テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

ミケとポン太

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空と大樹と(第1話)

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「しばらくの間、ここで君たちのお手伝いをさせてもらえないか」

 カイトからの突然の申し出に驚愕する晶ー。

「い、いや、しかしカイトたちはここに来たばかりだし、色々大変なことが起きて疲れてるだろ?無理はしなくていいんだぞ」

 カイトも杏里も、空の世界から来たお客様だ。特に、カイトは空での死闘や先輩たちとの死別など、肉体的にも精神的にもかなり厳しい状態にあるはず。とてもではないが、無理はさせられないだろう。

「・・・ここに来てから、少し考えてみたんだ・・・自分にできることは何だろうかなってね」

 カイトが静かに、自らの心情について語り始めた。

「ここに来る前、僕は、先輩たち二人を殺した紫のやつへ復讐しようと考えていた・・・だけど、それをモリガンさんや楓さんに止められて、ここまで逃れて来たんだ」

「・・・」

「今でも紫のやつはこの手で倒したいと思っている。だけど、多分今の僕じゃまた返り討ちに遭ってしまう・・・飛空鎧でも、普通の対人戦であったとしても、おそらく勝てる見込みは薄い・・・それだと、ここまで僕を逃がしてくれた二人の厚意を無にすることになってしまう・・・だから」

 カイトが、晶の方をしっかりと見つめて、

「少しでもいい。君たちと一緒に僕も自分を磨きたいんだ・・・だから、君たちのやっている害蟲駆除、僕にも少しお手伝いさせてくれないか」

 カイトの決意は固いようだった。

 あとで聞いたが、カイトの属している空のチーム蒼き風アウラ・カエルレウムでも、害蟲駆除は行っていたらしい。ただ、空の害蟲は、大樹のものと比べてそこまで強い個体はおらず、それを専門にしていない輩でも十分対処することができたらしかった。

 より強くなるためには、より強い相手と戦わなくてはならない。そうしなければ、とてもではないが、蒼の紫の機体の使い手には到底及ばないだろう。

「私も、皆さんのお手伝いをしたいです」

 それまで黙っていた杏里も、自ら協力を申し出た。

「私なら、治癒術が使えます。さすがに、前面に立って戦うということはできませんが、どうしてもカイトと一緒に皆さんのお力になりたいんです」

「・・・いいのか、二人とも」

 晶は、二人の決意が固いことは知っていたが、それでも今一度確認せずにはいられなかった。

「大樹に巣食う害蟲の中には亜人種型デミヒューマンタイプもいる。オレたちも立ち向かえるか、わからないようなのもうじゃうじゃいるんだ・・・」

「それは覚悟の上さ・・・どのみち、強くならなければ、あの紫のやつには勝てないし、あいつも未だ僕を狙っている以上、必ずどこかで戦うことになる。なら、今は少しでも自分の腕を磨いて、その時に備えておくべきだと思うんだ」

 カイトの決意が固いというのを改めて確認したうえで、晶は、

「わかった・・・ただ、オレはチームマスターじゃないからな・・・奏多さんか鏡香さんの許可を得てからでないと返事はできないから・・・とりあえずお前さん方の意向は伝えておくよ」

 マスターである和泉姉弟に許可を取り付けた後なら、二人の力を借りてもいいだろう。

 だが、その前にー。

「二人とも、とりあえず、今日明日はしっかりと休んでくれ・・・休める時には休んでおかないと、後がきつくなるぞ」

 晶はニカっと笑いながら、二人を再び部屋まで案内したー。
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