テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

ミケとポン太

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黒羽一人旅(第4話)

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「・・・ここからゼルキンス村は、そんなに遠くはありませんね」

 モリガンの姿を確認しに行くため、一路ゼルキンス村を目指すことにした黒羽ー。

「まあ急ぐ必要もなさそうなので、徒歩で行くことにしましょうか」

 夜の闇にまぎれつつ、黒羽は森の入口へと戻る。ここは、メリル、アメリアへと姿を変えたモリガンと楓が、アサギと対面した場所でもあった。

「・・・アサギは、まんまと騙されたわけですか」

 アサギは、特に二人を疑うわけでもなく、そのまま自身の飛空鎧のもとへ戻ったようだ。

「先ほど戦って、すぐにまたアサギと再会・・・なんていうのはさすがに避けるべきですね」

 アサギは、しばらくはこの辺りには戻らないだろう。

 浮遊大陸の夜は、星明りと月明かりが地上よりも近いこともあってか、思ったほど暗いというわけでもない。むしろ、より深い闇を感じさせるのは、黒羽自身が纏っているローブの方だろう。

 邪術師として生を受けた彼女は、その身に宿る瘴気のため、魔力耐性のある者以外とは行動できない。本人自身も抑えることのできない瘴気の流出が、耐性のないものの命を縮めてしまうのだ。この辺りも、東方では邪術師が有無を言わさず殺害されてしまう理由の一つとなっている。

 したがって、黒羽は、その瘴気が周囲へ流出するのを抑えるべく、特殊な魔力繊維で編まれたこのローブを着込むことにしている。これで、耐性のないものが近くによっても、その影響が出ることはほとんどない。

 ただ、それでもなるべく人とは距離を取るようにしている。普段、人のいい場所でフードを目深にかぶるのも欠かしたことはなかった。人との接触は可能な限り避けるようにしていたのだ。

「彼女なら・・・あのモリガンという魔女なら、私の話し相手になってくれますかね」

 ため息交じりに呟きながら、黒羽はゆっくりとゼルキンス村を目指すことにしたー。
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