397 / 464
続・モリガン一人旅(第29話)
しおりを挟む
本当に、今の姿のモリガンが10年後の彼女のものになるのか・・・そんなことをぼんやりと考えながら、楓は改めてモリガン(今はメリル)を見つめる。
ロングの金髪は、まあ、本当の姿のモリガンのツインテールを解き、10年くらい髪を伸ばせばそれらしくは見えるだろう。顔立ちも、あの「聖女のような魔女」ことエレオノーラの娘だけあって、元から素材はよく、10年後は美人にはなるだろう。
・・・だが、問題は体型である。
「・・・絶対、こいつ自身の願望が反映しているよな、この変装魔法」
モリガンと同じチームの薬師寺咲那や和泉鏡香は、それはそれは恵まれた体形の持ち主で、モリガンが以前から、「この二人こそわしの目標なのじゃ!」と盛んに息巻いていたのを思い出す。楓自身は、咲那や鏡香とは面識はないが、モリガンからたびたびこの二人の動画を見せられていた。
「まあ、あと10年せいぜい頑張ってくれ・・・」
半眼になりながら、一人ガッツポーズを決めているモリガンを見つめた。10年後、今のメリルの姿が本当に再現できているのかどうか、楽しみやら怖いやらである。
「それはそうと・・・どうして私はこんな姿なんだよ、モリガン」
髪をアップにしてのポニーテール、そして眼鏡に研究員のような白衣姿ーなんか、モリガンが著しく勘違いしている部分があり、それがそのまま変装魔法に反映しているように思えたのだが・・・。
「仕方がないじゃろ、お主に合うような姿が簡単には思いつかんかったので、わしのイメージにある「研究者」とやらを投影してみたのじゃよ。似合っとると思うのじゃが?」
これで似合っているとか言われても、正直喜んでいいのかよくわからない楓であった。
「まあいいや・・・この姿のことはとりあえず置いておくとして・・・モリガン、これからどうするんだ?」
楓は、周囲の様子を見まわしてみた。ほとんどアトリエに引きこもり状態に近かった楓は、そういえば、森の外はこんな感じだったかなと今更ながらに思い出す。
浮遊大陸は、天空世界にあるため、空気は地上よりも薄いはずだが、各大陸の環境管理局が、人々の暮らしやすい酸素濃度までコントロールして引き上げているため、そうそう酸欠状態になることはなかった。地上と同じとまではいかないが、それでも深呼吸すれば新鮮な空気が肺を満たしていく。
「まあ、たまにはシャバの空気を吸うのも悪くないよな」
楓が独り言ちる。楓の独り言を、モリガンが唇の端を釣り上げながら、
「アトリエが直るまでは、シャバの空気は吸い放題じゃぞ・・・」
「それはそれで勘弁してくれ・・・」
楓が、思い出したくなかったことを思い出してしまったといった雰囲気で頭を抑えた。
「安心せい、この一件が片付いたら、すぐさま復元魔法で可能な限り修復してやるからのう・・・それよりも、これからのことじゃが」
モリガンは、掌の上に使い魔を生み出し、
「アサギのことは、こやつに尾行させておこう・・・あとは、この近くならゼルキンス村辺りに身を隠そうかと思っておる」
モリガンが今後の予定について説明したー。
ロングの金髪は、まあ、本当の姿のモリガンのツインテールを解き、10年くらい髪を伸ばせばそれらしくは見えるだろう。顔立ちも、あの「聖女のような魔女」ことエレオノーラの娘だけあって、元から素材はよく、10年後は美人にはなるだろう。
・・・だが、問題は体型である。
「・・・絶対、こいつ自身の願望が反映しているよな、この変装魔法」
モリガンと同じチームの薬師寺咲那や和泉鏡香は、それはそれは恵まれた体形の持ち主で、モリガンが以前から、「この二人こそわしの目標なのじゃ!」と盛んに息巻いていたのを思い出す。楓自身は、咲那や鏡香とは面識はないが、モリガンからたびたびこの二人の動画を見せられていた。
「まあ、あと10年せいぜい頑張ってくれ・・・」
半眼になりながら、一人ガッツポーズを決めているモリガンを見つめた。10年後、今のメリルの姿が本当に再現できているのかどうか、楽しみやら怖いやらである。
「それはそうと・・・どうして私はこんな姿なんだよ、モリガン」
髪をアップにしてのポニーテール、そして眼鏡に研究員のような白衣姿ーなんか、モリガンが著しく勘違いしている部分があり、それがそのまま変装魔法に反映しているように思えたのだが・・・。
「仕方がないじゃろ、お主に合うような姿が簡単には思いつかんかったので、わしのイメージにある「研究者」とやらを投影してみたのじゃよ。似合っとると思うのじゃが?」
これで似合っているとか言われても、正直喜んでいいのかよくわからない楓であった。
「まあいいや・・・この姿のことはとりあえず置いておくとして・・・モリガン、これからどうするんだ?」
楓は、周囲の様子を見まわしてみた。ほとんどアトリエに引きこもり状態に近かった楓は、そういえば、森の外はこんな感じだったかなと今更ながらに思い出す。
浮遊大陸は、天空世界にあるため、空気は地上よりも薄いはずだが、各大陸の環境管理局が、人々の暮らしやすい酸素濃度までコントロールして引き上げているため、そうそう酸欠状態になることはなかった。地上と同じとまではいかないが、それでも深呼吸すれば新鮮な空気が肺を満たしていく。
「まあ、たまにはシャバの空気を吸うのも悪くないよな」
楓が独り言ちる。楓の独り言を、モリガンが唇の端を釣り上げながら、
「アトリエが直るまでは、シャバの空気は吸い放題じゃぞ・・・」
「それはそれで勘弁してくれ・・・」
楓が、思い出したくなかったことを思い出してしまったといった雰囲気で頭を抑えた。
「安心せい、この一件が片付いたら、すぐさま復元魔法で可能な限り修復してやるからのう・・・それよりも、これからのことじゃが」
モリガンは、掌の上に使い魔を生み出し、
「アサギのことは、こやつに尾行させておこう・・・あとは、この近くならゼルキンス村辺りに身を隠そうかと思っておる」
モリガンが今後の予定について説明したー。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
追い出された万能職に新しい人生が始まりました
東堂大稀(旧:To-do)
ファンタジー
「お前、クビな」
その一言で『万能職』の青年ロアは勇者パーティーから追い出された。
『万能職』は冒険者の最底辺職だ。
冒険者ギルドの区分では『万能職』と耳触りのいい呼び方をされているが、めったにそんな呼び方をしてもらえない職業だった。
『雑用係』『運び屋』『なんでも屋』『小間使い』『見習い』。
口汚い者たちなど『寄生虫」と呼んだり、あえて『万能様』と皮肉を効かせて呼んでいた。
要するにパーティーの戦闘以外の仕事をなんでもこなす、雑用専門の最下級職だった。
その底辺職を7年も勤めた彼は、追い出されたことによって新しい人生を始める……。
【完結】元婚約者であって家族ではありません。もう赤の他人なんですよ?
つくも茄子
ファンタジー
私、ヘスティア・スタンリー公爵令嬢は今日長年の婚約者であったヴィラン・ヤルコポル伯爵子息と婚約解消をいたしました。理由?相手の不貞行為です。婿入りの分際で愛人を連れ込もうとしたのですから当然です。幼馴染で家族同然だった相手に裏切られてショックだというのに相手は斜め上の思考回路。は!?自分が次期公爵?何の冗談です?家から出て行かない?ここは私の家です!貴男はもう赤の他人なんです!
文句があるなら法廷で決着をつけようではありませんか!
結果は当然、公爵家の圧勝。ヤルコポル伯爵家は御家断絶で一家離散。主犯のヴィランは怪しい研究施設でモルモットとしいて短い生涯を終える……はずでした。なのに何故か薬の副作用で強靭化してしまった。化け物のような『力』を手にしたヴィランは王都を襲い私達一家もそのまま儚く……にはならなかった。
目を覚ましたら幼い自分の姿が……。
何故か十二歳に巻き戻っていたのです。
最悪な未来を回避するためにヴィランとの婚約解消を!と拳を握りしめるものの婚約は継続。仕方なくヴィランの再教育を伯爵家に依頼する事に。
そこから新たな事実が出てくるのですが……本当に婚約は解消できるのでしょうか?
他サイトにも公開中。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
ゆとりある生活を異世界で
コロ
ファンタジー
とある世界の皇国
公爵家の長男坊は
少しばかりの異能を持っていて、それを不思議に思いながらも健やかに成長していた…
それなりに頑張って生きていた俺は48歳
なかなか楽しい人生だと満喫していたら
交通事故でアッサリ逝ってもた…orz
そんな俺を何気に興味を持って見ていた神様の一柱が
『楽しませてくれた礼をあげるよ』
とボーナスとして異世界でもう一つの人生を歩ませてくれる事に…
それもチートまでくれて♪
ありがたやありがたや
チート?強力なのがあります→使うとは言ってない
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
身体の状態(主に目)と相談しながら書くので遅筆になると思います
宜しくお付き合い下さい
異世界人生を楽しみたい そのためにも赤ん坊から努力する
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前は朝霧 雷斗(アサギリ ライト)
前世の記憶を持ったまま僕は別の世界に転生した
生まれてからすぐに両親の持っていた本を読み魔法があることを学ぶ
魔力は筋力と同じ、訓練をすれば上達する
ということで努力していくことにしました
【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~
川原源明
ファンタジー
秋津直人、85歳。
50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。
嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。
彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。
白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。
胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。
そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。
まずは最強の称号を得よう!
地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語
※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編
※医療現場の恋物語 馴れ初め編
社畜の俺の部屋にダンジョンの入り口が現れた!? ダンジョン配信で稼ぐのでブラック企業は辞めさせていただきます
さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。
冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。
底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。
そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。
部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。
ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。
『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる