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続・モリガン一人旅(第1話)
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「ふう~」
ここは惑星Σ-11の中に内包されている浮遊大陸の小さな森の中ー。
桐ケ谷楓のアトリエの中で、何とか無事にカイトと杏里を大樹まで転送し終えたモリガンが一息をついていた。
「や~れやれ、やっぱり転送魔法陣を使うのは一苦労じゃのう」
心底疲れた・・・といった感じで、今のソファにへたり込むモリガン。当たり前だが、高位の魔法を使うにはそれなりの精神力や持続力を必要とする。特に、転送魔法陣のように、移動先を細かく正確に決定しなければならない場合は、かなりの神経を使うことになるのだ。
「今日は、もうクタクタじゃ・・・楓よ、わしはここに泊っていくぞ」
紫の飛空鎧の追跡から二人を逃すため、今日一日で数日分の力を使い切ったといった表情のモリガン。正直、もう動きたくても動けない状態である。
「世話ならホルルがしてやるよ、モリガン」
「ホーホウ、お任せあれ」
「・・・って、お主は何もせんのかい!」
楓が、自分の興味のあることしかしないのは毎度のことである。
「まあええわ、ホルル。明日まで何とか頼むぞい」
「はい、モリガン様」
魔法フクロウ兼執事は、恭しい声でモリガンに応える。残念ながら、人間の執事と異なり首を垂れることはできないが、代わりにその片方の翼を広げて返事をする。魔法フクロウなりの会釈と言ったところだろうか・・・。
「さて・・・あの二人のことは鏡香たちに任せておけば大丈夫じゃろうが、問題はわしらじゃな・・・」
「あの紫のやつか」
紫の飛空鎧の乗り手は、カイトの追跡のため、もしかしたら、その過程でこの場所を発見し、訪れるやもしれない。もちろん、その際に何かを尋ねられたとしても、知らぬ存ぜぬで通すつもりではいるのだが。
「個人的には、どんな奴がその乗り手なのか気になるがな」
楓が、コーヒーカップを片手に窓の外に目を向けている。あまり外のことには関心がない楓でも、さすがにこの紫の乗り手に関してはある程度の興味があるようだった。
「前に聞きかじったくらいの話だと、そいつは東方のチームに所属している機体らしいが・・・」
「それに関しては間違いないじゃろうな・・・わしもついさっき生体端末で検索して確認したところじゃ」
モリガンは、自身の検索した内容を投影して見せた。
「東方のチーム燎原所属ー今の乗り手は二代目らしいが、詳しいことはあまり公開されておらん・・・まあそれも当たり前と言えば当たり前か」
「二代目・・・代替わりしてるってわけか」
「噂では、先代以上の使い手らしいぞよ・・・まあ正面切ってやり合っても勝ち目は薄いじゃろうな・・・別にやり合うつもりはこれっぽっちもないがのう」
楓は、いささか口角を釣り上げて、
「やり合ってみろよ、秋の領域最大の魔女殿。案外いいところまで食い下がれるかもしれんよ」
楓の冗談に、モリガンは片手を振りながら、
「馬鹿抜かせ、わしは確かに母エレオノーラより魔女の叡智を受け継いでおるが、だからと言って、戦うのが好きな狂戦士ではないわ」
軽く息をつき、腕を組みながら、
「命を懸けるほど切羽詰まった状況でもないわ、ったく」
尤も・・・と少し思案した後で、モリガンはこう続けた。
「相手が襲い掛かってくる場合は、「正当防衛」としてやり合うことはあるかもしれんがのう」
そう語るモリガンの口元に笑みが浮かんでいたー。
ここは惑星Σ-11の中に内包されている浮遊大陸の小さな森の中ー。
桐ケ谷楓のアトリエの中で、何とか無事にカイトと杏里を大樹まで転送し終えたモリガンが一息をついていた。
「や~れやれ、やっぱり転送魔法陣を使うのは一苦労じゃのう」
心底疲れた・・・といった感じで、今のソファにへたり込むモリガン。当たり前だが、高位の魔法を使うにはそれなりの精神力や持続力を必要とする。特に、転送魔法陣のように、移動先を細かく正確に決定しなければならない場合は、かなりの神経を使うことになるのだ。
「今日は、もうクタクタじゃ・・・楓よ、わしはここに泊っていくぞ」
紫の飛空鎧の追跡から二人を逃すため、今日一日で数日分の力を使い切ったといった表情のモリガン。正直、もう動きたくても動けない状態である。
「世話ならホルルがしてやるよ、モリガン」
「ホーホウ、お任せあれ」
「・・・って、お主は何もせんのかい!」
楓が、自分の興味のあることしかしないのは毎度のことである。
「まあええわ、ホルル。明日まで何とか頼むぞい」
「はい、モリガン様」
魔法フクロウ兼執事は、恭しい声でモリガンに応える。残念ながら、人間の執事と異なり首を垂れることはできないが、代わりにその片方の翼を広げて返事をする。魔法フクロウなりの会釈と言ったところだろうか・・・。
「さて・・・あの二人のことは鏡香たちに任せておけば大丈夫じゃろうが、問題はわしらじゃな・・・」
「あの紫のやつか」
紫の飛空鎧の乗り手は、カイトの追跡のため、もしかしたら、その過程でこの場所を発見し、訪れるやもしれない。もちろん、その際に何かを尋ねられたとしても、知らぬ存ぜぬで通すつもりではいるのだが。
「個人的には、どんな奴がその乗り手なのか気になるがな」
楓が、コーヒーカップを片手に窓の外に目を向けている。あまり外のことには関心がない楓でも、さすがにこの紫の乗り手に関してはある程度の興味があるようだった。
「前に聞きかじったくらいの話だと、そいつは東方のチームに所属している機体らしいが・・・」
「それに関しては間違いないじゃろうな・・・わしもついさっき生体端末で検索して確認したところじゃ」
モリガンは、自身の検索した内容を投影して見せた。
「東方のチーム燎原所属ー今の乗り手は二代目らしいが、詳しいことはあまり公開されておらん・・・まあそれも当たり前と言えば当たり前か」
「二代目・・・代替わりしてるってわけか」
「噂では、先代以上の使い手らしいぞよ・・・まあ正面切ってやり合っても勝ち目は薄いじゃろうな・・・別にやり合うつもりはこれっぽっちもないがのう」
楓は、いささか口角を釣り上げて、
「やり合ってみろよ、秋の領域最大の魔女殿。案外いいところまで食い下がれるかもしれんよ」
楓の冗談に、モリガンは片手を振りながら、
「馬鹿抜かせ、わしは確かに母エレオノーラより魔女の叡智を受け継いでおるが、だからと言って、戦うのが好きな狂戦士ではないわ」
軽く息をつき、腕を組みながら、
「命を懸けるほど切羽詰まった状況でもないわ、ったく」
尤も・・・と少し思案した後で、モリガンはこう続けた。
「相手が襲い掛かってくる場合は、「正当防衛」としてやり合うことはあるかもしれんがのう」
そう語るモリガンの口元に笑みが浮かんでいたー。
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