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我ら悠久王国なり(第9話)

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 大広間を出て、長い廊下を歩いているユリウスとイザベラー。

「久しぶりに外で暴れられるってのはいいねえ・・・なんかこう、何十年ぶりって感覚だよ・・・」

「言っておきますけど、今回の任務の目的は、魔女及び蟲生みの捜索と惑星Σ-11に入り込んだ各勢力の把握ですよ・・・戦いは、やむを得ない場合のみの話です」

「・・・ったく、まじめだなあ、イザベラは」

「あなたがいつまでたっても子供なだけですよ、ユリウス」

 他の面々は各自に割り当てられた部屋へと赴き、もう出立の準備をしている。当然、戦いも起こることを見越しての準備だった。

「まあでも、この調子では戦いは避けられそうにないのは確かですね」

 イザベラのルビーのような瞳が妖し気に輝く。ユリウスを窘めつつも、やはり自分も戦いが待ち遠しくて仕方がないのだろう。久々の「お祭り」に、胸を躍らせている様子が窺がえた。

「その魔女ってやつ、かなり強いんだろ?来栖さんが言ってたし・・・できれば、とっ捕まえる前にちょっとだけ味見をしてみたいなあ」

「魔女ばかりではないようですけどね・・・何せ、東方の者達も入り込んでいるようですし」

「生身でも飛空鎧戦でも、どちらでも僕はOKだよ・・・今から楽しみで仕方がないんだ」

 ユリウスもイザベラも、自前の飛空鎧は悠久王国レギューム・エタールヌムから提供されている。もちろん、オーダーメイドのものだ。二人の特性を生かした専用機となっている。

「外の世界での最強クラスの飛空鎧って、確か東方の紫の牙ズーツァオリャだっけ?あいつとは一度サシでやり合ってみたいなあ」

「それは・・・私も同感ですね。どのみち、あの大陸に潜んでいるというのなら、いずれは遭遇することになりそうですが」

 二人とも、悠久王国の中でもトップクラスの飛空鎧乗りである。自分たちの腕を試すことができそうな相手の話題になると話が弾むのも当然だ。

「よし、決めた!」

 ユリウスがイザベラの前に躍り出てVサインをする。この仕草だけ見れば、12歳相当の少年らしく見える。

「まず魔女をボコる」

「いや、だからそれは・・・」

「そのついでに紫のやつも探し出して、戦いを挑む!」

「・・・本当、あなたの頭の中はケンカのことばかりですね、ユリウス」

 イザベラが、呆れ顔で皮肉を言うのに対して、ユリウスは悠然として、

「戦いがなければ面白くないよ・・・久しぶりに外に出るんだしさ、出るからにはうんと楽しまないと」

 そして、同意を求めるかの如く(実際求めているのだが)、イザベラの顔を覗き込んだ。

「そうでしょ、イザベラ」

 それに対し、静かな微笑みを返すイザベラーそして、彼女もまた、ユリウスと同じ側の人間だったー。
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