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咲那・全裸の逃避行(第10話)

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「さて・・・胸を隠すためには・・・と」

 足だけシューズを履き、あとはほぼ全裸の状態の咲那が、森の入り口付近で適当な葉っぱなどを探し始めるー。

「正直、さすがにこの恰好で奥にはいけねえだろうな・・・」

 さすがに裸では、奥まで入り込んであれこれするのは危険だ。下手すれば、体を木の枝や鋭利な葉っぱで傷つけたり、触れただけでかぶれる植物にも出くわす可能性がある・・・。

「結局、入り口付近でそれらしいものを調達するしか方法はない、か・・・」

 葉っぱで局部を隠すのは、何となくだが人類の始祖であるアダムとイブを連想させるものがあった。

「あいつら程上等な存在でもねえけどな、あたしゃ」

 落ち葉は、枯れているので、これで隠すのは無理がある・・・ある程度、強度があり、大きさもそれなりのものを、植物の蔦を結び付けて下着代わりにする形になりそうだ。

 そう、大きさのものが必要となる・・・。

「・・・」

 改めて、自分の胸や腰を見下ろして、

「・・・こういう場面では苦労するよな、マジで」

 咲那の抜群なプロポーションは、異性からも同性からも注目を浴びやすいものだ。主に、異性からは性的な意味で、同性からは羨望のまなざしで見られている。

「・・・鏡香だって、あたしと同程度にはあるだろ・・・なんであたしばっかり見られるんだ・・・?」

 ついでに言えば、鏡香も咲那に負けず劣らずの美人でもあるのだが、むしろ彼女よりも自分の方がなぜか注目されやすいような気がするー単なる自意識過剰であってほしい気がするが。

「・・・それにしても、あたしのサイズに合うのってなると・・・こりゃ1枚だけってのは難しいから、何枚か組み合わせる必要がありそうだな・・・」

 他の女子が聞いたら、羨望どころか、軽く敵意さえ覚えそうなことを、無自覚なまま独り言ちる咲那。

「まあ、愚痴っててもしょうがない。どうせあと1日だけだ。さっさと探してついでに飯の支度もしよう」

 下着を作った後は、小川で魚とりとなる・・・魔法剣エクセリオンなら、水属性の魔力を刀身に宿らせて、魚を一網打尽にすることも可能のはずだ。それが終わった後に、今度は火を焚いて焼けば、何とか朝食にはありつけるだろう。

「あとは・・・水なんだよな・・・」

 さすがに、川の水をそのまま口にするのはいささか無謀だ。煮沸する必要があるが、そもそもそのための容器に当たるものがない・・・。

「結局、水分を補給するには、木の実くらいしかなさそうだな」

 これについては、付近の植生について、生体端末で調べてみた方がよさそうだ。

「あとで検索してみるか」

 鏡香よ、早く来てくれー。

 そう願いながら、探索を続ける咲那であったー。


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