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咲那・全裸の逃避行(第15話)

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「まさか、依頼人たちが直々にあたしを探しに来るなんて・・・」

 害蟲の反応がなくなったが、咲那自身が町に戻ってこないことを不審に思い、わざわざこの森まで探しに来てくれたのか・・・。

 さすがに、こんな恰好でなければ堂々と会うこともできるのだが、この恰好ではまずい!!

 というわけで、咲那はそのまま森の奥へと姿を隠すことにした。

「参ったな・・・しばらくの間は外に出られんぞ、これ」

 このまま捜索が続けば、いずれこの恰好のまま発見される可能性さえある。

「近くに、何とか身を隠しておけるような場所はないもんかな・・・」

 確か、この辺りには泉や小川といった水場の類はあるものの、それらしい場所は限られているはずだ。それこそ、「木を隠すなら森の中」みたいな感じである。

 つまりは、森の中でひたすら逃げ回るのが、一番現実的と言わざるを得ない状況だ。

「こりゃまた、別な意味で面倒なことになりそうだな・・・」

 頭をぼりぼりとかきながら、ぼやく咲那。もっとも、逃げ回ることには自身はあるのだが、何せこの恰好である。

「ほぼマッパの状態で森の中を走り回るってのは、さすがにいろいろな意味でやばいよな・・・」

 下着代わりの葉っぱしか身に着けていない状態では、あまり森の中を走り回るというのも危険だ。できれば、完全に他人の目に着かないような場所があれば、そこにじっと身を隠して何とかやり過ごすのだが・・・。

「・・・そういえば、この先に洞穴があったな」

 害蟲と戦う前に、場所の確認をしておいたが、泉よりも少し先に行った付近で、確かに小さな洞穴があったのを覚えている。そこなら、奥まで入り込めば、見つかることも無いだろう。

 ただ一方で、その洞穴を見つけられた場合は、もはや逃げ場はなくなってしまう・・・。

「・・・とりあえず、洞穴の周囲に身をひそめて、あいつらが来ないようだったら中で待機する・・・てのが一番いいか・・・」

 もし、彼らが洞穴の近くまで来た場合は、すぐさま他の場所へと逃げられるように、近くの木陰に身をひそめる。

「あいつらも、同じ場所を何度も探し回ったりはせんだろうしな・・・あいつらが洞穴付近から去って行ったら、中に入り込んでそのまま明日の朝までおとなしくしているか・・・」

 ただ、その間の食糧の問題がある。

「朝飯だけは取ったとは言え、昼夜なにも食わねえってのは、さすがにきついよな」

 彼らの捜索時間が、晩までなら、帰った後に洞穴から這い出て川で魚を取り、ついでに暖を取ってそのまま眠るというのもありだが。

「・・・一応、簡単なものくらいは喰えるように、木の実くらいは拾いながら行くか・・・」

 一応、いつでも口にできそうな小さな木の実だけはいくつか拾いながら、咲那は泉を過ぎた辺りの洞穴付近の木陰に身を寄せたー。

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