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空と大樹と(第14話)

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「だあぁぁ!もうだめだったら駄目だ!!」

 晶が絶叫する。

 当然だ。ミケさんの借金の完済が見込めないから、日向荘に居座らせろなんて馬鹿な要求を呑めるわけもなしー。

「私は大歓迎なんだけどな・・・」

 早苗は早苗で、自身の意見を譲るつもりはないらしい。そして、そんな彼女を、後ろにいるポン太達が応援していたりする。

「この姉ちゃん、話が分かるぜ」

「あんちゃん、諦めてオレたちを受け入れな!!」

「ウガアァァ!!」

 もはや、収拾がつかなくなってきている・・・。

「ええと、どうしましょう・・・」

「僕たちには見守ることくらいしかできそうにないよ、杏里」

 少しあたふたし始める杏里と、もはやただそれを見守ることしかできないカイトー。

「だったら、鏡香さん達に決めてもらおうよ、晶君!」

 結局、チーム《ユグドラシル》のことは、チームマスターである和泉姉弟が最終的にまとめ上げる。当然、この件についても、最終的な決定権は晶ではなく和泉姉弟にある。

 ・・・のだが。

「わざわざ、こんな馬鹿馬鹿しい話題で二人に確認をするのか・・・?」

 晶が渋面を作るが、無理もないだろう。

「そもそも、鏡香さんは今、咲那姉の救出に向かってんだろ?奏多さんは・・・まあ連絡を取ることはできるけどな・・・」

「だったら、実際に聞いてみればいいじゃん!私が聞いてみるよ」

 言うが早いが、早苗は生体端末を使って鏡香に連絡を取ろうとする。

「そう言えば、咲那姉の救出って、そんなに大変なのか・・・」

 昨日聞いた話では、「男性には相談しにくいこと」でSOSを求めているーとのことだったが。

「ああ~」

 早苗が、なぜか頬を紅潮させ、珍しく歯切れが悪そうに言った。

「そうだねぇ、ある意味、今までで一番ピンチかも・・・咲那さん」

「・・・?」

 晶が訝し気に早苗に問いかける。

「だったら、オレたちこんなところでのんきにやってていいのか?」

「うーん、まあ、そういうピンチじゃあないんだよね・・・」

「・・・?」

 晶が腕組みをしながら、頭の上にクエスチョンマークを浮かべている。一体どういったピンチなんだろうか・・・。

 早苗が話したがらない以上はわからないが、こればっかりは鏡香に任せるしかないということなのだろう。

「しかし、どういうピンチかは知らないが、今連絡して鏡香さんに迷惑をかけたりしないか?」

 晶の疑問に、早苗が、

「ああ、その点については大丈夫だよ、晶君。鏡香さんは、ただ咲那さんにある物を届けに行くだけだから・・・」

「ある物?」

 いったいそれが何なのか、さらに早苗に確認しようとしたところで、ミケさんが、

「まったく、騒がしいことですニャー」

 巾着袋から酒を「召喚」し、飲み始めながら愚痴をこぼすミケさんに、晶の右アッパー第2弾が炸裂したー。

「誰のせいだと思っとるんじゃあーー!!」

「ニャべし!!」

 再び、天井に頭を突っ込むことになるミケさんであったー。

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