テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

ミケとポン太

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日向荘にて(第29話)

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 数時間後ー。

 憤ドラゴラの酔いが覚めた。そして、自分が今置かれた状況を確認してみる。

 いや、確認しようとして、全く身動きが取れない状態に陥っていることに気が付いたのだった。

「・・・おおう!?」

 憤ドラゴラは、自分が縄でさっき以上に拘束されて、文字通り手も足も出ないということを認識した。

「ようやくお目ざめのようだねぇ、憤ドラゴラ君」

 そして、目の前には椅子の背もたれに寄りかかるようにしてこちらを見つめてくる早苗と、その傍らでやはり困ったような笑みを浮かべながら自分に視線を向ける杏里の姿があった。

「さあ、楽しい楽しい質問タイムの時間だよ、憤ドラゴラ君・・・!」

 ここは、日向荘の地下にある部屋で、普段は物置代わりに活用している場所である。そして、今この部屋には、もう使われなくなって久しい木の机と、椅子が用意されており、さながら拘置所の取調室の様相を呈していたのだった。

「私たちが目を離している隙に、君が誰と出会い、どうしてこうなったのか、詳しく聞かせてもらおうかな?」

 口調こそ間延びしているものの、早苗の目は爛々と輝き、なんだか危険な雰囲気が漂っている。

「む、扇女・・・これであっしを拘束できたと思っているでやんすか!?だとしたら、その考えは甘いでやんすよ!!」

 言うが早いか、憤ドラゴラは自分を縛り付けている縄を振りほどこうと、全身に力を入れ始めたーが。

「むむむ・・・」

 憤ドラゴラが、いくら気合を入れても拘束から脱出することはかなわなかった。そして、そんな彼を半ば面白がって早苗が観察しているー。

「それは、そう簡単には脱出できない作りになっているからねぇ~。憤ドラゴラ君、どうやら君の年貢の納め時のようだよ」

 憤ドラゴラは、まだ諦めてはいないようだーが、早苗の言う通り、彼がいくら力んだとしても縄から逃れることはできなかった。

「どういうことでやんすか!?あの庭石でさえ粉砕したこのパワーで、なぜ縄を引きちぎることができないでやんす!?」

 憤ドラゴラがいよいよ焦り出すが、結果は変わらない。まさに無駄な抵抗だったー。
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