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第1章 開幕
第9話 擬体纏いし時・・・
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「ん、ああ、洋子、洋子ぉぉぉ」
己の秘所に舌を入れられ、嘗め回され、美奈は鼻にかかった声で洋子の名を呼び続けた。
美奈は、たまらず洋子の頭に両手を押しつける。彼女を翻弄する舌の動きに耐えられず、何とか洋子を引きはがそうとする美奈だったが、洋子も洋子で、それに抵抗するかのように美奈の中を舐め続けた。
「んんん・・・」
洋子の白く、細く、美し首ーその喉が、何かを飲み干すかのように妖しく蠢く。洋子は目を閉じ、一心不乱な様子で、ただひたすら美奈を翻弄していたーまるで、これ以上思い残すことがないように、美奈の中をしゃぶりつくさんと言うばかりだった。
「・・・!!洋子!」
さすがに、これ以上は「自分が壊れてしまう」と言わんばかりに、洋子が無理やり洋子を押さえつけ、顔を引きはがさせた。全身に浮かぶ珠のような汗が、御社殿の床にぽたりと落ちる。
「・・・やりすぎよ」
頬を紅潮させ、未だに半分夢心地といった感じの目つきで、洋子の顔を見つめる。対する洋子も、まるで猫のように舌をペロッと出したまま、美奈に相対した。
「・・・これで最後かもしれないじゃん・・・いや、どっちかは確実に最後だろ?なら、気が済むまでやりたかったんだ」
洋子もまた、額に汗を滲ませていた。やがて、その汗が顔の表面を伝い、小顔な洋子の尖った顎の先端から、ゆっくりと床へ滴り落ちる。
その後、二人は見つめ合い、しばしの間御社殿内に静寂が蘇っていた。
「・・・本当はさ、戦いたくなんてないんだよね・・・あたしとしては。でも、それじゃあ美奈も連帯責任で火刑か水責めになっちゃうかもしれない」
「あたしだって、本当は殺し合いなんてしたくはない・・・でも、逃げられないんだよね、ここから・・・」
二人のささやかな願いーそれすらも叶えられない現実ーどこにも逃げ道はなく、愛し合わせておいてから、その後残酷に殺し合いをさせる。敗れた方は、その首を捧げることになる。
それは、身も心も結ばれたとしても、結局最後に待ち受けるのは「別離」の道だった。
「・・・正直、あたしは、こんなバカげた大会を開催した奴らを許せない・・・それこそ本気で殺してやりたいと思ってる」
洋子が、その瞳に静かな怒りをたたえ、低い声音で呟いた。
「それは、あたしも同じだよ」
美奈も同意見だった。
一度自分たちは「死亡」した身である。その上で、なぜここまで弄ばれなくてはならないのか。
お互いの体を許し合った相手と、今度は殺し合いをさせ、負けた方の首を刎ねさせるーこの仕打ちを考えた連中にできることなら一矢報いてやりたかった。
ーー自分たちに、もっと力があればよかったのにーー
抗えぬ悔しさは、おそらくは大会参加者共通の想いなのかもしれない。ただ、それを確認できる相手は、今は目の前の美奈しかいなかった。
「なあ、美奈」
「何、洋子?」
ふいに洋子が美奈の唇を奪うー今度は、軽く表面に接触するくらいに留めてはいた。
「あたしは勝負ごとには手を抜けないタチなんだ・・・あの連中の掌の上で踊らされているのは頭に来るけど、やる時はやる。手は一切抜かない」
洋子の瞳には強い意志の光が宿っていた。それは、例え相手が誰であろうとも、揺らぐことなく決然としてそこにあり続けるだろう。
「恨みっこなしだ・・・あたしは、全力でアンタとやり合う。あたしが勝ったら、即座にアンタの首を刎ねる。もちろんあたしが負けたら、遠慮なくあたしの首を飛ばしてくれ。勝っても負けても、もはや後悔はない」
「・・・それはあたしのセリフね・・・先にとられた気分だわ。あたしも、全力でアンタと戦うつもり・・・手加減は一切しないよ」
「それでいい」
その時、二人の体に淡い光の粒子のようなものが、纏わりついていた。
「・・・これが擬体か」
実際に、視認しているというよりも、体がそれを実感しているといった方が正しいのかもしれなかった。
「・・・ついに、戦わなければならない時が来たようね」
美奈も、その時が来たことを実感したらしい。覚悟を決めたかのように、顔を上げ、洋子に強い視線を向ける。
「もう、逃げられないわ・・・洋子、始めましょう・・・アンタとの、最初にして最後の勝負を」
「・・・ああ、そうしよう」
擬体を纏った二人は、既に自分たちが戦いの場に身を置いていて、もはや逃げ場所などないことを痛感していた。お互い、改めて制服を身に着け、御社殿から外へと出る。
太陽の位置から考えて、ちょうど正午辺りだろうか。参加者には時計やスマホなど、時間を確認したり通信するための手段となる利器は一切与えられていない。当然、外部へ連絡など取れるはずもなく、この時代において全く孤立無援ともいえる状況だった。
考えてみれば、大会運営側が参加者に対して、外部との連絡手段を与えるわけがない。こんな非人道的な大会をやっているような連中である。
「そろそろ始めようか、美奈」
洋子が、静かに告げる。その手には刀ーおそらくは擬体と同じ素材でできたものだろうーが握られていた。
「ええ、始めましょう」
対する美奈の両手にはチャクラムがあった。こちらも、擬体化の際に作られたものだろう。
二人がお互いの武器を構え、相対する。お互いの首をかけた殺し合いは、今まさに幕を開けようとしていたー。
己の秘所に舌を入れられ、嘗め回され、美奈は鼻にかかった声で洋子の名を呼び続けた。
美奈は、たまらず洋子の頭に両手を押しつける。彼女を翻弄する舌の動きに耐えられず、何とか洋子を引きはがそうとする美奈だったが、洋子も洋子で、それに抵抗するかのように美奈の中を舐め続けた。
「んんん・・・」
洋子の白く、細く、美し首ーその喉が、何かを飲み干すかのように妖しく蠢く。洋子は目を閉じ、一心不乱な様子で、ただひたすら美奈を翻弄していたーまるで、これ以上思い残すことがないように、美奈の中をしゃぶりつくさんと言うばかりだった。
「・・・!!洋子!」
さすがに、これ以上は「自分が壊れてしまう」と言わんばかりに、洋子が無理やり洋子を押さえつけ、顔を引きはがさせた。全身に浮かぶ珠のような汗が、御社殿の床にぽたりと落ちる。
「・・・やりすぎよ」
頬を紅潮させ、未だに半分夢心地といった感じの目つきで、洋子の顔を見つめる。対する洋子も、まるで猫のように舌をペロッと出したまま、美奈に相対した。
「・・・これで最後かもしれないじゃん・・・いや、どっちかは確実に最後だろ?なら、気が済むまでやりたかったんだ」
洋子もまた、額に汗を滲ませていた。やがて、その汗が顔の表面を伝い、小顔な洋子の尖った顎の先端から、ゆっくりと床へ滴り落ちる。
その後、二人は見つめ合い、しばしの間御社殿内に静寂が蘇っていた。
「・・・本当はさ、戦いたくなんてないんだよね・・・あたしとしては。でも、それじゃあ美奈も連帯責任で火刑か水責めになっちゃうかもしれない」
「あたしだって、本当は殺し合いなんてしたくはない・・・でも、逃げられないんだよね、ここから・・・」
二人のささやかな願いーそれすらも叶えられない現実ーどこにも逃げ道はなく、愛し合わせておいてから、その後残酷に殺し合いをさせる。敗れた方は、その首を捧げることになる。
それは、身も心も結ばれたとしても、結局最後に待ち受けるのは「別離」の道だった。
「・・・正直、あたしは、こんなバカげた大会を開催した奴らを許せない・・・それこそ本気で殺してやりたいと思ってる」
洋子が、その瞳に静かな怒りをたたえ、低い声音で呟いた。
「それは、あたしも同じだよ」
美奈も同意見だった。
一度自分たちは「死亡」した身である。その上で、なぜここまで弄ばれなくてはならないのか。
お互いの体を許し合った相手と、今度は殺し合いをさせ、負けた方の首を刎ねさせるーこの仕打ちを考えた連中にできることなら一矢報いてやりたかった。
ーー自分たちに、もっと力があればよかったのにーー
抗えぬ悔しさは、おそらくは大会参加者共通の想いなのかもしれない。ただ、それを確認できる相手は、今は目の前の美奈しかいなかった。
「なあ、美奈」
「何、洋子?」
ふいに洋子が美奈の唇を奪うー今度は、軽く表面に接触するくらいに留めてはいた。
「あたしは勝負ごとには手を抜けないタチなんだ・・・あの連中の掌の上で踊らされているのは頭に来るけど、やる時はやる。手は一切抜かない」
洋子の瞳には強い意志の光が宿っていた。それは、例え相手が誰であろうとも、揺らぐことなく決然としてそこにあり続けるだろう。
「恨みっこなしだ・・・あたしは、全力でアンタとやり合う。あたしが勝ったら、即座にアンタの首を刎ねる。もちろんあたしが負けたら、遠慮なくあたしの首を飛ばしてくれ。勝っても負けても、もはや後悔はない」
「・・・それはあたしのセリフね・・・先にとられた気分だわ。あたしも、全力でアンタと戦うつもり・・・手加減は一切しないよ」
「それでいい」
その時、二人の体に淡い光の粒子のようなものが、纏わりついていた。
「・・・これが擬体か」
実際に、視認しているというよりも、体がそれを実感しているといった方が正しいのかもしれなかった。
「・・・ついに、戦わなければならない時が来たようね」
美奈も、その時が来たことを実感したらしい。覚悟を決めたかのように、顔を上げ、洋子に強い視線を向ける。
「もう、逃げられないわ・・・洋子、始めましょう・・・アンタとの、最初にして最後の勝負を」
「・・・ああ、そうしよう」
擬体を纏った二人は、既に自分たちが戦いの場に身を置いていて、もはや逃げ場所などないことを痛感していた。お互い、改めて制服を身に着け、御社殿から外へと出る。
太陽の位置から考えて、ちょうど正午辺りだろうか。参加者には時計やスマホなど、時間を確認したり通信するための手段となる利器は一切与えられていない。当然、外部へ連絡など取れるはずもなく、この時代において全く孤立無援ともいえる状況だった。
考えてみれば、大会運営側が参加者に対して、外部との連絡手段を与えるわけがない。こんな非人道的な大会をやっているような連中である。
「そろそろ始めようか、美奈」
洋子が、静かに告げる。その手には刀ーおそらくは擬体と同じ素材でできたものだろうーが握られていた。
「ええ、始めましょう」
対する美奈の両手にはチャクラムがあった。こちらも、擬体化の際に作られたものだろう。
二人がお互いの武器を構え、相対する。お互いの首をかけた殺し合いは、今まさに幕を開けようとしていたー。
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