423 / 464
咲那と鏡香(第11話)
しおりを挟む
焦る気持ちを落ち着けるため、蒼穹の空へと視線を向けていた咲那と鏡香ー。
ふと、その視線の先に、何やら黒い点のようなものが見えた。
「・・・あれは・・・」
「はぐれ害蟲、といったところでしょうか」
遥か彼方の黒い点ーそれは、害蟲の個体だった。
「発している魔力の波動から察するに、大体B級クラス・・・といったところでしょうか」
鏡香が、こちらに向かってくる害蟲の個体を注視しながら、その強さを推し量った。
「ちょうどいいじゃねえか、あの低級女神と言い、マッパ生活と言い、もううんざりしてたところなんだ」
咲那が、こちらに突っ込んで来る害蟲を睨みつけながら、しかしどこか楽しそうに口角を釣り上げて、エクセリオンを構えた。
「憂さ晴らしにはうってつけってところだな・・・鏡香、こいつはあたし一人で十分だ」
「そうですね・・・ここは咲那さんにお任せしようかしら」
鏡香は、穏やかな笑みを浮かべつつ、しかし目元だけは涼やかな様子で咲那に応じた。
このレベルの相手ならば、チームマスターの鏡香自身が出向くまでもないーそれに、咲那もここ2日間は色々あってストレスが溜まっているようだし、確かに「憂さ晴らし」も必要だろう。
「この発着場に何らかの被害があれば、それだけで船が出るのが遅れちまうからな・・・手っ取り早くけりをつけるぞ!」
害蟲が次第にこちらに接近してくる。まるでトンボのような透明な翅と竜によく似た頭部をもつ害蟲だった。B級クラスとは言え、実際にはC級に近いレベルだろう。亜人種型とは比べるべくもない相手だった。
彼我の実力差もわからないのか、そのままの勢いで咲那と鏡香めがけて突っ込んで来る害蟲。それを・・・咲那が迎え撃つ!
「消えやがれ、虫けら風情が!!」
ーー
咲那と害蟲との戦いが始まった。さすがに、この浮遊小島で依頼で倒した個体よりは手ごわそうだが、今の咲那にとっては敵ではなかった。
「がぁぁ!!」
害蟲が、口から火球を吐き出してくる。それを、咲那のエクセリオンが切り裂いた。
「こんなチンケな火花じゃあ、あたしらに傷一つ付けられねえぜ」
自分の攻撃が無効化されたことに怒りを感じたのか、害蟲は耳障りな雄叫びを上げながら、でたらめに火球を吐き散らした。複数の火球が、発着場の地面に向けて放たれる。
「おおっと、いけねえ!!」
咲那が、エクセリオンに風属性の魔法を纏わせる。そして、エクセリオンを横なぎにして一度に複数の火球をかき消した。
「ここ壊されると、船に影響が出るんだよな・・・手間はかけられねえ、一気に行くぞ!!」
弱い個体とは言え、攻撃は本物ー当然ながら、発着場に被害が出れば、次の便に遅れが生じてモリガンの待つ浮遊大陸まで行けなくなってしまう。
咲那が害蟲めがけて疾走する。このまま一気に害蟲を一刀両断にするつもりだった。
だがー。
害蟲が透明な翅を激しく震わせた。
「!!」
「・・・かまいたち・・・ですね」
咲那が火球を竜巻で消し去ったのを見てか、害蟲の方もかまいたちで反撃をしてきたのだ。
「あぶねえ!!」
放たれたかまいたちは、発着場のアスファルトの表面を削り取っていた。穿たれた跡を見ても、決して侮れない威力があることがわかる。人間がまともに食らえばひとたまりもない。
「この野郎・・・やるじゃねえか」
咲那が、さも面白そうだといった表情で、害蟲を睨んだー。
ふと、その視線の先に、何やら黒い点のようなものが見えた。
「・・・あれは・・・」
「はぐれ害蟲、といったところでしょうか」
遥か彼方の黒い点ーそれは、害蟲の個体だった。
「発している魔力の波動から察するに、大体B級クラス・・・といったところでしょうか」
鏡香が、こちらに向かってくる害蟲の個体を注視しながら、その強さを推し量った。
「ちょうどいいじゃねえか、あの低級女神と言い、マッパ生活と言い、もううんざりしてたところなんだ」
咲那が、こちらに突っ込んで来る害蟲を睨みつけながら、しかしどこか楽しそうに口角を釣り上げて、エクセリオンを構えた。
「憂さ晴らしにはうってつけってところだな・・・鏡香、こいつはあたし一人で十分だ」
「そうですね・・・ここは咲那さんにお任せしようかしら」
鏡香は、穏やかな笑みを浮かべつつ、しかし目元だけは涼やかな様子で咲那に応じた。
このレベルの相手ならば、チームマスターの鏡香自身が出向くまでもないーそれに、咲那もここ2日間は色々あってストレスが溜まっているようだし、確かに「憂さ晴らし」も必要だろう。
「この発着場に何らかの被害があれば、それだけで船が出るのが遅れちまうからな・・・手っ取り早くけりをつけるぞ!」
害蟲が次第にこちらに接近してくる。まるでトンボのような透明な翅と竜によく似た頭部をもつ害蟲だった。B級クラスとは言え、実際にはC級に近いレベルだろう。亜人種型とは比べるべくもない相手だった。
彼我の実力差もわからないのか、そのままの勢いで咲那と鏡香めがけて突っ込んで来る害蟲。それを・・・咲那が迎え撃つ!
「消えやがれ、虫けら風情が!!」
ーー
咲那と害蟲との戦いが始まった。さすがに、この浮遊小島で依頼で倒した個体よりは手ごわそうだが、今の咲那にとっては敵ではなかった。
「がぁぁ!!」
害蟲が、口から火球を吐き出してくる。それを、咲那のエクセリオンが切り裂いた。
「こんなチンケな火花じゃあ、あたしらに傷一つ付けられねえぜ」
自分の攻撃が無効化されたことに怒りを感じたのか、害蟲は耳障りな雄叫びを上げながら、でたらめに火球を吐き散らした。複数の火球が、発着場の地面に向けて放たれる。
「おおっと、いけねえ!!」
咲那が、エクセリオンに風属性の魔法を纏わせる。そして、エクセリオンを横なぎにして一度に複数の火球をかき消した。
「ここ壊されると、船に影響が出るんだよな・・・手間はかけられねえ、一気に行くぞ!!」
弱い個体とは言え、攻撃は本物ー当然ながら、発着場に被害が出れば、次の便に遅れが生じてモリガンの待つ浮遊大陸まで行けなくなってしまう。
咲那が害蟲めがけて疾走する。このまま一気に害蟲を一刀両断にするつもりだった。
だがー。
害蟲が透明な翅を激しく震わせた。
「!!」
「・・・かまいたち・・・ですね」
咲那が火球を竜巻で消し去ったのを見てか、害蟲の方もかまいたちで反撃をしてきたのだ。
「あぶねえ!!」
放たれたかまいたちは、発着場のアスファルトの表面を削り取っていた。穿たれた跡を見ても、決して侮れない威力があることがわかる。人間がまともに食らえばひとたまりもない。
「この野郎・・・やるじゃねえか」
咲那が、さも面白そうだといった表情で、害蟲を睨んだー。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スーパー忍者・タカシの大冒険
Selfish
ファンタジー
時は現代。ある日、タカシはいつものように学校から帰る途中、目に見えない奇妙な光に包まれた。そして、彼の手の中に一通の封筒が現れる。それは、赤い文字で「スーパー忍者・タカシ様へ」と書かれたものだった。タカシはその手紙を開けると、そこに書かれた内容はこうだった。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる