テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

ミケとポン太

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咲那と鏡香(第3話)

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 モリガンのいる惑星Σ-11に急がなくてはならないー。

 とはいえ、その浮遊大陸に向かうための定期便が出るにはまだ時間があるし、何より、今回咲那に害蟲退治を依頼してくれたこの町の人々にその報告と心配をかけたことの詫びをしなければならないー。

「いえいえ、薬師寺さんがご無事で何よりでしたよ・・・」

 依頼主の男性に事情を説明し(もちろん、ほぼ全裸で森の中を逃げ回っていたこと自体は伏せたが)、ついでに心配をかけたことも謝罪して、その場を後にする咲那と鏡香。

「それにしても、あの依頼主さんはとってもいい方ですね。ここまで心配していただくなんて」

「まったくだ・・・まあ、あたしがマッパでなかったら素直に感謝するんだが・・・」

 頭をぼりぼりとかき、バツが悪そうな表情を浮かべながら、咲那が応えた。そんな咲那の様子にクスリと笑う鏡香。

「まあ、今回のはあたしの油断が招いたことだからな・・・自業自得と言えばその通りだし、猛省するわ」

 咲那と鏡香は、肩を並べて道路わきの歩道を歩く。

 もとよりあまり大きくない浮遊島なだけに、そこにある町も小規模なものだった。町というよりも、むしろ村といった方が適切ではないかと思えるくらいだった。それゆえに、住人達はそのほとんどが家族ぐるみの付き合いとなるので、この町の住人達も穏やかで親切な人柄の者ばかりになるのだろう。あの依頼主の誠実そうな人柄が、それを如実に表していた。

「あの害蟲自体はそんなに強くはなかったんだけどな・・・逆に足元をすくわれたって感じだよ」

「相手がどうであれ、最後まで気を抜けないのが害蟲駆除ですからね・・・私も気をつけないといけませんね」

 今回の咲那の一件を反面教師にする鏡香。

「お前なら、そんなポカはやらかさねえさ」

 何事も大雑把な自分とは異なり、さすがにチームマスターを名乗る鏡香なら、こんなへまはするまい。

「それよりも鏡香・・・惑星Σ-11行の便は、まだなんだろ?」

 鏡香はちらっと生体端末に表示された時刻を確認しながら、

「そうですね・・・あと3時間半くらいは待たなければならないようですね」

「かああぁぁ~、そんなに待たされるのかよ!・・・じれったいな、マジで」

 もともと、待つことが嫌いな性分の咲那である。そんな彼女の性格をわかっている鏡香は、薄く微笑みながら、

「焦っても仕方がありませんよ・・・それに、仮に惑星Σ-11にたどり着いたとしても、すぐにモリガンちゃんと合流できるかはわかりませんし」

「・・・それもそうだな」

 鏡香に諭され、何とはなしに道路の上から昨日まで逃げ回っていた森に目をやる咲那。昨日までマッパでこん中を走り回ってたなんてな・・・などと感慨にふける。

「・・・あれは・・・あいつ!!」

 その時、彼女の目に、あのヴァルキリーの姿が映ったー。
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