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日向荘にて(第6話)
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一方、早苗と杏里の組の方はー。
「そうだねえ、杏里ちゃんはヒーラーだから、どちらかと言えば相手に直接触れる形で能力を使うのが得意だよね」
「そうですね・・・私の場合、攻撃系の能力はありませんから、どうしても支援型でしかも相手に接触しなければ発動が難しいですね」
早苗による杏里の能力開発が始まっていた。その目的は、杏里の治癒能力を遠距離でも発動できるようにすることーである。
「回復系の能力を遠距離に飛ばすことができるようになれば、後方支援の範囲はかなり広がるよ・・・私は治癒系の能力は使えないけど、能力の飛ばし方くらいなら教えてあげられるよ」
「お願いします、早苗さん」
治癒術を離れた相手に飛ばせるようになれば、いつでもカイトの支援に回ることもできる。
杏里にお願いされ、早苗も訓練を開始する。早苗は、自身の鉄扇を前方に突き出すように構えると、
「まずは、私のやり方を見ててね。さっきも言った通り、私は治癒系の能力は使えないけど、能力そのものを遠距離に飛ばすという点では同じはずだから」
「はい」
早苗の鉄扇に魔力が宿り始める。それは、蝶の姿を形成し、鉄扇の周りを優雅に飛び回り始めた。
「杏里ちゃん、ちょうちょは見えてる?」
早苗が確認してくる。早苗の能力は、魔力の素質が低いものには視認することさえできないからだ。おそらく、杏里なら十分その姿を捉えることができているとは思うがー。
「大丈夫です、早苗さん・・・綺麗な・・・アゲハ蝶?・・・ですよね」
杏里の答えに、早苗が破顔した。
「その通り~名付けてスワローテイルだよ・・・綺麗でしょう?」
「ええ」
鉄扇の周りを飛び回る光り輝くアゲハ蝶を見つめ、杏里がうっとりしている。
「私の能力は、魔力の素質が低い人たちには見えないんだよ。その点、杏里ちゃんは大丈夫そうだねえ」
早苗は、自身が生み出したアゲハ蝶に意識を集中させながら、
「それじゃあ、このちょうちょを今からあの木まで飛ばしてみるよ・・・いい、杏里ちゃん。よおく、見ててね」
「わかりました、早苗さん」
それまで鉄扇の周りを優雅に飛び回っていたアゲハ蝶が、今度は木の方へと向きを変えた。
「それじゃあ、いくよお」
なんとも間延びした声の早苗だったが、顔は真剣である。一方の杏里も、絶対に見逃すまいと、アゲハ蝶へと意識を集中させた。
「やあ!!」
やはり間延びした声ではあったが、早苗の気合とともに、アゲハ蝶は高スピードで木の的へと直進していく。アゲハ蝶とは言っても、やはり魔力の塊だ。それは、生物の形をした弾丸にも等しかったー。
「そうだねえ、杏里ちゃんはヒーラーだから、どちらかと言えば相手に直接触れる形で能力を使うのが得意だよね」
「そうですね・・・私の場合、攻撃系の能力はありませんから、どうしても支援型でしかも相手に接触しなければ発動が難しいですね」
早苗による杏里の能力開発が始まっていた。その目的は、杏里の治癒能力を遠距離でも発動できるようにすることーである。
「回復系の能力を遠距離に飛ばすことができるようになれば、後方支援の範囲はかなり広がるよ・・・私は治癒系の能力は使えないけど、能力の飛ばし方くらいなら教えてあげられるよ」
「お願いします、早苗さん」
治癒術を離れた相手に飛ばせるようになれば、いつでもカイトの支援に回ることもできる。
杏里にお願いされ、早苗も訓練を開始する。早苗は、自身の鉄扇を前方に突き出すように構えると、
「まずは、私のやり方を見ててね。さっきも言った通り、私は治癒系の能力は使えないけど、能力そのものを遠距離に飛ばすという点では同じはずだから」
「はい」
早苗の鉄扇に魔力が宿り始める。それは、蝶の姿を形成し、鉄扇の周りを優雅に飛び回り始めた。
「杏里ちゃん、ちょうちょは見えてる?」
早苗が確認してくる。早苗の能力は、魔力の素質が低いものには視認することさえできないからだ。おそらく、杏里なら十分その姿を捉えることができているとは思うがー。
「大丈夫です、早苗さん・・・綺麗な・・・アゲハ蝶?・・・ですよね」
杏里の答えに、早苗が破顔した。
「その通り~名付けてスワローテイルだよ・・・綺麗でしょう?」
「ええ」
鉄扇の周りを飛び回る光り輝くアゲハ蝶を見つめ、杏里がうっとりしている。
「私の能力は、魔力の素質が低い人たちには見えないんだよ。その点、杏里ちゃんは大丈夫そうだねえ」
早苗は、自身が生み出したアゲハ蝶に意識を集中させながら、
「それじゃあ、このちょうちょを今からあの木まで飛ばしてみるよ・・・いい、杏里ちゃん。よおく、見ててね」
「わかりました、早苗さん」
それまで鉄扇の周りを優雅に飛び回っていたアゲハ蝶が、今度は木の方へと向きを変えた。
「それじゃあ、いくよお」
なんとも間延びした声の早苗だったが、顔は真剣である。一方の杏里も、絶対に見逃すまいと、アゲハ蝶へと意識を集中させた。
「やあ!!」
やはり間延びした声ではあったが、早苗の気合とともに、アゲハ蝶は高スピードで木の的へと直進していく。アゲハ蝶とは言っても、やはり魔力の塊だ。それは、生物の形をした弾丸にも等しかったー。
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