり深く物事を考えるタチでもなかった。
「それよりも、そろそろ決着をつけようよ・・・美奈、アンタの首、あたしがもらい受けるよ!!」
洋子の闘気の高まりがさらに激しくなる。どうやら、洋子は次の一撃で一気にけりをつけるつもりらしい。
「あたしは全力でアンタと戦った。勝っても負けても後悔はない」
そんな洋子の姿を見て、美奈も自身に気合を入れ直す。
「それはあたしも同じよ・・・洋子、アンタの首はあたしがもらう・・・他の誰にも渡すつもりはないから!!」
そして、二人の少女は同時に叫んだー。
「いざ、勝負!!」
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