テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

ミケとポン太

文字の大きさ
上 下
361 / 464

我ら悠久王国なり(第2話)

しおりを挟む
 魔法結界を越えた先ー。

「忍だ・・・入るぞ司」

 扉を開け、その中に入る。そこにはー。

 天蓋付きの大きなベッドがある豪奢な部屋ー偽りの王国とは言え、城なだけあって内部の作りは本もに勝るとも劣らない。部屋の作りだけでなく、中の調度品もかなりの値打ちのあるものばかりである。

 だが、部屋の中は薄暗く、窓から入り込む月光のみがこの部屋を照らしていた。

「よお、来たか、忍」

 そして、その部屋のベッドの上で待っていたのはー2人。いや、正確には「待っていた」のは今返事をした黒髪の青年だけで、もう一人の少年の方は、主へのの真っ最中だ。

「はああ・・・司さん・・・ボク、もっと欲しいです・・・」

 恍惚とした表情を浮かべ、ベッドの上で全裸で横たわる金髪碧眼の美少年ーまるで、前文明時代に描かれた宗教画からそのまま抜け出してきたかのように美しく、愛らしい少年は、自身の主である結城司に尻を向けている。年齢は・・・大体12~13くらいに見えるが、ここは何しろ悠久王国レギューム・エタールヌムである。主である結城司の手により、「不老」の力を授かった者が多数存在している。

 現在、主に肉体的な「奉仕活動」を行っているこの少年も、当然のことながら、その見た目通りの年齢ではない。

 この少年は、ユリウスと呼ばれているが、あまりに長い時を生きているため、それが本名なのかすら怪しいところだ。

 この部屋で裸体を晒しているのはこのユリウスだけで、司自身はズボンのジッパーを下げ、ユリウスの奉仕に報いているだけである。

 ー相変わらずご盛んなことだー。

 尤も、この部屋を訪れるたびに毎度のように見る光景なので、今更感じることなど何もないのだが。

「司・・・そろそろ我らが城で培養した蟲どももうるさくなってきた頃合だ。大樹だけでなく、他の地域にも蟲を送り込んでもいいだろう」

「それもそうだね・・・何せ、最近は外に対して干渉は控えていたからな・・・そろそろ派手な遊びがしたいと思っていた」

 この城の最下層エリアにある蟲の培養器ーここに、害蟲だけでなく益蟲の雛型が存在しており、それを彼らは自分たちの実験と戯れのために培養している。ただ、最近はあまり外で活動させていないためか、いささか増えすぎて処理に困っていたところだ。

 そろそろ、引きこもるのはやめて、外へと打って出ようかー。

 結城司は、少年の尻を両手で抱え込み、前へと体重をかける。当然、ユリウスはに、敏感に反応する。

「あうう・・・司さん、いいです、もっと!」

 鼻にかかった声を上げる美少年(外見だけは)を一瞬だけ冷ややかに見据えた忍だったが、すぐに主であり親友でもある司の方に向き直る。

「それで、害蟲を各地に送るにあたり、面白そうな駒となりそうな娘を見つけた」

「・・・ほう?」

「その娘は、蟲生みの魔女となる可能性を秘めている・・・ちょうど、あの空域に派遣した害蟲の一部が見つけてな・・・ただ、今はその浮遊大陸から離れたようだ」

「・・・見つける手立てはあるのかい、忍?」

 いささか挑戦的な目つきで、忍を見やる司ー。

「・・・その近辺で、転送魔法陣が使用された痕跡があるー使用者さえ特定できれば、そこからどこに転送されたかもある程度は掴めるだろう」

「それはまた・・・結構高度な術者が関わっているようだね・・・」

 司もこの悠久王国の支配者ー魔法のランクや性質などは全て把握しているといっても過言ではない。ゆえに、その転送魔法陣の使い手が、どれくらいの術者なのかもよくわかる。

「まあ、特定にはそんなに時間はかかるまい・・・引き続き捜索を続けるつもりだ」

「・・・ふふふ、忍・・・僕らにとっては、時間はあってもなくても変わりないものさ・・・そうだろ?」

 司が口の端を歪める。永遠なる者の特権として、有限の者どもを見下すかのような、そんな表情だった。

・・・忍」

 互いの名を気安く呼び合う仲の二人は、同じように不敵な笑みを浮かべた。

 その中で、ただ美しい少年の喘ぎ声だけが、部屋の中に響き渡るー。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

スーパー忍者・タカシの大冒険

Selfish
ファンタジー
時は現代。ある日、タカシはいつものように学校から帰る途中、目に見えない奇妙な光に包まれた。そして、彼の手の中に一通の封筒が現れる。それは、赤い文字で「スーパー忍者・タカシ様へ」と書かれたものだった。タカシはその手紙を開けると、そこに書かれた内容はこうだった。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

聖獣達に愛された子

颯希
ファンタジー
ある日、漆黒の森の前に子供が捨てられた。 普通の森ならばその子供は死ぬがその森は普通ではなかった。その森は..... 捨て子の生き様を描いています!! 興味を持った人はぜひ読んで見て下さい!!

処理中です...