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続・モリガン一人旅(第21話)

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「やつらが離れた!!今が狙い目じゃ」

「言われんでもわかっている!!」

 ガレスと白い影を見事に引きはがすことに成功し、このままの勢いで追い打ちをかけようとするモリガンとアサギー。

「闘気には魔法、魔法には闘気というわけですか。なるほど、考えましたね」

 相変わらず、余裕そうに見えるガレスだったが、それでも自分と白い影を無理やり引き離されたのは痛手だったのか、いささか口調が固くなっているように思えた。

「これでも食らえ!!」

 モリガンの魔法弾が、逃げ回ろうとする白い影を追尾していく。ホーミング機能を兼ね備えた魔法攻撃に、さしもの白い影も焦りが見え隠れしていた。

「それからはそう簡単には逃げられんぞ・・・これは敵意ある者の闘気に反応するようにわしが仕組んで老いた者じゃからな」

 モリガンの言う通り、魔法弾は、逃げ惑う白い影をどこまでも追跡していく。

 一方、アサギは、上空のガレスへと果敢に斬りかかっていた。

「よそ見などしている暇はないぞ!!」

 ガレス自身も、ひたすら特攻をかけるアサギに手を焼いていたようだった。

「この小娘どもが・・・」

 口調に忌々しさが感じられる。たかが小娘二人ごときに、不老の力を授かったこの私がここまで手古摺らされるなどとは、屈辱もいいところだ。

「先ほどまでの余裕はどうした、この道化めが!!」

 アサギは、人間離れした跳躍を繰り返しながら、ガレスの放つ魔法弾を闘気の刀で切り裂いていく。魔法と闘気、ベクトルは異なるため、純粋にスカラー量の勝負となる。そして、いともたやすくガレスの魔法弾を切り裂いていくアサギの闘気量は、明らかにガレスの魔力量を上回っていることを意味していた。

「く、このままでは・・・」

 自身の矜持を傷つけられ、いささか冷静さを欠いていたガレスだったが、劣勢になり、これ以上は矜持だけではどうにもならないことに気が付いた。

「やむを得ない・・・ここは、一旦退くか」

「逃げるつもりか!」

 さらに上空へと逃れようとするガレスに、闘気の刃の衝撃波をお見舞いするアサギ。ギリギリのタイミングでそれを開始したガレスは、

「同志よ、ここは一旦下がりますよ!」

 白い影へ向けて、撤退する旨を告げる。モリガンの攻撃から逃げ回っていた白い影は、突然振り返ると、

「・・・!!」

 全身から白い閃光を放った。一瞬だけだが、相手の視界を奪うには十分効果があった。

「・・・おのれ、姑息な真似を!!」

 スタングレネードと同じような効果の不意打ちに、思わず動きを停めてしまう二人。そして、彼女たちの視力が戻ってきたときには、もはやガレスと白い影の姿はなかったー。
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